ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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流星とおれは西口公園をでて、横断歩道を渡った。マルイのまえを通りすぎる。池袋らしくない超高層マンションは地上四十二階建て。今時おかしな話だが、広いだの古い一軒家で育ったおれには、オートロックがなんだか未だに珍しい。
二十二階までエレベーターはほんの十数秒で上昇した。耳がつんとする。
「ここは俺の住まい兼スタジオなんだ。こっちだ、きてくれ。」
外廊下から池袋の街を見下ろすと、ひとはアリで車はカブト虫くらい。アリがネットでディスられて報復予告をする。馬鹿な話。スチールの扉を開けると、玄関には二足のスニーカーがあった。おれの視線に気づくと、流星はいう。
「企画・撮影・編集をやってもらうアルバイトのスタッフがふたりいるんだ。紹介する。」
アルミサッシの向こうは西向きだろう。午後の日差しが眩しかった。スキンヘッドに薄手のTシャツ一枚の男が会釈してきた。いい大胸筋をしている。
「こっちがゴング斎藤。プロレスマニアで、格闘技開設の動画をあげている。で、こっちがチードル♡♡♡横井。池袋、中野、秋葉原、東京中の地下アイドルオタクだ。もちろん動画をアップしている。」
アイドルオタクは前髪が目を隠していて、まったく表情は読めなかった。これでディスプレイを見にくくないのだろうか。おれは頭を下げていった。
「基本はみんなユーチューバーなんだな。最近こういうの多いのかな」
紹介が終わるとアルバイトはさっさと自分のパソコンに戻った。おれには動画数秒分の興味もないという感じ。流星はリビングの反対側に、おれを案内する。
「で、こっちがプライベートのスタジオだ。数々の名作が生まれたな。」
三方に白い布を垂らした純白のホリゾントになっている。照明用のポールが四本立てられていた。流星は鼻高々だ。
「ここでシューティングされた動画の総再生回数は楽に三億を超えている。すごいだろ。」
日本人全員が三回近く見たことになるのだ。それなのにおれも崇も、140☆流星の名前は全く知らなかった。メディアも情報も娯楽も、恐ろしくタコツボ化している。そのときおれのスマホが振動した。
「ちょっと、すまない。」
おれは少し開いていたアルミサッシを引いて、バルコニーに出た。着信は崇から。手すりにもたれて、ガールフレンドとでも話している気楽な振りをする。崇は電報のように無駄のない話し方をする。王の時間は貴重だ。
二十二階までエレベーターはほんの十数秒で上昇した。耳がつんとする。
「ここは俺の住まい兼スタジオなんだ。こっちだ、きてくれ。」
外廊下から池袋の街を見下ろすと、ひとはアリで車はカブト虫くらい。アリがネットでディスられて報復予告をする。馬鹿な話。スチールの扉を開けると、玄関には二足のスニーカーがあった。おれの視線に気づくと、流星はいう。
「企画・撮影・編集をやってもらうアルバイトのスタッフがふたりいるんだ。紹介する。」
アルミサッシの向こうは西向きだろう。午後の日差しが眩しかった。スキンヘッドに薄手のTシャツ一枚の男が会釈してきた。いい大胸筋をしている。
「こっちがゴング斎藤。プロレスマニアで、格闘技開設の動画をあげている。で、こっちがチードル♡♡♡横井。池袋、中野、秋葉原、東京中の地下アイドルオタクだ。もちろん動画をアップしている。」
アイドルオタクは前髪が目を隠していて、まったく表情は読めなかった。これでディスプレイを見にくくないのだろうか。おれは頭を下げていった。
「基本はみんなユーチューバーなんだな。最近こういうの多いのかな」
紹介が終わるとアルバイトはさっさと自分のパソコンに戻った。おれには動画数秒分の興味もないという感じ。流星はリビングの反対側に、おれを案内する。
「で、こっちがプライベートのスタジオだ。数々の名作が生まれたな。」
三方に白い布を垂らした純白のホリゾントになっている。照明用のポールが四本立てられていた。流星は鼻高々だ。
「ここでシューティングされた動画の総再生回数は楽に三億を超えている。すごいだろ。」
日本人全員が三回近く見たことになるのだ。それなのにおれも崇も、140☆流星の名前は全く知らなかった。メディアも情報も娯楽も、恐ろしくタコツボ化している。そのときおれのスマホが振動した。
「ちょっと、すまない。」
おれは少し開いていたアルミサッシを引いて、バルコニーに出た。着信は崇から。手すりにもたれて、ガールフレンドとでも話している気楽な振りをする。崇は電報のように無駄のない話し方をする。王の時間は貴重だ。