ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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おれは基本的なところから質問を始めた。
「ユーチューバーって、何人くらいいるんだ?」
流星は余裕だった。
「全世界三十か国で百万人は居るといわれてる。アメリカには年収数億なんてスーパースターもいるよ。日本でもトップユーチューバーは年収1億なんて噂もある。あんたは雑誌にコラムを書いてるって聞いたけど、世界中にどれくらいのコラムニストが居るんだ?」
正確な数は全然わからない。自称文筆業者も多いしな。
「百万人は絶対いないと思う。今じゃ、そっちの仕事の方が一般的なのかもしれないな。」
「俺ネットでいくつかアンタのエッセイを読んだけど、もう雑誌はやめとけよ。ネットで発表した方が金になるよ。」
すこしカチンと来た。おれは紙の本や雑誌が好きなのだ。
「止めとく。おれはデジタルよりもリアルの方がいいんだ」
「沈みゆく泥船でもか」
おれは歯をむき出しにして笑顔を見せてやった。
「おれが乗ってるのは最高の泥船なんだ。小学生相手の浮き輪じゃない。」
流星は肩をすくめて、ジンジャエールをのんだ。
「まあ、いい。俺たちは別々の意見が分かり合えるし、協力もできる。それでいいか?」
外国人のガキみたい。おれはセルカ棒をたたむ流星にいった。
「それでいい。S・ウルフに仕事を頼んだ理由は何だ?」
ようやく肝心の要件に辿り着いた。ネットの裕福なパラダイスもトラブルはついて回るのだろう。人間がやっていることだからな。楽園にも毒虫はいる。
「まずコイツを見てくれ。」
スマホでユーチューブを見せられた。肩を寄せ合い、蛍光パーカーを着た男と小さな画面をのぞき込む。おれは崇が自分でやらなかったわけが分かった。ディスプレイに映ったのは、ゴム製のゴリラのマスクをかぶった男たち。どこかの廃品置き場のようだった。多分アメリカ製だろう、巨大なダブルドアの冷蔵庫を、四人の男が腕の長さほど有るハンマーをもって取り囲んでいる。
「こいつらは戸田橋デストロイヤーZ。何でもぶっ壊すのが奴らの得意のコンテンツだ。今まで一番再生回数を稼いだのは、冷蔵庫でなくベンツを解体した動画だ。一日がかりで廃車寸前のE320をばらばらにした。」
ゴリラのマスクが早送りで冷蔵庫を破壊しだした。
「なんとなくコイツらがどういうグループかわかるだろ。解体の他で、コイツらが得意なのは他のユーチューバーをディスることだ。」
画面の下に並んだサムネールから、ひとつ選ぶ。重低音のリズムトラックが流れだした。ゴリラのマスクをかぶったまま四人が入品の山の上で踊っている。
「ユーチューバーって、何人くらいいるんだ?」
流星は余裕だった。
「全世界三十か国で百万人は居るといわれてる。アメリカには年収数億なんてスーパースターもいるよ。日本でもトップユーチューバーは年収1億なんて噂もある。あんたは雑誌にコラムを書いてるって聞いたけど、世界中にどれくらいのコラムニストが居るんだ?」
正確な数は全然わからない。自称文筆業者も多いしな。
「百万人は絶対いないと思う。今じゃ、そっちの仕事の方が一般的なのかもしれないな。」
「俺ネットでいくつかアンタのエッセイを読んだけど、もう雑誌はやめとけよ。ネットで発表した方が金になるよ。」
すこしカチンと来た。おれは紙の本や雑誌が好きなのだ。
「止めとく。おれはデジタルよりもリアルの方がいいんだ」
「沈みゆく泥船でもか」
おれは歯をむき出しにして笑顔を見せてやった。
「おれが乗ってるのは最高の泥船なんだ。小学生相手の浮き輪じゃない。」
流星は肩をすくめて、ジンジャエールをのんだ。
「まあ、いい。俺たちは別々の意見が分かり合えるし、協力もできる。それでいいか?」
外国人のガキみたい。おれはセルカ棒をたたむ流星にいった。
「それでいい。S・ウルフに仕事を頼んだ理由は何だ?」
ようやく肝心の要件に辿り着いた。ネットの裕福なパラダイスもトラブルはついて回るのだろう。人間がやっていることだからな。楽園にも毒虫はいる。
「まずコイツを見てくれ。」
スマホでユーチューブを見せられた。肩を寄せ合い、蛍光パーカーを着た男と小さな画面をのぞき込む。おれは崇が自分でやらなかったわけが分かった。ディスプレイに映ったのは、ゴム製のゴリラのマスクをかぶった男たち。どこかの廃品置き場のようだった。多分アメリカ製だろう、巨大なダブルドアの冷蔵庫を、四人の男が腕の長さほど有るハンマーをもって取り囲んでいる。
「こいつらは戸田橋デストロイヤーZ。何でもぶっ壊すのが奴らの得意のコンテンツだ。今まで一番再生回数を稼いだのは、冷蔵庫でなくベンツを解体した動画だ。一日がかりで廃車寸前のE320をばらばらにした。」
ゴリラのマスクが早送りで冷蔵庫を破壊しだした。
「なんとなくコイツらがどういうグループかわかるだろ。解体の他で、コイツらが得意なのは他のユーチューバーをディスることだ。」
画面の下に並んだサムネールから、ひとつ選ぶ。重低音のリズムトラックが流れだした。ゴリラのマスクをかぶったまま四人が入品の山の上で踊っている。