ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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西口公園に入ると、すぐに円形の噴水と金属の棒の先に乗った彫刻が出迎えてくれる。月や星やお馴染みのフクロウだ。その向こうは円形広場とバスのロータリーが広がり、向かって一番奥は三角の巨大なガラス屋根のある東京芸術広場である。ぽかぽかとあたたかな春の日差しを受けて、薄青いガラスもすこしやわらかそうだった。
その場に立って、円形広場を見渡すと、おれの目に蛍光イエローのパーカーが眩しく飛び込んできた。自然界では周囲から目立つ色で身を装うのは、捕食者を恐れない強い固体であるという表現らしい。そして大抵の場合、その手の色をした生物は身体の中に危険な毒を蓄えている。南米のカラフルなヤドクガエルみたいな。
おれが140☆流星の蛍光色を見つけたとき、真っ先に考えたのは、やつはどんな毒を持っているかだ。致命的でなきゃいいのだが。
「そこ、空いてるよな」
まっすぐではなく、おれはゆっくりと円形広場を一周して、やつに近づいていった。こちらが観察する時間が作れて、相手には自分を見せない。最初は慎重にな。スマホを見ていた流星が顔を上げる。小太り、割と日焼けして色が黒い、髪は似合う奴をめったに見ないツーブロック。おまけに金髪。
「ああ、そっちが小鳥遊悠さんか。キングから話を聞いてる。腕利きのトラブルシューターなんだってな。ところでトラブルシューターってなにやるんだ?」
おれがユーチューバーについて質問するまえに先手を打たれた。くやしい。
「池袋の街のあれこれをちょっとだけ修理する感じかな。金にならないから、別に仕事じゃない。そっちの名前の方がずっと不思議だ。140ってなんなんだ。」
おれは蛍光イエローの隣に腰かけた。迷彩の軍パンに和柄のジャケット。こいつはもう五年は着てる。
「あーすまない。自己紹介がまだだったな。こういうものだけど、よろしく。」
名刺をもらった。おれの副業ではめったに名刺など貰わない。住所は西口のマルイの先のタワーマンションの二十二階だ。140☆流星のしたには(石丸流星)とあった。
「俺の地元の先輩が、石丸を140と読んで、それであだ名がワンフォーティになったんだ。もともとは俺のアーティストネームだったんだけど。」
子のギャグ担当の黄レンジャーみたいな男がアーティスト!まあ店番兼コラムニストで、トラブルシューターなんてのもいるけどな。
「なにつくってんだ?」
「ビデオアート。ナム・ジュン・パイクやビル・ヴィオラみたいなのを観て、その気になった。最初にユーチューブにアップしてたのは、俺のオリジナル作品だったんだ。発表する場がなかったんでな。今でも半年に一本くらいはアート系のも作ってるよ。」
「ふーん」
おれは自分があまりにも無知なので、アートという言葉には弱い。案外まともな人間なのかもしれない。
その場に立って、円形広場を見渡すと、おれの目に蛍光イエローのパーカーが眩しく飛び込んできた。自然界では周囲から目立つ色で身を装うのは、捕食者を恐れない強い固体であるという表現らしい。そして大抵の場合、その手の色をした生物は身体の中に危険な毒を蓄えている。南米のカラフルなヤドクガエルみたいな。
おれが140☆流星の蛍光色を見つけたとき、真っ先に考えたのは、やつはどんな毒を持っているかだ。致命的でなきゃいいのだが。
「そこ、空いてるよな」
まっすぐではなく、おれはゆっくりと円形広場を一周して、やつに近づいていった。こちらが観察する時間が作れて、相手には自分を見せない。最初は慎重にな。スマホを見ていた流星が顔を上げる。小太り、割と日焼けして色が黒い、髪は似合う奴をめったに見ないツーブロック。おまけに金髪。
「ああ、そっちが小鳥遊悠さんか。キングから話を聞いてる。腕利きのトラブルシューターなんだってな。ところでトラブルシューターってなにやるんだ?」
おれがユーチューバーについて質問するまえに先手を打たれた。くやしい。
「池袋の街のあれこれをちょっとだけ修理する感じかな。金にならないから、別に仕事じゃない。そっちの名前の方がずっと不思議だ。140ってなんなんだ。」
おれは蛍光イエローの隣に腰かけた。迷彩の軍パンに和柄のジャケット。こいつはもう五年は着てる。
「あーすまない。自己紹介がまだだったな。こういうものだけど、よろしく。」
名刺をもらった。おれの副業ではめったに名刺など貰わない。住所は西口のマルイの先のタワーマンションの二十二階だ。140☆流星のしたには(石丸流星)とあった。
「俺の地元の先輩が、石丸を140と読んで、それであだ名がワンフォーティになったんだ。もともとは俺のアーティストネームだったんだけど。」
子のギャグ担当の黄レンジャーみたいな男がアーティスト!まあ店番兼コラムニストで、トラブルシューターなんてのもいるけどな。
「なにつくってんだ?」
「ビデオアート。ナム・ジュン・パイクやビル・ヴィオラみたいなのを観て、その気になった。最初にユーチューブにアップしてたのは、俺のオリジナル作品だったんだ。発表する場がなかったんでな。今でも半年に一本くらいはアート系のも作ってるよ。」
「ふーん」
おれは自分があまりにも無知なので、アートという言葉には弱い。案外まともな人間なのかもしれない。