ー特別篇ーYoutuber∴芸術劇場
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今年の春は気温の上下が激しかった。春の南風とおひさまに照らされ、シャツ一枚でグリーン大通りを散歩した翌日、いきなり手袋と帽子とマフラーを着こんでサンシャイン60のイベントに足を運ぶはめになる。身体に地味にダメージが溜まっていくのだろう。とにかく眠くて仕方ない。
おれが崇から電話を受けたのは、あったかなほうの春の午後。長袖Tシャツの上に綿のネルシャツを重ねれば、上着のいらない昼下がりだった。春の風物詩の桜餅を店先に積んでいると、スマホが振動を開始した。おれの軍パンの尻ポケットでね。着信相手を確認してから、おれはいう。
「なんだ、デートの誘いか、崇」
めずらしくやつは素直に乗ってきた。ノリツッコミは苦手な王さまなんだが。
『ああ、そうだ。今すぐ西口公園に来てくれ。じゃあ、よろしく。』
奴の声は上空五千メートルに零下二十度の寒気団が南下した二日前の北風みたい。すぐに切りそうな気配だったから、おれは慌てた。
「ちょっと待て。きてくれじゃなく、いってくれって、どういう意味だ。相手は誰だよ。いったいなにをよろしくなんだ。」
おれにはやつの唇が右端だけ吊りあがったのが見えた気がした。皮肉な微笑。やつの一番の得意技で、とにかく人を怒らせる嫌味な武器だ。
『さすがにお前でも、それだけじゃ無理か』
「あたりまえだ。どうせなにか厄介ごとなんだろ。おれは引き受けるとは言ってないぞ。」
『俺もひと言もいってない。お前が直接会って、S・ウルフで仕事を受けていい相手か確かめてくれないか。人を見る目とネットの現在進行形が分かる頭、両方がそろってる奴はうちにはいないんだ。お前が適任だ。』
人材不足の池袋S・ウルフ。気の毒な話だが、おれはちょっとうれしくもあった。虎狗琥隆はめったにひとを褒めないキングだ。
「相手は誰?」
崇は一瞬ひるんだ。やつの氷の角が溶けだしたようだ。
『……いいたくない』
「あー?なんでだ」
『俺の品格に傷がつく気がする。いいか、一度しか言わないから覚えておけ。ワンフォーティ流星。表記は140☆流星だ。あいだに星印が打ってある。』
いかれてる。おれもその名を繰り返すのは、ためらいがあった。ネットによく転がってる酷い名前のひとつ。まあ、自分の子供に亜南琉(アナル)とか紗音流(シャネル)とか名付けるヤンキーのアホ親が居るくらいだから、別に驚きはしないが。頭の悪いやつがクリエイティブを気取るとろくなことにならない好例。
おれが崇から電話を受けたのは、あったかなほうの春の午後。長袖Tシャツの上に綿のネルシャツを重ねれば、上着のいらない昼下がりだった。春の風物詩の桜餅を店先に積んでいると、スマホが振動を開始した。おれの軍パンの尻ポケットでね。着信相手を確認してから、おれはいう。
「なんだ、デートの誘いか、崇」
めずらしくやつは素直に乗ってきた。ノリツッコミは苦手な王さまなんだが。
『ああ、そうだ。今すぐ西口公園に来てくれ。じゃあ、よろしく。』
奴の声は上空五千メートルに零下二十度の寒気団が南下した二日前の北風みたい。すぐに切りそうな気配だったから、おれは慌てた。
「ちょっと待て。きてくれじゃなく、いってくれって、どういう意味だ。相手は誰だよ。いったいなにをよろしくなんだ。」
おれにはやつの唇が右端だけ吊りあがったのが見えた気がした。皮肉な微笑。やつの一番の得意技で、とにかく人を怒らせる嫌味な武器だ。
『さすがにお前でも、それだけじゃ無理か』
「あたりまえだ。どうせなにか厄介ごとなんだろ。おれは引き受けるとは言ってないぞ。」
『俺もひと言もいってない。お前が直接会って、S・ウルフで仕事を受けていい相手か確かめてくれないか。人を見る目とネットの現在進行形が分かる頭、両方がそろってる奴はうちにはいないんだ。お前が適任だ。』
人材不足の池袋S・ウルフ。気の毒な話だが、おれはちょっとうれしくもあった。虎狗琥隆はめったにひとを褒めないキングだ。
「相手は誰?」
崇は一瞬ひるんだ。やつの氷の角が溶けだしたようだ。
『……いいたくない』
「あー?なんでだ」
『俺の品格に傷がつく気がする。いいか、一度しか言わないから覚えておけ。ワンフォーティ流星。表記は140☆流星だ。あいだに星印が打ってある。』
いかれてる。おれもその名を繰り返すのは、ためらいがあった。ネットによく転がってる酷い名前のひとつ。まあ、自分の子供に亜南琉(アナル)とか紗音流(シャネル)とか名付けるヤンキーのアホ親が居るくらいだから、別に驚きはしないが。頭の悪いやつがクリエイティブを気取るとろくなことにならない好例。