ー特別編ー黄色のCurrency
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昨日は結局収穫無しで帰った。
そして本日、またおしゃれなカフェめぐりに戻った。
今日は休みなので朝から動くことにした。
三軒目は東池袋、総合体育場の近くにあるスオミカフェ。
気がついてみると財務省造幣局の東京支局はすぐ近くだった。
造幣局の灰色コンクリートの高い塀にそって歩いていると、オープンスタイルのカフェが見えてきた。
ウッドデッキに白いワイヤーフレームの椅子とテーブルが並んでいる。
椅子は二脚ずつ通りのほうを向いていた。デート専用。
俺は雑誌でカフェの勉強をしたから、それがどこの椅子かわかった。デザインはハリー・ベルトイヤ。
こんな仕事ばかりして、おしゃれな空間プロデューサーにでもなったら、どうしよう。
「よし、バカな妄想終了。」
俺は両方のほほをパチンと叩いて店にはいった。
店長は四十代前半、ツイードのジャケットにタートルネックにウールパンツ。
すべてカフェオレ色の微妙な色彩で統一されている。
池袋ってよりは白金って感じ。おれは手漉きの跡が残る和紙の名刺をもらった。
北原幸次郎、スミオグループ代表。
俺は名刺から目をあげるとテーブルのむこうにいった。
「スミオって泉の国?」
「よく知ってるね。そうフィンランド語だよ。あの国の別名さ。聞きなれているけど、意味のわからないいいネーミングだろう。」
俺はパラソルのした、偽札二枚を白いテーブルに取り出した。
「もう噂は聞いてると思うけど、これがepの偽造紙幣です。先月末にNPOセンターに持ち込まれたカフェ四軒から発見された。見覚えはありませんか?
北原は偽札を手にとり、光にかざしてみたりする。
元にもどすといった。
「ないね。」
「じゃぁ、このリストの中でこの店によくくる人間は?」
俺はデジタルデザイン部全員のコピーをバックから引っ張り出す。
北原は上品な眉をひそめ、ぱらぱらとめくった。
なんだか世の中には、カフェ的人間と居酒屋的人間の二種類がいるみたいだ。
「うーん、ちょっとわからないな。なにせお客はいっぱいいるから」
そのときデッキの横を通って、アサノと太った男が店に入ってきた。
アサノは俺たちに気づくと軽く右手をあげて挨拶した。
「どうも北原さん。あれ、君は昨日センターにきてたよね。」
アサノはあっけらかんという。
太った男はピッツバーグ・スティーラーズの半袖シャツを着ていた。汗の染みが脇の下にできている。
アサノを振り向いた北原の肩の線が一瞬硬直した。
「ああ、アサノくんか。ちょっとepの偽札調査がきてるんだ。」
俺のほうに向き直った顔は、さっきまでの退屈そうな表情に戻っていた。
俺は立ち止まったふたりに声をかけた。
「昨日はどうも。アサノさん、そっちの人はなんていうんですか。名前きいてなかって。」
急に熱くなったようだった。タオルで額の汗をぬぐって太った男はいった。
「どうも、堀井です」
そして本日、またおしゃれなカフェめぐりに戻った。
今日は休みなので朝から動くことにした。
三軒目は東池袋、総合体育場の近くにあるスオミカフェ。
気がついてみると財務省造幣局の東京支局はすぐ近くだった。
造幣局の灰色コンクリートの高い塀にそって歩いていると、オープンスタイルのカフェが見えてきた。
ウッドデッキに白いワイヤーフレームの椅子とテーブルが並んでいる。
椅子は二脚ずつ通りのほうを向いていた。デート専用。
俺は雑誌でカフェの勉強をしたから、それがどこの椅子かわかった。デザインはハリー・ベルトイヤ。
こんな仕事ばかりして、おしゃれな空間プロデューサーにでもなったら、どうしよう。
「よし、バカな妄想終了。」
俺は両方のほほをパチンと叩いて店にはいった。
店長は四十代前半、ツイードのジャケットにタートルネックにウールパンツ。
すべてカフェオレ色の微妙な色彩で統一されている。
池袋ってよりは白金って感じ。おれは手漉きの跡が残る和紙の名刺をもらった。
北原幸次郎、スミオグループ代表。
俺は名刺から目をあげるとテーブルのむこうにいった。
「スミオって泉の国?」
「よく知ってるね。そうフィンランド語だよ。あの国の別名さ。聞きなれているけど、意味のわからないいいネーミングだろう。」
俺はパラソルのした、偽札二枚を白いテーブルに取り出した。
「もう噂は聞いてると思うけど、これがepの偽造紙幣です。先月末にNPOセンターに持ち込まれたカフェ四軒から発見された。見覚えはありませんか?
北原は偽札を手にとり、光にかざしてみたりする。
元にもどすといった。
「ないね。」
「じゃぁ、このリストの中でこの店によくくる人間は?」
俺はデジタルデザイン部全員のコピーをバックから引っ張り出す。
北原は上品な眉をひそめ、ぱらぱらとめくった。
なんだか世の中には、カフェ的人間と居酒屋的人間の二種類がいるみたいだ。
「うーん、ちょっとわからないな。なにせお客はいっぱいいるから」
そのときデッキの横を通って、アサノと太った男が店に入ってきた。
アサノは俺たちに気づくと軽く右手をあげて挨拶した。
「どうも北原さん。あれ、君は昨日センターにきてたよね。」
アサノはあっけらかんという。
太った男はピッツバーグ・スティーラーズの半袖シャツを着ていた。汗の染みが脇の下にできている。
アサノを振り向いた北原の肩の線が一瞬硬直した。
「ああ、アサノくんか。ちょっとepの偽札調査がきてるんだ。」
俺のほうに向き直った顔は、さっきまでの退屈そうな表情に戻っていた。
俺は立ち止まったふたりに声をかけた。
「昨日はどうも。アサノさん、そっちの人はなんていうんですか。名前きいてなかって。」
急に熱くなったようだった。タオルで額の汗をぬぐって太った男はいった。
「どうも、堀井です」