ー特別編ー西池袋ノマドトラップ
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「消すわけにもいかないからな。悪魔に徹底的に恐怖をしこむしかないだろう。奴らはあちこちのチームや組織とトラブルを抱えている。毎日寝る場所を変えているという噂だ。おまえは奴らをおびきだして、S・ウルフに引き渡すだけでいい。あとの躾はこちらがやる。」
崇の言葉とともに社内の温度が急激に下がっていく。こいつは頼りになる昔なじみだが、おれの知っているもっとも冷酷な男でもある。そうでもなければ、巨大なチームの複合体を統治できないだろう。
「消さないのは分かった。だけど、あまり厳しい体罰もやめてくれよ。」
鬼子母神のほうへRVは進んでいく。このあたりは静かな住宅街で、寺や社がたくさんある。ガキのころからおれの散歩コースだ。崇が薄い氷を割るような音をたてた。きっと笑ったのだろう。
「おまえはやさしいな、悠」
馬鹿だといわれた気がした。黙っていると、やつはいう。
「あの動画見たことあるだろう」
「ああ、あるよ」
裏の動画サイトに高梨兄弟アップした動画は、東京中のガキのあいだで有名だった。
「高梨兄弟は敵対していたチームの幹部ふたりを六本木でさらった。顔の形が分からなくなるくらい殴りつけたあと、ジーンズと下着を脱がせた。そのためにはもう何発か金属バットをつかったようだが。」
おれは目を閉じて、子供のころ遊んだ路地を見ないようにした。崇の声だけが静かなエンジン音に溶けていく。その先なら、おれも知っている。その事件ではない事件が起きたのは、真夜中の湾岸の駐車場だ。
「高橋の兄、裕康がとりだしたのは接着剤だった。二人のギャングに右手を出させて、手のひらにたっぷりと垂らした。フレンチトーストにかけるシロップみたいにな。弟の友康が命令した。その手でお互いのチンポを握れ。カッターで裂いたような目から涙を流しながら、ギャングはお互いを見つめ合った。」
崇は口笛を三度、短く吹いた。風を切る音。
「またバットが握られて、やつらは観念したお互いの性器を掴んだ。べったりと瞬間接着剤を手につけたままな。」
そのあと高梨兄弟のヴァンはふたたび街に戻っている。右手でペニスをにぎりあったふたりが降ろされたのは、明け方の六本木の交差点だった。高梨兄弟は全てをスマートフォンで録画して、その日のうちに裏サイトにアップした。ふたりは数か所を骨折していたが、事件にはなっていない。どうやって他人の性器から手をはがしたのか、想像したくもない。この世界には常識を逸して残忍なやつがいる。そうした残忍さは、愛が地上からなくならないように、なくなることはないのだ。
「おまえはそういう悪魔さえ、傷つけることく、きちんと躾けろと無茶をいう。まあ、方法はこちらで考えておく。おやさしいことだ。」
弟の友康の得物は大型の荷ほどき用のカッターナイフだという話だ。それなら、たまたま持っていた、殺意はないと取り調べでいえるからな。やつがそいつを使うのが好きな場所は、額と手のひらと足の裏だ。とくに足の裏は腱まで届くほど深く切る。一生まともに歩けなくなるからな。おれがこれからハメるのは、そういう兄弟だ。
ツインデビル。アメコミみたいなあだ名は伊達じゃない。
崇の言葉とともに社内の温度が急激に下がっていく。こいつは頼りになる昔なじみだが、おれの知っているもっとも冷酷な男でもある。そうでもなければ、巨大なチームの複合体を統治できないだろう。
「消さないのは分かった。だけど、あまり厳しい体罰もやめてくれよ。」
鬼子母神のほうへRVは進んでいく。このあたりは静かな住宅街で、寺や社がたくさんある。ガキのころからおれの散歩コースだ。崇が薄い氷を割るような音をたてた。きっと笑ったのだろう。
「おまえはやさしいな、悠」
馬鹿だといわれた気がした。黙っていると、やつはいう。
「あの動画見たことあるだろう」
「ああ、あるよ」
裏の動画サイトに高梨兄弟アップした動画は、東京中のガキのあいだで有名だった。
「高梨兄弟は敵対していたチームの幹部ふたりを六本木でさらった。顔の形が分からなくなるくらい殴りつけたあと、ジーンズと下着を脱がせた。そのためにはもう何発か金属バットをつかったようだが。」
おれは目を閉じて、子供のころ遊んだ路地を見ないようにした。崇の声だけが静かなエンジン音に溶けていく。その先なら、おれも知っている。その事件ではない事件が起きたのは、真夜中の湾岸の駐車場だ。
「高橋の兄、裕康がとりだしたのは接着剤だった。二人のギャングに右手を出させて、手のひらにたっぷりと垂らした。フレンチトーストにかけるシロップみたいにな。弟の友康が命令した。その手でお互いのチンポを握れ。カッターで裂いたような目から涙を流しながら、ギャングはお互いを見つめ合った。」
崇は口笛を三度、短く吹いた。風を切る音。
「またバットが握られて、やつらは観念したお互いの性器を掴んだ。べったりと瞬間接着剤を手につけたままな。」
そのあと高梨兄弟のヴァンはふたたび街に戻っている。右手でペニスをにぎりあったふたりが降ろされたのは、明け方の六本木の交差点だった。高梨兄弟は全てをスマートフォンで録画して、その日のうちに裏サイトにアップした。ふたりは数か所を骨折していたが、事件にはなっていない。どうやって他人の性器から手をはがしたのか、想像したくもない。この世界には常識を逸して残忍なやつがいる。そうした残忍さは、愛が地上からなくならないように、なくなることはないのだ。
「おまえはそういう悪魔さえ、傷つけることく、きちんと躾けろと無茶をいう。まあ、方法はこちらで考えておく。おやさしいことだ。」
弟の友康の得物は大型の荷ほどき用のカッターナイフだという話だ。それなら、たまたま持っていた、殺意はないと取り調べでいえるからな。やつがそいつを使うのが好きな場所は、額と手のひらと足の裏だ。とくに足の裏は腱まで届くほど深く切る。一生まともに歩けなくなるからな。おれがこれからハメるのは、そういう兄弟だ。
ツインデビル。アメコミみたいなあだ名は伊達じゃない。