ー特別編ー西池袋ノマドトラップ
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「なにかつかんだって顔してるな」
RVが動き出すまえに、崇がそういった。なんというか、おれのつぎに勘のいい王さま。
「コワーキング・スペースが連続して、襲撃された。ツインデビルは店というより、そこに出入りする人間に強烈なメッセージを送りつけてるみたいだ。ああいうところではたらくやつのことを……」
崇がいきなり割り込んできた。
「ノマドという」
「ビジネス書でも読んだのか」
鼻で笑って、キングがいった。
「ビジネス誌なら、いくつかつねに目を通している。S・ウルフも互助会みたいなものでな、集められた資金は運用しなければいけない。プライベートなファンドがあるのさ。今は為替ヘッジなしの投資信託をしこんでる。S&P500連動のインデックス・ファンドだ。」
S・ウルフがいくつかの飲食店を経営しているのは知っていた。でも、崇の口から運用とかファンドなんて言葉を聞くのは初めてだ。おれはバカなことを質問した。
「成績はいいのか」
面倒そうに王はいう。
「悪くない。だが、徹底的に安全を重視してるので、派手な数字は出ない。株式評論家がコラムにするのは嘘ばかりだからな。実際には地味で危険で退屈な仕事だ。それでも少しずつ前進はしている。そんなことよりツインデビルだ。」
おれは二つの店の襲撃とどちらの会員にもなっているレオンの話をした。RVはゆっくりとびっくりガードに向かっている。「無敵家」の行列は炎天下でも長かった。
「まだレオンと高梨兄弟の接点がわからない。レオンの恐怖はほんものだ。あんなふうに人を怖がらせるのは、おれの知ってる限り双子の悪魔と崇くらいのものだ。」
かすかに眉を寄せた。不機嫌な王さま。S・ウルフの運転手(今日は本郷ではない)がバックミラー越しにおれをちらりと見た。驚愕。こいつは歴史を学んだことはないらしい。ピエロはいつだって命がけで王に冗談を言うものだ。
「俺と高梨をいっしょにするのか」
崇が涼しげに笑いだして、RVの緊張が緩んだ。
「このあと、レオンにもう一度会って話を聞いてみる。それで、崇に確認しておきたいのは、高梨兄弟わどうすればいいのかってことだ。店の襲撃には証拠がないし、警察に突き出しても、そんなものだとすぐ戻ってくる。お前はやつらをはめろというけど、どこまでやるつもりだ。」
崇の横顔のむこうに首都高速の橋脚とブルーシートハウスが流れていった。ホームレスの数は好況でも不況でもかわらないようだ。
RVが動き出すまえに、崇がそういった。なんというか、おれのつぎに勘のいい王さま。
「コワーキング・スペースが連続して、襲撃された。ツインデビルは店というより、そこに出入りする人間に強烈なメッセージを送りつけてるみたいだ。ああいうところではたらくやつのことを……」
崇がいきなり割り込んできた。
「ノマドという」
「ビジネス書でも読んだのか」
鼻で笑って、キングがいった。
「ビジネス誌なら、いくつかつねに目を通している。S・ウルフも互助会みたいなものでな、集められた資金は運用しなければいけない。プライベートなファンドがあるのさ。今は為替ヘッジなしの投資信託をしこんでる。S&P500連動のインデックス・ファンドだ。」
S・ウルフがいくつかの飲食店を経営しているのは知っていた。でも、崇の口から運用とかファンドなんて言葉を聞くのは初めてだ。おれはバカなことを質問した。
「成績はいいのか」
面倒そうに王はいう。
「悪くない。だが、徹底的に安全を重視してるので、派手な数字は出ない。株式評論家がコラムにするのは嘘ばかりだからな。実際には地味で危険で退屈な仕事だ。それでも少しずつ前進はしている。そんなことよりツインデビルだ。」
おれは二つの店の襲撃とどちらの会員にもなっているレオンの話をした。RVはゆっくりとびっくりガードに向かっている。「無敵家」の行列は炎天下でも長かった。
「まだレオンと高梨兄弟の接点がわからない。レオンの恐怖はほんものだ。あんなふうに人を怖がらせるのは、おれの知ってる限り双子の悪魔と崇くらいのものだ。」
かすかに眉を寄せた。不機嫌な王さま。S・ウルフの運転手(今日は本郷ではない)がバックミラー越しにおれをちらりと見た。驚愕。こいつは歴史を学んだことはないらしい。ピエロはいつだって命がけで王に冗談を言うものだ。
「俺と高梨をいっしょにするのか」
崇が涼しげに笑いだして、RVの緊張が緩んだ。
「このあと、レオンにもう一度会って話を聞いてみる。それで、崇に確認しておきたいのは、高梨兄弟わどうすればいいのかってことだ。店の襲撃には証拠がないし、警察に突き出しても、そんなものだとすぐ戻ってくる。お前はやつらをはめろというけど、どこまでやるつもりだ。」
崇の横顔のむこうに首都高速の橋脚とブルーシートハウスが流れていった。ホームレスの数は好況でも不況でもかわらないようだ。