ー特別編ー西池袋ノマドトラップ
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「じゃあさっきのウェブの更新と合わせて、月に二十万と少しって感じなのか」
「悠さんは鋭いね。だいたいそんなもんかな。」
それではアルバイトや非正規ワーカーと変わらない年収だろう。ノマドにもこの世界は厳しいという事か。これだけネタが集まれば、一回分のコラムには十分だ。礼を言って、自分の部屋でデータ原稿をまとめた方がいいかもしれない。
「だけどぼくはこのまま年収に、三百万で終わるつもりはない。リッチなノマドになってみせる。あともうひとつ切り札があるんだ。」
レオンはつぶらな目を光らせている。誰でもできるITジョブの底辺からなりあがる秘策か。興味をそそられて聞いてみる。
「へえ、宝くじを当てる以外に、うまい手があるんだ。」
奴は自信満々に、ごそごそと足元のデイパックを探った。
「まあね。でも、今回は教えない。」
奴の手には薄手の本が一冊。おれに差し出していう。
「これ読んでみてよ。あげるからさ。そのあとで、もう一度取材してほしいんだ。そのひとがぼくの憧れの人だから。」
怪しい宗教でないといいなと思い、本を確かめた。聞いたことのない出版社から出されたビジネス書だった。表紙には長髪の日本人が黒いタートルネックで登場している。世界中にあふれるスティーブ・ジョブズもどき。本のタイトルには『わたしが12時間で3億稼いだ方法』。なんか怪しい。著者名は、堂上常樹(どうがみつねき)。これも聞いたことがない。
レオンがスマホの時計を見た。
「そろそろ、今日の分の仕事やらなくちゃ。何かあったら連絡して。悠さん、コラムかっこよく書いてね。」
「いろいろ面白い話、ありがとう。原稿には全力を尽くすよ。」
かっこいい生き方をしてる奴なら、おれがなにも飾らなくとも、かっこよくなるだろう。文章というのは、そういうものだ。やつはデイパックを肩にかけると、奥の作業スペースに行ってしまった。こちらで打ち合わせや取材をして、向こうでパソコン仕事ができる。コワーキングスペースというもの、案外便利なものだった。
おれもノマドになった気分で、今度登録してみようかな。
「悠さんは鋭いね。だいたいそんなもんかな。」
それではアルバイトや非正規ワーカーと変わらない年収だろう。ノマドにもこの世界は厳しいという事か。これだけネタが集まれば、一回分のコラムには十分だ。礼を言って、自分の部屋でデータ原稿をまとめた方がいいかもしれない。
「だけどぼくはこのまま年収に、三百万で終わるつもりはない。リッチなノマドになってみせる。あともうひとつ切り札があるんだ。」
レオンはつぶらな目を光らせている。誰でもできるITジョブの底辺からなりあがる秘策か。興味をそそられて聞いてみる。
「へえ、宝くじを当てる以外に、うまい手があるんだ。」
奴は自信満々に、ごそごそと足元のデイパックを探った。
「まあね。でも、今回は教えない。」
奴の手には薄手の本が一冊。おれに差し出していう。
「これ読んでみてよ。あげるからさ。そのあとで、もう一度取材してほしいんだ。そのひとがぼくの憧れの人だから。」
怪しい宗教でないといいなと思い、本を確かめた。聞いたことのない出版社から出されたビジネス書だった。表紙には長髪の日本人が黒いタートルネックで登場している。世界中にあふれるスティーブ・ジョブズもどき。本のタイトルには『わたしが12時間で3億稼いだ方法』。なんか怪しい。著者名は、堂上常樹(どうがみつねき)。これも聞いたことがない。
レオンがスマホの時計を見た。
「そろそろ、今日の分の仕事やらなくちゃ。何かあったら連絡して。悠さん、コラムかっこよく書いてね。」
「いろいろ面白い話、ありがとう。原稿には全力を尽くすよ。」
かっこいい生き方をしてる奴なら、おれがなにも飾らなくとも、かっこよくなるだろう。文章というのは、そういうものだ。やつはデイパックを肩にかけると、奥の作業スペースに行ってしまった。こちらで打ち合わせや取材をして、向こうでパソコン仕事ができる。コワーキングスペースというもの、案外便利なものだった。
おれもノマドになった気分で、今度登録してみようかな。