ー特別編ー黄色のCurrency
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俺は言いにくいことをはっきりいった。
「やっぱり内部に情報源がいるんじゃないか。」
「……」
俺は人の善意を信じるか、悪意を疑うかなら残念ながら後者を選ぶ人間だ。
だからダメ押しも言わせもらう。
「悪いけどさ、札を刷ってる部門の人間全員の顔写真と住所・氏名をもらえないか。できれば、他の部署の人間に用意させてほしいんだけど。」
オコノギはため息をついて うなずくと、内線で人をよんだ。
………
二十分ほど待って俺がうけとったのは、ボランティア登録票のカラーコピーだった。
黄色のカードには正面の顔写真と名前がはいっている。
住所と電話番号は手書きだ。ざっとめくりながら数える。十六人分。中には将也も居た。
「デザイン部門だけでこんなにいるんだ。すごいね。」
オコノギは肩をすくめた。
「タウン誌つくりとホームページの更新は、このNPOの中心的な仕事だ。パンフレットやチラシみたいなすりものも無数にある。この部署の人間なら誰でもep札のデザインがはいったファイルにアクセスできる。どうすつもりだ?」
俺みたいなバカがコンピューター犯罪なんて追えるはずかない。潜れる場所だって、池袋のストーリートだけ。
地域密着型しかも低空飛行のトラブルシューターなのだ。
「この写真をもってまたカフェめぐりをしてみるよ。その前にさ、そのデザイン部をみせてくれないか。あと案内は…星崎将也ってのに頼んでくれ。」
数分すると将也が会議室にやって来た。
将也は先に立って、同じフロアを歩いていった。
「呼び出して悪いな。」
「いえ。力になれるなら構いません。」
将也の礼儀正しさは根っからなのか学校でいるときより更にピッと張った言葉使いだ。
「ここがデザイン部です」
パーティーションで仕切られた窓際のブースに案内される。
ひとりにひとつ横長机と二台以上のコンピューターは最新式だ。
将也はくるくるとマウスを動かす大学生くらいの男に声をかけた。
「チーフはどちらにいます?」
室内なのに首に薄手のマフラーを三重巻きにした男が、左耳のピアスを揺らしながらいった。
「遠藤さんは今でてるよ。」
「わかりました。」
将也は辺りを見回した。
手をあげて人を呼び、また声をかける。
「浅野さん。ちょっとこの部署の仕事を、こちらの悠さんに教えるので少し見学時間いただきますね。」
赤いパーティーションの向こうから、浅野と呼ばれた男が近づいてきた。
あちこちに裂け目のあるデザイナージーンズに灰色のシャツ。
十本のうちの三本の指にはごついシルバーの指輪がはまってる。
たしか…さっきのカラーコピーには確か、サブチーフと書いてあったはずだ。
アサノはひどく色が白かった。三日分の不精ひげに半分閉じた目。ワイルドで計算されたおしゃれ。
とぼけた調子の声がいった。
「新しい戦力かな?うちは慢性的に手が足りないんだから、人員増強になるならたのむよ。悠くんは、パソコンつかえるの?」
「ぜんぜん。ネットと打ち込みとメール程度。一般人クラスだ。」
「半年あれば大丈夫だ。星崎くんは三日で戦力になったがね。」
考えとくと俺はいって、将也はブースのなかを歩きながら、仕事の内容を説明してくれた。
「やっぱり内部に情報源がいるんじゃないか。」
「……」
俺は人の善意を信じるか、悪意を疑うかなら残念ながら後者を選ぶ人間だ。
だからダメ押しも言わせもらう。
「悪いけどさ、札を刷ってる部門の人間全員の顔写真と住所・氏名をもらえないか。できれば、他の部署の人間に用意させてほしいんだけど。」
オコノギはため息をついて うなずくと、内線で人をよんだ。
………
二十分ほど待って俺がうけとったのは、ボランティア登録票のカラーコピーだった。
黄色のカードには正面の顔写真と名前がはいっている。
住所と電話番号は手書きだ。ざっとめくりながら数える。十六人分。中には将也も居た。
「デザイン部門だけでこんなにいるんだ。すごいね。」
オコノギは肩をすくめた。
「タウン誌つくりとホームページの更新は、このNPOの中心的な仕事だ。パンフレットやチラシみたいなすりものも無数にある。この部署の人間なら誰でもep札のデザインがはいったファイルにアクセスできる。どうすつもりだ?」
俺みたいなバカがコンピューター犯罪なんて追えるはずかない。潜れる場所だって、池袋のストーリートだけ。
地域密着型しかも低空飛行のトラブルシューターなのだ。
「この写真をもってまたカフェめぐりをしてみるよ。その前にさ、そのデザイン部をみせてくれないか。あと案内は…星崎将也ってのに頼んでくれ。」
数分すると将也が会議室にやって来た。
将也は先に立って、同じフロアを歩いていった。
「呼び出して悪いな。」
「いえ。力になれるなら構いません。」
将也の礼儀正しさは根っからなのか学校でいるときより更にピッと張った言葉使いだ。
「ここがデザイン部です」
パーティーションで仕切られた窓際のブースに案内される。
ひとりにひとつ横長机と二台以上のコンピューターは最新式だ。
将也はくるくるとマウスを動かす大学生くらいの男に声をかけた。
「チーフはどちらにいます?」
室内なのに首に薄手のマフラーを三重巻きにした男が、左耳のピアスを揺らしながらいった。
「遠藤さんは今でてるよ。」
「わかりました。」
将也は辺りを見回した。
手をあげて人を呼び、また声をかける。
「浅野さん。ちょっとこの部署の仕事を、こちらの悠さんに教えるので少し見学時間いただきますね。」
赤いパーティーションの向こうから、浅野と呼ばれた男が近づいてきた。
あちこちに裂け目のあるデザイナージーンズに灰色のシャツ。
十本のうちの三本の指にはごついシルバーの指輪がはまってる。
たしか…さっきのカラーコピーには確か、サブチーフと書いてあったはずだ。
アサノはひどく色が白かった。三日分の不精ひげに半分閉じた目。ワイルドで計算されたおしゃれ。
とぼけた調子の声がいった。
「新しい戦力かな?うちは慢性的に手が足りないんだから、人員増強になるならたのむよ。悠くんは、パソコンつかえるの?」
「ぜんぜん。ネットと打ち込みとメール程度。一般人クラスだ。」
「半年あれば大丈夫だ。星崎くんは三日で戦力になったがね。」
考えとくと俺はいって、将也はブースのなかを歩きながら、仕事の内容を説明してくれた。