ー特別編ー黄色のCurrency
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「最近ではどうですか?」
澪が質問した。
「どうですという、意味は?」
「例えば先月の終わりにep札で精算した客の顔なら見分けがつくでしょうか」
店長は形を整えた眉を寄せて、考えこんだ。
「うーん、それはむずかしいかな。あとでep分の伝票を見せてあげてもいいけど、客の顔までは覚えてないからね。」
粘ってもなにも出てきそうになかった。
俺は携帯の番号を交換して、礼をいった。
店長はCDを替えに去った。
ボサノバからアイルランドのフォーク音楽へ、趣味が良い。
俺は薄味のキッシュを食べて、お湯割りみたいな紅茶を飲んだ。
おしゃれなカフェのステップをおしゃれに降りる。
シティボーイ悠。
「なかなか、しゃれた店だったな。悠なにか感じたか?」
「そうだな…なんだか猛烈に煮込みが食いたくなったな。味噌味でどろどろのモツ。」
きっと俺の中のDNAは「おしゃれ」に対して耐性がないんだろう。
おしゃれに珈琲とクッキーでセレブじゃなく。
下品で安酒とつまみでが似合うんだ。
「悠真面目にやってるか?」
「やってるさ。ほら、次いくぜ。」
………
二件目のカフェは東池袋二丁目、予備校そばのネイチャーキッチン。
こちらの店はぐっと庶民的な内装で、家具は北欧名作の明らかなコピーとわかるものばかり。
ラーメン屋から転職したような店長は、頭の薄い気さくなオヤジだ。
なんだかうまそうだったので俺は白玉ココナツぜんざいをたのんだ。
ここでもオーディネールと同じ質問をする。
答えはシンプル。
epの使用客は一割くらいでやはり流しの客なら顔はわからないが、常連ならきっとわかる。
「ここも収穫はないな。」
「そーだなー」
この店はオヤジの趣味だろうか八十年代のディスコ音楽がかかっていた。打ちこみが流行る前の人類史上最強のダンスミュージックだ。
俺は白玉を口に放りこみながら、勝手に指の先がリズムをとってしまう。
「なぁ、悠。本当に真面目にやってるか?」
「あぁ。甘いけどなかなか絶品だぞ。この白玉。」
「ぜんざいの話しは聞いてない。」
「そう、カッカするなよ。ほら。」
「ングッ!」
澪の口に白玉を放りこんだ。
一瞬不機嫌な顔になったみたいだけど白玉の味が解ると小さく美味いと呟いた。
「俺のやり方はこんな感じなんだよ。本当にブラブラ動くだけ。」
「今までも?」
「あぁ。自慢じゃないけど考えるのは苦手なんだ頭もよくないから。」
「ふぅ。まぁ悠が大丈夫っていうなら任せるけどさ。」
「まだ、初日なんだのんびりやろう。」
こんな事を言いつつ、今回は本当にかなりゆったりしていた。
おのぼりさんみたいに池袋のカフェめぐりをしたうえ、こんなに楽しんで本当に偽札づくりが捕まるんだろうか。
俺はぜんざい分をepで払って夕方の街に戻った。
なんだか十九世紀の探偵にでもなった気分だ。
カフェめぐりで解決される美しく、趣味のいい殺人事件……なんてな。
澪が質問した。
「どうですという、意味は?」
「例えば先月の終わりにep札で精算した客の顔なら見分けがつくでしょうか」
店長は形を整えた眉を寄せて、考えこんだ。
「うーん、それはむずかしいかな。あとでep分の伝票を見せてあげてもいいけど、客の顔までは覚えてないからね。」
粘ってもなにも出てきそうになかった。
俺は携帯の番号を交換して、礼をいった。
店長はCDを替えに去った。
ボサノバからアイルランドのフォーク音楽へ、趣味が良い。
俺は薄味のキッシュを食べて、お湯割りみたいな紅茶を飲んだ。
おしゃれなカフェのステップをおしゃれに降りる。
シティボーイ悠。
「なかなか、しゃれた店だったな。悠なにか感じたか?」
「そうだな…なんだか猛烈に煮込みが食いたくなったな。味噌味でどろどろのモツ。」
きっと俺の中のDNAは「おしゃれ」に対して耐性がないんだろう。
おしゃれに珈琲とクッキーでセレブじゃなく。
下品で安酒とつまみでが似合うんだ。
「悠真面目にやってるか?」
「やってるさ。ほら、次いくぜ。」
………
二件目のカフェは東池袋二丁目、予備校そばのネイチャーキッチン。
こちらの店はぐっと庶民的な内装で、家具は北欧名作の明らかなコピーとわかるものばかり。
ラーメン屋から転職したような店長は、頭の薄い気さくなオヤジだ。
なんだかうまそうだったので俺は白玉ココナツぜんざいをたのんだ。
ここでもオーディネールと同じ質問をする。
答えはシンプル。
epの使用客は一割くらいでやはり流しの客なら顔はわからないが、常連ならきっとわかる。
「ここも収穫はないな。」
「そーだなー」
この店はオヤジの趣味だろうか八十年代のディスコ音楽がかかっていた。打ちこみが流行る前の人類史上最強のダンスミュージックだ。
俺は白玉を口に放りこみながら、勝手に指の先がリズムをとってしまう。
「なぁ、悠。本当に真面目にやってるか?」
「あぁ。甘いけどなかなか絶品だぞ。この白玉。」
「ぜんざいの話しは聞いてない。」
「そう、カッカするなよ。ほら。」
「ングッ!」
澪の口に白玉を放りこんだ。
一瞬不機嫌な顔になったみたいだけど白玉の味が解ると小さく美味いと呟いた。
「俺のやり方はこんな感じなんだよ。本当にブラブラ動くだけ。」
「今までも?」
「あぁ。自慢じゃないけど考えるのは苦手なんだ頭もよくないから。」
「ふぅ。まぁ悠が大丈夫っていうなら任せるけどさ。」
「まだ、初日なんだのんびりやろう。」
こんな事を言いつつ、今回は本当にかなりゆったりしていた。
おのぼりさんみたいに池袋のカフェめぐりをしたうえ、こんなに楽しんで本当に偽札づくりが捕まるんだろうか。
俺はぜんざい分をepで払って夕方の街に戻った。
なんだか十九世紀の探偵にでもなった気分だ。
カフェめぐりで解決される美しく、趣味のいい殺人事件……なんてな。