ー特別編ー北口スモークタワー
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残念だったのは、ミオンのばあが事故に巻き込まれる以前から骨粗しょう症だったこと。うしろから追突されたばあは、もろくなっていた腰骨の右半分と右の太ももを複雑骨折してしまった。シンジの判決が出ることになっても、まだ入院したまま。もう杖なし出歩くことは難しいと医者にはいわれたそうだ。リハビリにあと何年かかることか。
悪運のたまつきってあるよな。
そのときミオンはまだ小学五年生。ばあが長期入院したら、ひとりで生活できない。実の母親は引き取りを拒否した。ミオンは押し出されるように児童養護施設にいくことになった。
このガキが暮らしているのは、東池袋にある「青桐の家」だ。
青桐は美しい緑色の幹をした広葉樹で、伐られてもすぐに生長を再開する生命力の強い木だという。希望をこめてつけた施設名なのだろうが、おれはどの子どもにもそんな復元力があるなんてとても思えない。
枝や葉ならまだいいだろう。だが、幹を刈り取られて、すくすく伸びるガキなんて、そうはいないものだ。それはおれのまわりにいたたくさんのガキを見ていればよくわかる。やつらのほとんどは、通りにあいた排水溝にのまれるように、おれたちの社会のダークサイドに落ちていった。フォースはこの街では有効じゃない。
「そういうことか。シンジとかいうジャンキーが脱法ハーブを手にいれたのが、あのスモークタワーだったんだな」
ミオンはホットココアのおかわりで、すこし眠たくなったようだった。目が腫れぼったい。おれにうなずいていった。
「うん。あいつはいつもあそこで買ってたんだって。週刊紙に書いてあった」
「タカシ、その店はどうなんだ。」
タカシは砂糖もミルクも抜きでエスプレッソのダブルをすすっている。よくあんな苦い泥水がのめるものだ。
「まだ営業している」
「警察からのおとがめは?」
「指導や注意はあったが、店側は突っぱねた」
面白がっているようだ。まあ、敵の敵は味方というから、警察をおちょくるやつらみんな面白いのかもしれない。
「俺は脱法ハーブにも、ドラッグにも詳しくない。あとておまえの店に専門家を送る。やつから話を聞いてくれ。」
「名前は?」
「教授」
「本名は?」
「ストリートネームだけだ。俺も知らない。やつはS・ウルフのメンバーというより、相談役といったところだ。悠もわかっていると思うが、うちでは覚醒剤もマリファナもご法度だ。」
どこかの暴力団と違って、S・ウルフの禁制は絶対だ。おれの知る限りスピードやマリファナに手を出しているガキは今のところいない。
おれは目をこするミオンに聞いてみた。
悪運のたまつきってあるよな。
そのときミオンはまだ小学五年生。ばあが長期入院したら、ひとりで生活できない。実の母親は引き取りを拒否した。ミオンは押し出されるように児童養護施設にいくことになった。
このガキが暮らしているのは、東池袋にある「青桐の家」だ。
青桐は美しい緑色の幹をした広葉樹で、伐られてもすぐに生長を再開する生命力の強い木だという。希望をこめてつけた施設名なのだろうが、おれはどの子どもにもそんな復元力があるなんてとても思えない。
枝や葉ならまだいいだろう。だが、幹を刈り取られて、すくすく伸びるガキなんて、そうはいないものだ。それはおれのまわりにいたたくさんのガキを見ていればよくわかる。やつらのほとんどは、通りにあいた排水溝にのまれるように、おれたちの社会のダークサイドに落ちていった。フォースはこの街では有効じゃない。
「そういうことか。シンジとかいうジャンキーが脱法ハーブを手にいれたのが、あのスモークタワーだったんだな」
ミオンはホットココアのおかわりで、すこし眠たくなったようだった。目が腫れぼったい。おれにうなずいていった。
「うん。あいつはいつもあそこで買ってたんだって。週刊紙に書いてあった」
「タカシ、その店はどうなんだ。」
タカシは砂糖もミルクも抜きでエスプレッソのダブルをすすっている。よくあんな苦い泥水がのめるものだ。
「まだ営業している」
「警察からのおとがめは?」
「指導や注意はあったが、店側は突っぱねた」
面白がっているようだ。まあ、敵の敵は味方というから、警察をおちょくるやつらみんな面白いのかもしれない。
「俺は脱法ハーブにも、ドラッグにも詳しくない。あとておまえの店に専門家を送る。やつから話を聞いてくれ。」
「名前は?」
「教授」
「本名は?」
「ストリートネームだけだ。俺も知らない。やつはS・ウルフのメンバーというより、相談役といったところだ。悠もわかっていると思うが、うちでは覚醒剤もマリファナもご法度だ。」
どこかの暴力団と違って、S・ウルフの禁制は絶対だ。おれの知る限りスピードやマリファナに手を出しているガキは今のところいない。
おれは目をこするミオンに聞いてみた。