ー特別編ードラゴン・オーシャン
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翌日からリンと親父の手によって、クーの小鳥遊家への養子縁組の手続きが開始された。その時点で、研修生の契約は解除されるので、もうクーは工場へ帰る必要はなくなった。同時にクーの正式な帰化申請もスタートした。だが、こちらのほうは、だれしもが知る通りそう簡単にはいけない。外国人が日本人になる道は、ひどく遠いのだ。
あの夜クーとリンが玄関を出て、西一番街の路上に戻ったとき、上海グループの男たちは煙のように消えてきた。リンとしては、保険をかけておいただけのようだった。最後でクーを取り逃がすわけにはいかないからな。
今ではクーはあの店をやめ、拳二に紹介してもらった別な池袋のキャバクラ(今度は持ち帰りなしの通常店)で、アルバイトをしている。あの美貌できちんとした日本語を話し、つつましやかなのだから、転職したばかりで売り上げがトップスリーにはいったのは、当たり前の話。なかなか金にはうるさいらしいが、それも愛嬌だ。おれは姉がホステスをしている店では飲みたくないので、そこにはまだ顔を出していない。
今年の春は、おれと親父とクーの三人で西口公園で花見をした。真桜の手作り弁当つきだから、クーは大喜びる
風が吹くと、花びらが散る。さくらの花びらは、あんなに薄くて淡いから、風に乗って谷をわたり、海峡を越えるという。クーがこの街で見つけた淡いよろこびが、いつか海を越え中国の大平原で実る日がやってくるのだろうか。おれはすこし塩辛い真桜のおむすびを頬張りながら、すごく美人の姉の笑顔を(弟として)微笑ましく見ていた。
さくらはまだ盛りだ。そのうち親父抜きで若いものだけで花見をするのもいいかもしれない。かわいい姉と花見をする。そいつは何を隠そう、おれのガキの頃からの夢なのだ。
ドラゴン・オーシャン・完
あの夜クーとリンが玄関を出て、西一番街の路上に戻ったとき、上海グループの男たちは煙のように消えてきた。リンとしては、保険をかけておいただけのようだった。最後でクーを取り逃がすわけにはいかないからな。
今ではクーはあの店をやめ、拳二に紹介してもらった別な池袋のキャバクラ(今度は持ち帰りなしの通常店)で、アルバイトをしている。あの美貌できちんとした日本語を話し、つつましやかなのだから、転職したばかりで売り上げがトップスリーにはいったのは、当たり前の話。なかなか金にはうるさいらしいが、それも愛嬌だ。おれは姉がホステスをしている店では飲みたくないので、そこにはまだ顔を出していない。
今年の春は、おれと親父とクーの三人で西口公園で花見をした。真桜の手作り弁当つきだから、クーは大喜びる
風が吹くと、花びらが散る。さくらの花びらは、あんなに薄くて淡いから、風に乗って谷をわたり、海峡を越えるという。クーがこの街で見つけた淡いよろこびが、いつか海を越え中国の大平原で実る日がやってくるのだろうか。おれはすこし塩辛い真桜のおむすびを頬張りながら、すごく美人の姉の笑顔を(弟として)微笑ましく見ていた。
さくらはまだ盛りだ。そのうち親父抜きで若いものだけで花見をするのもいいかもしれない。かわいい姉と花見をする。そいつは何を隠そう、おれのガキの頃からの夢なのだ。
ドラゴン・オーシャン・完