ー特別編ードラゴン・オーシャン
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おれはパイプベンチを立ち上がっていった。
「さて、どうするんだ?あんたが茨城からわざわざここにきてるってことは、なにかクーを探す手がかりがこの街にあるんだろ」
リンはあわてなかった。足元においた黒いブリーフケースから、くしゃくしゃのちいさなチラシをとりだした。受け取って読んでみた。保証月収20万円、東京勤務、待同胞。されから携帯電話の番号が一列。最後に東龍とおおきくはいっていた。
「その東龍(トンロン)というのが、池袋の中国人組合です。」
名前を聞いたことはあった。表の世界でチャイナタウン構想が発表されるとしたら、裏ではその手の組織が根を張るのはあたりまえだった。どんな樹木でも枝葉と根は同時に成長する。
「だけど、ほかにしりあいでもいて、別な場所に逃げたって可能性はないのか」
アドバイザーは腕を組んで考え込んだ。
「研修生は工場と寮の往復しかしません。そのチラシは寮の近くにあるコンビニで撒かれたもので、ほかにクーと接触した人間はいないと思います。仮に小鳥遊さんのいうとおりなら、わたしたちに打つ手はありません。二百五十人が強制退去させられて、組合は大損害です。」
さて、どうするか。まだあまりに情報がすくなすぎた。東龍については悪い噂をいくつかきいている。
「悪いけど、おれは帰って、いくつか調べごとをしてみるよ。リンさん、あんたはどうする?ちょっとその電話番号にかけてみるか」
「やめておきましょう。それより小鳥遊さん、小腹は空いていませんか」
昼飯をくってから、だいぶたっていた。おれは健康な男子なので、いつでもくいものと美人には飢えているんだ。
「空いてるよ。でも、あんた、どこで小腹なんて言葉覚えたんだ」
リンはスーツのポケットから手帳をとりだした。パラパラとページをめくってみせる。
「毎日が勉強です。わたしは辞書を引かない日はありません。いきましょう、小鳥遊さん、わたしはチャイナタウンの様子を観察しておきたい」
黒いスーツの男は立ち上がり、おれたちは無言で春の公園を歩きだした。おれは西口公園をでるまえにいった。
「なあ、おれのこと小鳥遊さんて呼ぶのは勘弁してくれないか。なんか学校のセンセと話してるような気分になる。」
リンがセルフレームのメガネをきれいな指先で押さえていった。
「では、なんとお呼びすればいいのですか」
「ただの悠でいいよ。おれもあんたのことはリンと呼ぶ」
「わかりました。いきましょう、悠。おいしい四川料理の店があります。」
「さて、どうするんだ?あんたが茨城からわざわざここにきてるってことは、なにかクーを探す手がかりがこの街にあるんだろ」
リンはあわてなかった。足元においた黒いブリーフケースから、くしゃくしゃのちいさなチラシをとりだした。受け取って読んでみた。保証月収20万円、東京勤務、待同胞。されから携帯電話の番号が一列。最後に東龍とおおきくはいっていた。
「その東龍(トンロン)というのが、池袋の中国人組合です。」
名前を聞いたことはあった。表の世界でチャイナタウン構想が発表されるとしたら、裏ではその手の組織が根を張るのはあたりまえだった。どんな樹木でも枝葉と根は同時に成長する。
「だけど、ほかにしりあいでもいて、別な場所に逃げたって可能性はないのか」
アドバイザーは腕を組んで考え込んだ。
「研修生は工場と寮の往復しかしません。そのチラシは寮の近くにあるコンビニで撒かれたもので、ほかにクーと接触した人間はいないと思います。仮に小鳥遊さんのいうとおりなら、わたしたちに打つ手はありません。二百五十人が強制退去させられて、組合は大損害です。」
さて、どうするか。まだあまりに情報がすくなすぎた。東龍については悪い噂をいくつかきいている。
「悪いけど、おれは帰って、いくつか調べごとをしてみるよ。リンさん、あんたはどうする?ちょっとその電話番号にかけてみるか」
「やめておきましょう。それより小鳥遊さん、小腹は空いていませんか」
昼飯をくってから、だいぶたっていた。おれは健康な男子なので、いつでもくいものと美人には飢えているんだ。
「空いてるよ。でも、あんた、どこで小腹なんて言葉覚えたんだ」
リンはスーツのポケットから手帳をとりだした。パラパラとページをめくってみせる。
「毎日が勉強です。わたしは辞書を引かない日はありません。いきましょう、小鳥遊さん、わたしはチャイナタウンの様子を観察しておきたい」
黒いスーツの男は立ち上がり、おれたちは無言で春の公園を歩きだした。おれは西口公園をでるまえにいった。
「なあ、おれのこと小鳥遊さんて呼ぶのは勘弁してくれないか。なんか学校のセンセと話してるような気分になる。」
リンがセルフレームのメガネをきれいな指先で押さえていった。
「では、なんとお呼びすればいいのですか」
「ただの悠でいいよ。おれもあんたのことはリンと呼ぶ」
「わかりました。いきましょう、悠。おいしい四川料理の店があります。」