ー特別編ー鬼子母神ランダウン
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鼻を押さえて泣き出し、無抵抗になった男をおいて、キングが立ち上がった。
「こんなもので、よかったか、悠」
むちゃくちゃなことをする王さま。おれはかろうじていった。
「ああ、一番いい場面は全部タカシのものだった」
王は鷹揚(おうよう)にうなずいて見せた。当然だといいたいのだろう。ナナがやってきた、地面に伸びている男の顔をのぞきこんだ。血まみれの鼻とやはり機械のように感情のない目。
「お前のせいで、うちのマサヒロはサッカーができない身体になったんだ。ぶっ殺してやる!」
石の代わりに自転車についていたアルミの水筒を振りかぶった。重さが二キロ近くある金属容器は十分な凶器だ。タカシはここでも疾風のような速さを見せた。ナナの両手を片手で押さえていった。
「よせ、おまえの弟が見てる。」
マサヒロはまたこのまえと同じフィールドコートを着ていた。松葉づえで近づいて、しっかりとした声でいう。
「そいつを殺しても、ぼくの足は変わらない。ナナ姉、ぼくはだいじょうぶ。自分の足は自分で治してみせるから。」
わーっと声をあげて、ナナが泣き出した。タカシはナナの手から水筒をとると、おれに放り投げた。あまった両腕で泣いている女の肩を抱いた。まあ、この役はくやしいがおれよりもタカシのような二枚目のほうが似合う役である。
メルセデスから、バラバラとS・ウルフがおりてきた。
「キング、だいじょうぶですか。さっき、五メートルくらい宙を飛んでましたよ。ものすごいタックルだったなあ」
タカシは王の無関心でいった。
「警察を呼べ。悠たちと轢き逃げ犯を残して、俺たちはここから消える。」
ナナを離すと、タカシは男のデイパックを探り、財布のなかから名刺を抜いた。
「三月二十二日、この参道でなにがあったか、池袋署で話せ。おまえが轢き逃げ犯でないとしらを切るなら、次は俺がおまえの両足をマサヒロのようにしてやる。わかったか?わかったら、うなずけ」
男はやはり機械のようにかちかちと硬くうなずいてみせた。サイレンの音が聞こえてきたころ、タカシはメルセデスとともにロードレーサーで走り去っていった。
夕方、また西口公園で会おうと手を振りながら。
「こんなもので、よかったか、悠」
むちゃくちゃなことをする王さま。おれはかろうじていった。
「ああ、一番いい場面は全部タカシのものだった」
王は鷹揚(おうよう)にうなずいて見せた。当然だといいたいのだろう。ナナがやってきた、地面に伸びている男の顔をのぞきこんだ。血まみれの鼻とやはり機械のように感情のない目。
「お前のせいで、うちのマサヒロはサッカーができない身体になったんだ。ぶっ殺してやる!」
石の代わりに自転車についていたアルミの水筒を振りかぶった。重さが二キロ近くある金属容器は十分な凶器だ。タカシはここでも疾風のような速さを見せた。ナナの両手を片手で押さえていった。
「よせ、おまえの弟が見てる。」
マサヒロはまたこのまえと同じフィールドコートを着ていた。松葉づえで近づいて、しっかりとした声でいう。
「そいつを殺しても、ぼくの足は変わらない。ナナ姉、ぼくはだいじょうぶ。自分の足は自分で治してみせるから。」
わーっと声をあげて、ナナが泣き出した。タカシはナナの手から水筒をとると、おれに放り投げた。あまった両腕で泣いている女の肩を抱いた。まあ、この役はくやしいがおれよりもタカシのような二枚目のほうが似合う役である。
メルセデスから、バラバラとS・ウルフがおりてきた。
「キング、だいじょうぶですか。さっき、五メートルくらい宙を飛んでましたよ。ものすごいタックルだったなあ」
タカシは王の無関心でいった。
「警察を呼べ。悠たちと轢き逃げ犯を残して、俺たちはここから消える。」
ナナを離すと、タカシは男のデイパックを探り、財布のなかから名刺を抜いた。
「三月二十二日、この参道でなにがあったか、池袋署で話せ。おまえが轢き逃げ犯でないとしらを切るなら、次は俺がおまえの両足をマサヒロのようにしてやる。わかったか?わかったら、うなずけ」
男はやはり機械のようにかちかちと硬くうなずいてみせた。サイレンの音が聞こえてきたころ、タカシはメルセデスとともにロードレーサーで走り去っていった。
夕方、また西口公園で会おうと手を振りながら。