ー特別編ー鬼子母神ランダウン
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その日の午後、うちの家のまえにS・ウルフの公用車がとまった。クジラみたいにでかいメルセデスのRVだ。おれがのりこむと、氷のうえを滑るように走り出す。おれは後部座席で、地図を広げ、タカシといっしょにのぞきこんだ。マサヒロの情報を整理して伝える。キングは目を細めてきいていた。うれしいときに冷たくなるのは、この男の天然の癖。なんというかシベリア寒気団のような性格なのだ。
「おまえのレクチャーはいつも的確でいいな。ヨシキ、おまえもきいていたか」
助手席に座ったこのまえの官僚に話しかけた。
「要点だけをシンプルに報告し、自分の感覚は思いきって伝える。」
「了解です、キング。でも、感覚って、ただの勘ですよね。そういうのも報告するんですか?」
確かにS・ウルフのいうとおりだった。だが、タカシには迷いはない。
「ただの感覚がただしいかどうかは、俺が判断する。悠みたいに研ぎ澄ませた勘なら、俺はいくらでも話をきくぞ」
めずらしいキングのほめ殺し。おれは雑司が谷三丁目の地図を指していった。
「この十二ヵ所の交差点で、張り込みだ」
キングがにやりと笑った。
「ようやく話が動き出したな。俺の出番だ」
目を丸くして、おれはタカシを見た。
「お前が張り込みすんの?」
平然と気まぐれな王がいう。
「ああ、悪いか。悠がうちのチームの手配をするんだろ。俺もナナといっしょに張り込む。」
タカシは本気なのだと思った。いや、人には誰でも弱点があるものだ。完全無欠なはずのキングの弱味が、ぽっちゃり系のかわい子ちゃんだとは。あきれていると、やつがいった。
「十二ヵ所の交差点で、朝夕の張り込みだな」
「いや、夕はやめておこう」
RVはちょうど雑司が谷にさしかかっていた。
「ほら、この街を見てみろよ。寺と神社とあとはすごく静かな住宅街だろ。夕方から夜にかけて、S・ウルフがずっと張り番をしてたら、住民から警察に苦情が来るよ。張り込みは朝だけ。それも事故があった時間を中心に、九十分だけにしよう。そのあいだに自転車で通行するすべての男をチェックしていく」
メルセデスはケヤキの参道にはいった。ざらざらと石畳を通過するタイヤの音が車内に入ってきた。タカシはいう。
「こいつは全線基地としてここに止めておいてもいいな。なんなら、ここにビデオカメラをすえつけよう」
うーん、作戦の細かな部分はすべておれが決めていたのに、今回は調子が狂ってしまう。おれはやけにうれしそうなキングにいった。
「おいおい、お前はこの街のガキの王さまなんだから、しっかりと統治してくれよ」
タカシはあたりまえの顔をして、胸を張った。
「おまえのレクチャーはいつも的確でいいな。ヨシキ、おまえもきいていたか」
助手席に座ったこのまえの官僚に話しかけた。
「要点だけをシンプルに報告し、自分の感覚は思いきって伝える。」
「了解です、キング。でも、感覚って、ただの勘ですよね。そういうのも報告するんですか?」
確かにS・ウルフのいうとおりだった。だが、タカシには迷いはない。
「ただの感覚がただしいかどうかは、俺が判断する。悠みたいに研ぎ澄ませた勘なら、俺はいくらでも話をきくぞ」
めずらしいキングのほめ殺し。おれは雑司が谷三丁目の地図を指していった。
「この十二ヵ所の交差点で、張り込みだ」
キングがにやりと笑った。
「ようやく話が動き出したな。俺の出番だ」
目を丸くして、おれはタカシを見た。
「お前が張り込みすんの?」
平然と気まぐれな王がいう。
「ああ、悪いか。悠がうちのチームの手配をするんだろ。俺もナナといっしょに張り込む。」
タカシは本気なのだと思った。いや、人には誰でも弱点があるものだ。完全無欠なはずのキングの弱味が、ぽっちゃり系のかわい子ちゃんだとは。あきれていると、やつがいった。
「十二ヵ所の交差点で、朝夕の張り込みだな」
「いや、夕はやめておこう」
RVはちょうど雑司が谷にさしかかっていた。
「ほら、この街を見てみろよ。寺と神社とあとはすごく静かな住宅街だろ。夕方から夜にかけて、S・ウルフがずっと張り番をしてたら、住民から警察に苦情が来るよ。張り込みは朝だけ。それも事故があった時間を中心に、九十分だけにしよう。そのあいだに自転車で通行するすべての男をチェックしていく」
メルセデスはケヤキの参道にはいった。ざらざらと石畳を通過するタイヤの音が車内に入ってきた。タカシはいう。
「こいつは全線基地としてここに止めておいてもいいな。なんなら、ここにビデオカメラをすえつけよう」
うーん、作戦の細かな部分はすべておれが決めていたのに、今回は調子が狂ってしまう。おれはやけにうれしそうなキングにいった。
「おいおい、お前はこの街のガキの王さまなんだから、しっかりと統治してくれよ」
タカシはあたりまえの顔をして、胸を張った。