ー特別編ー黄色のCurrency
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その店はJR池袋駅西口の交番近くだった。
立ち食いそばや古本屋なんかが雑然と並ぶ東武デパートの陰に立て込んだ地域にある。
通りに面したガラス窓には黄色いポストイットが無数に貼られ、コンサートや映画、高速券や航空券がでたらめなディスカウント価格で売られていた。
「天野君でいいかな?」
俺は一緒に降りた澪に話しかけた。
「澪でいい。あと敬語もいらない。」
分かりやすくて実に結構。俺はこういうタイプは好きだ。
「なら、俺も悠でいい。勿論敬語も無し。とりあえずここで話を聞いたら何か食べよう。時間は平気か?」
澪は大丈夫と言ってうなずいた。
物静かなのか暗いのかは判断できないが面倒なタイプじゃいならいい。
俺はポスターがやたら貼られたガラス戸を引いた。
店の中は外側と同じでポストイットだらけ。何人かの客と一緒にガラスケースを覗きこんだ。
上段の中央、一番いいところにあの黄色い札があった。扇形に開いて並べてある。
横には本日のレートがはいったプラスチックの掲示板。
俺は買値を澪は売値を確認した。
「買い入れ価格は100ep六百十円か。」
「売値は同じく六百七十円みたいですね。」
そうすると俺のポケットには十二万円以上のep札がうなってる事になる。
久々の金持ち気分。
WWFのキャップを被った店員に声をかけた。
「このep札なんだけど、調子はどうかな?」
キャップの男はケースに目をやるといった。
「どういいこと、レートのはなし?」
おれはうなずいていった。
「そう。それにどんな客がこれもってくるのかな」
男の態度はぞんざいだった。
学生服のうえ、金をもってなさそうだからだろう。
「レートは去年に比べると一割以上あがってる。」
「へぇ…じゃあ、しばらくepでもってるほうがいいんだ。」
俺がポケットからNPOの封筒を抜くと、男は目のはしで鋭くチェックした。
「そうだね。じぶんならそうする。ここにepをもってくる人間はいろいろだけど、まず飲食店のオーナーなんかと、ボランティアだな。センターで換金するより、ここで換えたほうがレートがいいから」
「ふぅん。」
俺はガラスケースにかがみこんで、孔雀の羽のように開かれたep札を観察した。
じっくり見ても本物と偽物の区別はつかなかった。
あのゴマ粒のようなトリもついてない。
店員がうさんくさそうな顔で俺を見るので店を出た。
歩道にもどると夜に全身をつかまれる。
池袋駅前を吹きすぎる風はワタアメみたいに柔らかい。
「なぁ、喉乾かないか?」
俺は隣にいる澪に質問した。
「少し。」
「じゃ、ファミレスでもいこう。んで、ついでにミニ会議だ。」
俺はいつものファミレスに向かって歩き出した。
立ち食いそばや古本屋なんかが雑然と並ぶ東武デパートの陰に立て込んだ地域にある。
通りに面したガラス窓には黄色いポストイットが無数に貼られ、コンサートや映画、高速券や航空券がでたらめなディスカウント価格で売られていた。
「天野君でいいかな?」
俺は一緒に降りた澪に話しかけた。
「澪でいい。あと敬語もいらない。」
分かりやすくて実に結構。俺はこういうタイプは好きだ。
「なら、俺も悠でいい。勿論敬語も無し。とりあえずここで話を聞いたら何か食べよう。時間は平気か?」
澪は大丈夫と言ってうなずいた。
物静かなのか暗いのかは判断できないが面倒なタイプじゃいならいい。
俺はポスターがやたら貼られたガラス戸を引いた。
店の中は外側と同じでポストイットだらけ。何人かの客と一緒にガラスケースを覗きこんだ。
上段の中央、一番いいところにあの黄色い札があった。扇形に開いて並べてある。
横には本日のレートがはいったプラスチックの掲示板。
俺は買値を澪は売値を確認した。
「買い入れ価格は100ep六百十円か。」
「売値は同じく六百七十円みたいですね。」
そうすると俺のポケットには十二万円以上のep札がうなってる事になる。
久々の金持ち気分。
WWFのキャップを被った店員に声をかけた。
「このep札なんだけど、調子はどうかな?」
キャップの男はケースに目をやるといった。
「どういいこと、レートのはなし?」
おれはうなずいていった。
「そう。それにどんな客がこれもってくるのかな」
男の態度はぞんざいだった。
学生服のうえ、金をもってなさそうだからだろう。
「レートは去年に比べると一割以上あがってる。」
「へぇ…じゃあ、しばらくepでもってるほうがいいんだ。」
俺がポケットからNPOの封筒を抜くと、男は目のはしで鋭くチェックした。
「そうだね。じぶんならそうする。ここにepをもってくる人間はいろいろだけど、まず飲食店のオーナーなんかと、ボランティアだな。センターで換金するより、ここで換えたほうがレートがいいから」
「ふぅん。」
俺はガラスケースにかがみこんで、孔雀の羽のように開かれたep札を観察した。
じっくり見ても本物と偽物の区別はつかなかった。
あのゴマ粒のようなトリもついてない。
店員がうさんくさそうな顔で俺を見るので店を出た。
歩道にもどると夜に全身をつかまれる。
池袋駅前を吹きすぎる風はワタアメみたいに柔らかい。
「なぁ、喉乾かないか?」
俺は隣にいる澪に質問した。
「少し。」
「じゃ、ファミレスでもいこう。んで、ついでにミニ会議だ。」
俺はいつものファミレスに向かって歩き出した。