ー特別編ー黄色のCurrency
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「話の腰を折ってしまったね。そのep札を手にとって見てほしい。そのうち一枚は、ぼくたちのNPOが発行している池袋の地域通貨ep紙幣だ。」
俺はほとんど同じように見える二枚の札を手にした。
「ふーん…」
すかしなどどちらにもない。
複雑な干渉を起こした水紋の絵柄もかわりないようだった。
「ふむ、紙の手触りがちょっとだけ片方がつるつるしてるな。」
「区別がつくかな。」
若きNPO代表は爪を噛んで、俺を上目づかいにみる。
「ぜんぜん。」
「表面がなめらかな方が偽物で、もう一枚がほんものだ。これで左隅の波紋をよく見てみるといい。」
そういって俺のまえにルーペを滑らせる。
俺は偽100ep札の端を拡大した。
同心円の中心にゴマ粒の半分くらいのおおきさで、羽を広げた鳥が描かれていた。
よく見ると鳥の開いたクチバシには鋭い牙がびっしりと生えている。
「なんだか悪そうなトリだな。」
「冗談のつもりでそんなイラストをいれたんだろう。もう、ぼくからきみへの依頼の筋はわかってもらえたと思う。」
うなづいて俺は言った。
「偽札つくりの犯人さがし。」
人差し指の先をこめかみにあてた。
なんだか、SMAPの稲垣吾朗みたいだ。嫌みのないギザ男。
え?誰がだって?勿論俺ね。
「そう。そして秘密裏に偽札つくりをやめさせてほしい。」
「質問。なんで、俺なんだ。警察じゃだめなのか?」
オコノギは眉のあいだのしわを深くした。
ep札と同じ黄色のネクタイの先をいじりながらいう。
「ぼくたちの地域通貨はまだ生まれたばかりだ。君はなぜ金が、紙切れではなく通貨として価値をもつか知ってるかな。」
経済学は俺の専門外。黙っているとやつはいう。
「他の人間も同じ価値のあるものとその紙切れを交換してくれると、みんなが信じているからだ。みんなが信じることを信用力という。ぼくたちのepは、まだ信用力が弱いんだ。地域通貨は生まれたばかりの若芽と同じだ。ちょっとした風や寒さで、すぐに死んでしまう。epには円と違って、日本政府のような強力なバックはない。」
「なるほど、だからこの偽札騒ぎは秘密裏に解決したいんだな。」
俺は足を組んで指をパチンと弾いた。
偉そうな態度でも一向にカッコはついてない。
「あぁ。池袋の人たちには公表したくない。それにせのイラストを見て、君はなにか感じないか。」
感じた。
ヤンキーの兵隊が爆撃機の先に歯をむき出して笑うミサイルの絵を描くのと同じ趣味だ。
明るく乾いた皮肉な悪意。俺はいった。
「たぶん、これを描いたのは調子にのったガキだな。」
俺みたいにとは言わなかった。
オコノギは重々しくうなづく。
「そうだ。それにうちのNPOの主力になっている年齢層でもある。もしかすると犯人はこの事務所のなかにいるかもしれない」
今度はため息をついて、俺がうなずく番だった。
俺はほとんど同じように見える二枚の札を手にした。
「ふーん…」
すかしなどどちらにもない。
複雑な干渉を起こした水紋の絵柄もかわりないようだった。
「ふむ、紙の手触りがちょっとだけ片方がつるつるしてるな。」
「区別がつくかな。」
若きNPO代表は爪を噛んで、俺を上目づかいにみる。
「ぜんぜん。」
「表面がなめらかな方が偽物で、もう一枚がほんものだ。これで左隅の波紋をよく見てみるといい。」
そういって俺のまえにルーペを滑らせる。
俺は偽100ep札の端を拡大した。
同心円の中心にゴマ粒の半分くらいのおおきさで、羽を広げた鳥が描かれていた。
よく見ると鳥の開いたクチバシには鋭い牙がびっしりと生えている。
「なんだか悪そうなトリだな。」
「冗談のつもりでそんなイラストをいれたんだろう。もう、ぼくからきみへの依頼の筋はわかってもらえたと思う。」
うなづいて俺は言った。
「偽札つくりの犯人さがし。」
人差し指の先をこめかみにあてた。
なんだか、SMAPの稲垣吾朗みたいだ。嫌みのないギザ男。
え?誰がだって?勿論俺ね。
「そう。そして秘密裏に偽札つくりをやめさせてほしい。」
「質問。なんで、俺なんだ。警察じゃだめなのか?」
オコノギは眉のあいだのしわを深くした。
ep札と同じ黄色のネクタイの先をいじりながらいう。
「ぼくたちの地域通貨はまだ生まれたばかりだ。君はなぜ金が、紙切れではなく通貨として価値をもつか知ってるかな。」
経済学は俺の専門外。黙っているとやつはいう。
「他の人間も同じ価値のあるものとその紙切れを交換してくれると、みんなが信じているからだ。みんなが信じることを信用力という。ぼくたちのepは、まだ信用力が弱いんだ。地域通貨は生まれたばかりの若芽と同じだ。ちょっとした風や寒さで、すぐに死んでしまう。epには円と違って、日本政府のような強力なバックはない。」
「なるほど、だからこの偽札騒ぎは秘密裏に解決したいんだな。」
俺は足を組んで指をパチンと弾いた。
偉そうな態度でも一向にカッコはついてない。
「あぁ。池袋の人たちには公表したくない。それにせのイラストを見て、君はなにか感じないか。」
感じた。
ヤンキーの兵隊が爆撃機の先に歯をむき出して笑うミサイルの絵を描くのと同じ趣味だ。
明るく乾いた皮肉な悪意。俺はいった。
「たぶん、これを描いたのは調子にのったガキだな。」
俺みたいにとは言わなかった。
オコノギは重々しくうなづく。
「そうだ。それにうちのNPOの主力になっている年齢層でもある。もしかすると犯人はこの事務所のなかにいるかもしれない」
今度はため息をついて、俺がうなずく番だった。