ー特別編ーカウントアップ
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蜂の巣をつついたような騒ぎの社長室を、おれはぼんやりと見渡していた。部屋に戻ればコラムの取材用にヒロキの話を録音したデータがある。一刻も早くこの部屋をでたかったが、おれは指示を待っていた。しばらくして多田がおれがまだ室内に残っていることに気づいた。礼もいわずに、あごの先を出口にしゃくる。
手下のひとりがおれをていねいにつまみ出してくれた。川越街道に戻ると、おれはすぐにタクシーを停めた。歩くのも電車にのるのも嫌だった。なるべく頭を揺らしたくなかったのだ。
ワー・カッパ・ピザーラ・マック・ミスド
おれの頭のなかを数の呪文が駆け回っていた。
家の近くで降りると、早足でうちへと向かった。家のまえにタクシーをのりつける勇気など、おれにはない。真桜にいわせるとタクシーにのるのは二十年早いそうだ。
おれは階段を駆けのぼった。部屋の机にむかい、パソコンを起動してイヤホンをぶっ刺した、たまった取材データの入ったフォルダを開く。おれはヒロキとの会話を何度か巻き戻し、数字とファストフードのチェーン店の対照表をつくった。
最初の「ワー」はわからない。だが、カッパ寿司かは5、ピザーラは4、マクドナルドは1、ミスタードーナツは6に対応していた。
わ5416!
紙に書いてみるとすぐにわかった。クルマのナンバープレートだ。ラッキーなことに「わ」で始まるのは、レンタカーの番号だった。おれは鍵をかけた一番うえの引き出しから、シャロン吉村の通帳を取った。部屋を飛び出した、また階段を駆けおりる。
広間で団らんしていた真桜にデコ、駒狸とカゲコがあきれておれを見送った。
またタクシーをとめる。いき先は東池袋のデニーズ。禅は今日もあそこに座り、聖なるメッセージを待っているはずだった。タクシーはJRの路線をまたぐ陸橋に向かってゆるやかな差かをのぼった。窓越しにソープランドと映画の看板が見える。陸橋のうえに広がるのは砕いた氷を敷き詰めた冬空。陸橋を越えると川越街道に合流し、東口の五差路にでた。春日通りへ曲がったタクシーはNTTのまえでとまる。
おれは料金を払うと、通りのまんなかを突っ切り、ファミレスの店内にはいっていった。窓際の一番奥、特等席のテーブルに禅が座っている。おれを見るとかすかにほほえんだ。正面に座ると、やつはいった。
「お……待ち…して…ま……した。好き……なもの…を…頼ん……で…くださ…い。仕事で…来…るか……たには…俺の…奢り……です」
すぐにウエイトレスのハルピがやってくる。真冬でも薄着。アイスコーヒーを注文した。
手下のひとりがおれをていねいにつまみ出してくれた。川越街道に戻ると、おれはすぐにタクシーを停めた。歩くのも電車にのるのも嫌だった。なるべく頭を揺らしたくなかったのだ。
ワー・カッパ・ピザーラ・マック・ミスド
おれの頭のなかを数の呪文が駆け回っていた。
家の近くで降りると、早足でうちへと向かった。家のまえにタクシーをのりつける勇気など、おれにはない。真桜にいわせるとタクシーにのるのは二十年早いそうだ。
おれは階段を駆けのぼった。部屋の机にむかい、パソコンを起動してイヤホンをぶっ刺した、たまった取材データの入ったフォルダを開く。おれはヒロキとの会話を何度か巻き戻し、数字とファストフードのチェーン店の対照表をつくった。
最初の「ワー」はわからない。だが、カッパ寿司かは5、ピザーラは4、マクドナルドは1、ミスタードーナツは6に対応していた。
わ5416!
紙に書いてみるとすぐにわかった。クルマのナンバープレートだ。ラッキーなことに「わ」で始まるのは、レンタカーの番号だった。おれは鍵をかけた一番うえの引き出しから、シャロン吉村の通帳を取った。部屋を飛び出した、また階段を駆けおりる。
広間で団らんしていた真桜にデコ、駒狸とカゲコがあきれておれを見送った。
またタクシーをとめる。いき先は東池袋のデニーズ。禅は今日もあそこに座り、聖なるメッセージを待っているはずだった。タクシーはJRの路線をまたぐ陸橋に向かってゆるやかな差かをのぼった。窓越しにソープランドと映画の看板が見える。陸橋のうえに広がるのは砕いた氷を敷き詰めた冬空。陸橋を越えると川越街道に合流し、東口の五差路にでた。春日通りへ曲がったタクシーはNTTのまえでとまる。
おれは料金を払うと、通りのまんなかを突っ切り、ファミレスの店内にはいっていった。窓際の一番奥、特等席のテーブルに禅が座っている。おれを見るとかすかにほほえんだ。正面に座ると、やつはいった。
「お……待ち…して…ま……した。好き……なもの…を…頼ん……で…くださ…い。仕事で…来…るか……たには…俺の…奢り……です」
すぐにウエイトレスのハルピがやってくる。真冬でも薄着。アイスコーヒーを注文した。