ー特別編ーカウントアップ
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その週末ヒロキは西口公園にはこなかった。日曜日は家族サービスをするらしく、いつもの通り。しかし、週明けの月曜日にもやってこない。おれは一時間ほどおいてはちょこちょこ円形広場をのぞいたが、ヒロキは結局その日も姿を見せなかった。
今年の残りも十一日。池袋の街は真近になったクリスマスと冬休みに舞い上がっている。おれは凍って尻に貼りつきそうな金属製のベンチに座り、ヒロキと同じ背格好のガキが通るとばかみたいに目を泳がせた。あの変なガキがいつからこんなに気になるようになったのだろう。裸になった公園のケヤキをビル風が揺らすと、カチカチと計数機の音が聞こえるような気がした。
火曜日、ヒロキの代わりにやって来たのはあの猟犬のような運転手だった。制服姿のOLが手をつないで散歩してる、昼休みの西口公園。いつものようにベンチに座るおれのまえに、よく知らないブランドのイニシャルがでかでかと入った紺の革靴が二足分並ぶ。
目をあげると、運転手と運転手をひとまわり粗暴にしたような男が立っていた。今回はスーツではなく、ラテンの色使いの派手なブルゾン姿だった。運転手はドスをきかせたつくり声でいう。
「おまえ、小鳥遊だな。うちの坊っちゃんがどこにいるか、知らないか」
おれはとりあえずうしろを振り向いた。ベンチの後方にも岩のような顔をした男がひとり腕組みしている。細めた両目のすき間からこっちをじっと見た。おれはいった。
「ヒロキはどこかに消えたのか」
運転手はとなりの男と目をあわせた。あきれた顔をする。
「黙れ。きいてるのは俺だ。ちかごろのガキは、なにをするかわからんからな。月曜おまえはなにやってた。坊っちゃんを連れていってないだろうな。」
ヒロキが多田の家から居なくなっている!禅の忠告を思い出した。危険なのはおれではなくヒロキで、おれはとばっちりを食うという警告だったのか。
「月曜日はヒロキには会っていない。あんたたちでさえ、簡単に見つかるんだからな。」
となりの男が泡を吹きながら、飛びかかってこようとした。猟犬がなだめる。ハウス。交番が目と鼻の先にあるまっ昼間の西口公園で、ドンパチやろうとする。どの業界でも人材は不足だ。
「いいか、坊っちゃんからなにか連絡がはいったら、すぐそこに電話しろ。そうしなけりゃ、こいつを夜中におまえの家にやる。いいな。」
運転手は指先でカードを弾くように、豊島開発の名刺をおれの胸に投げた。
今年の残りも十一日。池袋の街は真近になったクリスマスと冬休みに舞い上がっている。おれは凍って尻に貼りつきそうな金属製のベンチに座り、ヒロキと同じ背格好のガキが通るとばかみたいに目を泳がせた。あの変なガキがいつからこんなに気になるようになったのだろう。裸になった公園のケヤキをビル風が揺らすと、カチカチと計数機の音が聞こえるような気がした。
火曜日、ヒロキの代わりにやって来たのはあの猟犬のような運転手だった。制服姿のOLが手をつないで散歩してる、昼休みの西口公園。いつものようにベンチに座るおれのまえに、よく知らないブランドのイニシャルがでかでかと入った紺の革靴が二足分並ぶ。
目をあげると、運転手と運転手をひとまわり粗暴にしたような男が立っていた。今回はスーツではなく、ラテンの色使いの派手なブルゾン姿だった。運転手はドスをきかせたつくり声でいう。
「おまえ、小鳥遊だな。うちの坊っちゃんがどこにいるか、知らないか」
おれはとりあえずうしろを振り向いた。ベンチの後方にも岩のような顔をした男がひとり腕組みしている。細めた両目のすき間からこっちをじっと見た。おれはいった。
「ヒロキはどこかに消えたのか」
運転手はとなりの男と目をあわせた。あきれた顔をする。
「黙れ。きいてるのは俺だ。ちかごろのガキは、なにをするかわからんからな。月曜おまえはなにやってた。坊っちゃんを連れていってないだろうな。」
ヒロキが多田の家から居なくなっている!禅の忠告を思い出した。危険なのはおれではなくヒロキで、おれはとばっちりを食うという警告だったのか。
「月曜日はヒロキには会っていない。あんたたちでさえ、簡単に見つかるんだからな。」
となりの男が泡を吹きながら、飛びかかってこようとした。猟犬がなだめる。ハウス。交番が目と鼻の先にあるまっ昼間の西口公園で、ドンパチやろうとする。どの業界でも人材は不足だ。
「いいか、坊っちゃんからなにか連絡がはいったら、すぐそこに電話しろ。そうしなけりゃ、こいつを夜中におまえの家にやる。いいな。」
運転手は指先でカードを弾くように、豊島開発の名刺をおれの胸に投げた。