ー特別編ー北口アイドル@アンダーグラウンド
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すずの手にも酸がついたようだ。マナブがスタジオの隅にあるシンクまですずを連れていき、手を洗っている。すずは放心状態で、されるがままになっていた。おれはイナミにいった。
「だいじょうぶだったか」
ミニドレスの地下アイドルが真っ青な顔でいった。
「うん、なんとか。マナブさん、アキオさん、ありがとう。ほんとうに助かりました」
イナミはトランクスとTシャツ一枚のアキオに抱きついた。真っ赤な顔でアキオはおれのほうを見ていた。すずを放り出して駆けてきたマナブがいった。
「ずるいな、おまえだけ。おれだって、身体を張ったのに」
「マナブさん、ありがとね」
三十二歳の地下アイドルが、今後はマナブに抱きついた。マナブは携帯をとりだして、おれにいった。
「お願いだから、今写真撮ってくれ」
驚いて固まっていたカメラマンがすかさずシャッターを押した。
「じゃあ、おれもはいっていいだろ」
合計体重二百キロのコンビのあいだに、二日間絶食した地下アイドルがはさまれる。確かに線の細さを強調するなら、こいつらふたりは最高の小道具だ。
泣いているすずの肩を、水森が抱いていた。
スタジオの中央にもどってくると、水森はすずに無理やり頭をさげさせた。
「ちゃんとあやまっておけ。こんなことが警察沙汰になったら、おまえのアイドルとしての将来なんて終わりなんだぞ」
誰もが事態をうまくのみこめていないようだった。ようやく全体の絵が見えてきた。最初からわかっていた振りをして、おれはいった。
「水森さん、ちょっと劇薬がすぎましたね」
地下アイドル事務所の代表が、なにかを恐れるようにいった。
「いったいなんの話だ。」
「だから、あんたがすずに教唆したんだろ。スカートの振りをして、イナミを脅せ。不安になったイナミには事務所にはいれば安全だといって、ユニットに参加させる。だけど、そういう仕事に色恋をいれたらダメだ」
すずの化粧が涙で崩れ、顔はぼろぼろになっていた。
「ほら、見てみろ。この女はあんたのことが好きなんだ。嫉妬であんたが期待した以上の嫌がらせをしでかした。今日のは立派な傷害未遂だ。これから警察を呼ぶか」
おれは携帯電話を抜いた。すずも水森も顔色はホリゾントに溶け込むくらい蒼白だった。イナミがいった。
「これから、わたしに手をださないと約束するなら、もういいよ。ここにいるひと全員が、証人になってくれるから」
おれは周囲にいる人間を見わたした。スタジオのアシスタントをふくめて十人近くが固唾をのんで、事件の成りゆきに注目している。おれは水森にいった。
「いいだろう。約束できるか」
やつがうなずくと、すずにいった。
「あんたも約束できるか。いっておくが、その男はあんたが一生を棒に振ってもいいだけの値打ちのあるやつじゃない」
緑の妖精は黙ってうなずいてみせた。
「だいじょうぶだったか」
ミニドレスの地下アイドルが真っ青な顔でいった。
「うん、なんとか。マナブさん、アキオさん、ありがとう。ほんとうに助かりました」
イナミはトランクスとTシャツ一枚のアキオに抱きついた。真っ赤な顔でアキオはおれのほうを見ていた。すずを放り出して駆けてきたマナブがいった。
「ずるいな、おまえだけ。おれだって、身体を張ったのに」
「マナブさん、ありがとね」
三十二歳の地下アイドルが、今後はマナブに抱きついた。マナブは携帯をとりだして、おれにいった。
「お願いだから、今写真撮ってくれ」
驚いて固まっていたカメラマンがすかさずシャッターを押した。
「じゃあ、おれもはいっていいだろ」
合計体重二百キロのコンビのあいだに、二日間絶食した地下アイドルがはさまれる。確かに線の細さを強調するなら、こいつらふたりは最高の小道具だ。
泣いているすずの肩を、水森が抱いていた。
スタジオの中央にもどってくると、水森はすずに無理やり頭をさげさせた。
「ちゃんとあやまっておけ。こんなことが警察沙汰になったら、おまえのアイドルとしての将来なんて終わりなんだぞ」
誰もが事態をうまくのみこめていないようだった。ようやく全体の絵が見えてきた。最初からわかっていた振りをして、おれはいった。
「水森さん、ちょっと劇薬がすぎましたね」
地下アイドル事務所の代表が、なにかを恐れるようにいった。
「いったいなんの話だ。」
「だから、あんたがすずに教唆したんだろ。スカートの振りをして、イナミを脅せ。不安になったイナミには事務所にはいれば安全だといって、ユニットに参加させる。だけど、そういう仕事に色恋をいれたらダメだ」
すずの化粧が涙で崩れ、顔はぼろぼろになっていた。
「ほら、見てみろ。この女はあんたのことが好きなんだ。嫉妬であんたが期待した以上の嫌がらせをしでかした。今日のは立派な傷害未遂だ。これから警察を呼ぶか」
おれは携帯電話を抜いた。すずも水森も顔色はホリゾントに溶け込むくらい蒼白だった。イナミがいった。
「これから、わたしに手をださないと約束するなら、もういいよ。ここにいるひと全員が、証人になってくれるから」
おれは周囲にいる人間を見わたした。スタジオのアシスタントをふくめて十人近くが固唾をのんで、事件の成りゆきに注目している。おれは水森にいった。
「いいだろう。約束できるか」
やつがうなずくと、すずにいった。
「あんたも約束できるか。いっておくが、その男はあんたが一生を棒に振ってもいいだけの値打ちのあるやつじゃない」
緑の妖精は黙ってうなずいてみせた。