ー特別編ー北口アイドル@アンダーグラウンド
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「昨日の夜もひどかったんですよ。イナミの部屋のドアに真っ赤なマジックで落書きがしてあったんです」
おれはまた神経を集中させた。ここまではたいして驚いてはいないようだ。また新しいエサを放る。
「なんて書いてあったと思いますか?」
水森は興味津々できいてきた。
「いいから、早く教えろ」
ききたくてたまらない顔だ。この男は落書きの事実はしっているが、その内容についてはしらないようだった。おれはいってやった。
「インランアイドル!SEX依存症!!ですって」
「そうか、そいつはずげえな」
プロダクションの代表は、両手でハンドルをたたいた。いきなり鳴ったクラクションで、あたりのドライバーが驚いていた。バナナの山を見つけた過食症のチンパンジーみたい。どんなに落ちぶれてもおれは死んでもこんなやつの部下にはなりたくない。
ハイエースは原宿でとまった。すずはおれを無視して、レッスンにいってしまう。どうやら金もコネもないマネージャー志望など、声をかけるだけの値打ちもないようだった。帰り道、水森はおれにいった。
「まだすずにも秘密だが、悠にはいっておこう。再来月にレコード会社とテレビ局の合同オーディションがあってな。うちの事務所も一枚かむことができたんだ。そいつはおおきなオーディションで声がかかるだけでもたいへんなんだぞ。うちとしては、ぜひそこに苦節十二年のイナミをリーダーにした地下アイドルユニットを出場させたい」
四十男がかける一発逆転の夢だった。こいつがひどく真剣なのもわけがある。
「だから、悠もわかるだろう」
おれはバカの振りをした。慣れているか、うまいもの。べ、別に本性というわけじゃないんだからね!
「えっ、わかんないっす」
「イナミにおれのところにいったほうがいいといってやれ。もし、どうしてもいうことをきかなければ、身体で落としてもいい。アイドルだって女だ。深い仲になって、おまえが本気でこっちの事務所がいいってすすめてくれれば、心が動くさ」
古臭い話。どうやらこの男がイナミへの嫌がらせに一枚かんでいるのは確かだが、おれにはガードマンとのつながりがよくわからなかった。あいつらが水森の手下なのだろうか。
「しかしなあ、女ってのは怖いな」
話のつながりは自然である。簡単に事務所を移ってしまうアイドルがいたら、代表としては恐ろしいことだろう。おれはやつが本心から吐いた言葉を、見事にきき逃してしまった。
おれはまた神経を集中させた。ここまではたいして驚いてはいないようだ。また新しいエサを放る。
「なんて書いてあったと思いますか?」
水森は興味津々できいてきた。
「いいから、早く教えろ」
ききたくてたまらない顔だ。この男は落書きの事実はしっているが、その内容についてはしらないようだった。おれはいってやった。
「インランアイドル!SEX依存症!!ですって」
「そうか、そいつはずげえな」
プロダクションの代表は、両手でハンドルをたたいた。いきなり鳴ったクラクションで、あたりのドライバーが驚いていた。バナナの山を見つけた過食症のチンパンジーみたい。どんなに落ちぶれてもおれは死んでもこんなやつの部下にはなりたくない。
ハイエースは原宿でとまった。すずはおれを無視して、レッスンにいってしまう。どうやら金もコネもないマネージャー志望など、声をかけるだけの値打ちもないようだった。帰り道、水森はおれにいった。
「まだすずにも秘密だが、悠にはいっておこう。再来月にレコード会社とテレビ局の合同オーディションがあってな。うちの事務所も一枚かむことができたんだ。そいつはおおきなオーディションで声がかかるだけでもたいへんなんだぞ。うちとしては、ぜひそこに苦節十二年のイナミをリーダーにした地下アイドルユニットを出場させたい」
四十男がかける一発逆転の夢だった。こいつがひどく真剣なのもわけがある。
「だから、悠もわかるだろう」
おれはバカの振りをした。慣れているか、うまいもの。べ、別に本性というわけじゃないんだからね!
「えっ、わかんないっす」
「イナミにおれのところにいったほうがいいといってやれ。もし、どうしてもいうことをきかなければ、身体で落としてもいい。アイドルだって女だ。深い仲になって、おまえが本気でこっちの事務所がいいってすすめてくれれば、心が動くさ」
古臭い話。どうやらこの男がイナミへの嫌がらせに一枚かんでいるのは確かだが、おれにはガードマンとのつながりがよくわからなかった。あいつらが水森の手下なのだろうか。
「しかしなあ、女ってのは怖いな」
話のつながりは自然である。簡単に事務所を移ってしまうアイドルがいたら、代表としては恐ろしいことだろう。おれはやつが本心から吐いた言葉を、見事にきき逃してしまった。