ー特別編ー北口アイドル@アンダーグラウンド
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「ああ、それもふたりだ。太ってるやつと、すごく太ってるやつ。やつらが仲間なのかどうかはわからない。でも、昨日の夜イナミのマンションの近くにいたのは間違いない。」
電話の向こうで急に声が沈みこんだ。声優のようにイナミの声は表情が豊かだ。
『……そうだったんだ』
「しりあいなのか」
『うん、まあ。ちょっとわたしのほうでも考えてみる。それじゃあね』
急に通話は切れてしまった。それで、おれのほうは丸二日なにもするのとがなくなってしまった。また退屈な日の復活。しかたがないから、おれは今回の事件で手にいれたただ一枚の名刺に電話をかけてみることにした。
ランチにでた帰り、おれは西口公園から、地下アイドルのプロデューサーに電話した。
『はい、アンダーグラウンド・プロモーションです』
意外としっかりした水森の声が返ってくる。
「水森さんっていったほうがいいのかな、それともブランドンさん?」
てのひら返しで、声が荒っぽくなった。
『誰だ、おまえ』
カチンときたが、ここは下手にでたほうがいい。
「ルミナスのライブで話をした悠です。水森さんのところでマネージャーを募集してるっていってましたよね。うちの店であまり給料安いんで、ちょっと話を聞かせてもらおうと思いまして。今日なんか、時間ありませんかね」
就労の意欲はないが、おれの話しには嘘はまったくふくまれていない。水森はしばらく考えてからいった。
『わかった、四時に池袋西口のマルイのまえまできてくれ』
「了解です、社長」
そのひと言で、水森は上機嫌になった。
『悠、おまえ挨拶がちゃんとできるんだな。うちにぴったりかもしれない。じゃあ、あとでな、マネージャー』
おれも上機嫌で電話を切った。もうすこしイナミの周辺の情報が必要だ。あのガードマンの件で、イナミがなにかを隠しているのは確かだった。
午後四時、おれはめずらしく襟のついた白シャツを着て、西口五差路の角に立った。靴も新しい白のテニスシューズだ。きっと上品な志望に見えることだろう。時間ぴたりにおれの目に止まったのは、びっくりするほど汚れたワンボックスカーだった。ボディはあちこち傷がついてボロボロ。中古車屋なら車検なしで無料で売ってそうな廃車一歩手前のハイエースだ。
窓がさがって、サングラスの水森が顔をのぞかせた。
「助手席にのってくれ」
「了解です」
おれは助手席にまわった。ドアを開けると後部座席には、イナミがすずと呼んでいた地下アイドルが足を組んでいた。ホットパンツにつま先が開いたパンプス。ペディキュアは真っ赤だ。おれは芸能関係者をまねて軽い挨拶をした。
「おはようございます。すずちゃんさんでしたよね」
太めのアイドルはおれには関心なさげに、そっぽをむいた。水森はアクセルを踏みながらいった。
電話の向こうで急に声が沈みこんだ。声優のようにイナミの声は表情が豊かだ。
『……そうだったんだ』
「しりあいなのか」
『うん、まあ。ちょっとわたしのほうでも考えてみる。それじゃあね』
急に通話は切れてしまった。それで、おれのほうは丸二日なにもするのとがなくなってしまった。また退屈な日の復活。しかたがないから、おれは今回の事件で手にいれたただ一枚の名刺に電話をかけてみることにした。
ランチにでた帰り、おれは西口公園から、地下アイドルのプロデューサーに電話した。
『はい、アンダーグラウンド・プロモーションです』
意外としっかりした水森の声が返ってくる。
「水森さんっていったほうがいいのかな、それともブランドンさん?」
てのひら返しで、声が荒っぽくなった。
『誰だ、おまえ』
カチンときたが、ここは下手にでたほうがいい。
「ルミナスのライブで話をした悠です。水森さんのところでマネージャーを募集してるっていってましたよね。うちの店であまり給料安いんで、ちょっと話を聞かせてもらおうと思いまして。今日なんか、時間ありませんかね」
就労の意欲はないが、おれの話しには嘘はまったくふくまれていない。水森はしばらく考えてからいった。
『わかった、四時に池袋西口のマルイのまえまできてくれ』
「了解です、社長」
そのひと言で、水森は上機嫌になった。
『悠、おまえ挨拶がちゃんとできるんだな。うちにぴったりかもしれない。じゃあ、あとでな、マネージャー』
おれも上機嫌で電話を切った。もうすこしイナミの周辺の情報が必要だ。あのガードマンの件で、イナミがなにかを隠しているのは確かだった。
午後四時、おれはめずらしく襟のついた白シャツを着て、西口五差路の角に立った。靴も新しい白のテニスシューズだ。きっと上品な志望に見えることだろう。時間ぴたりにおれの目に止まったのは、びっくりするほど汚れたワンボックスカーだった。ボディはあちこち傷がついてボロボロ。中古車屋なら車検なしで無料で売ってそうな廃車一歩手前のハイエースだ。
窓がさがって、サングラスの水森が顔をのぞかせた。
「助手席にのってくれ」
「了解です」
おれは助手席にまわった。ドアを開けると後部座席には、イナミがすずと呼んでいた地下アイドルが足を組んでいた。ホットパンツにつま先が開いたパンプス。ペディキュアは真っ赤だ。おれは芸能関係者をまねて軽い挨拶をした。
「おはようございます。すずちゃんさんでしたよね」
太めのアイドルはおれには関心なさげに、そっぽをむいた。水森はアクセルを踏みながらいった。