ー特別編ー北口アイドル@アンダーグラウンド
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「まさか、あんたイナミとつきあってるわけじゃないよな」
おれは八重歯を見せて、笑ってやった。
「つきあっちゃいないよ。今日会ったばかりなんだ。そっちがつきあえというなら、考えてもいいけど」
男は舌打ちをしていった。
「ちゃらちゃらしてんじゃねえぞ。アイドルは大事な商売ものなんだから、手をだしちゃダメなんだよ」
おれはそこで初めて気づいた。なにげなく話をしているが、このブラザーは何者だ?
「あんた、誰」
男は胸ポケットから名刺を抜いた。おれに突きだす。受け取って、読んだ。
アンダーグラウンド・プロモーション代表 水森ブランドン晃一。
あとは電話番号とホームページのアドレスだった。
「おれは地下アイドルのプロデューサーをやってる。今はこんなことしてるが、いつか天下を獲ってみせるからな。おまえも誰についていったらビッグになれるか、早いうちに決めてたほうがいいぞ。うちじゃあ、マネージャー募集しているからな」
おれが地下アイドルのマネージャー?なんだか想像もつかない話。スケジュール管理だとかクライアント対応とか、おれにはとてもできそうもない。
「無理っ!」
ブランドンはおれを見ていった。
「いいや、できるさ。すくなくとも、おまえは今夜のコンサートにきたおたくとは違うだろ。ああいうマニアはとてもじゃないがビジネスにはつかえない。やっぱり普通のやつでないと女の子にはつけられないよ」
なんだか苦労しているようだった。CDの手売りを終えたイナミがもどってくる。やつはイナミの顔を見るといった。
「さっきの話よく考えておいてくれよ、イナミちゃん。今夜も最高にかわいかった。あの歌声にはしびれたよ」
声はおれと話すときより一オクターブあがり、なぜかジェスチャーも派手になっている。サングラス越しにちらりとおれに視線を投げて、向こうにいってしまった。そこにいる別な地下アイドルをまたホメ殺ししているようだ。
「あいつ、誰なの?」
おれは名刺を見せていった。イナミは片方の眉をあげてこたえる。
「今夜のコンサートの主催者。ステージにあがった女の子の半分は、水森さんのところで面接を見てもらってるんだ」
「へえ、だったら業界ではけっこう力があるんだ」
メイド服のフリルで盛り上がった肩をすくめてみせた。
「ぜんぜん。地下アイドル業界なんて、ものすごく零細だから、力なんてないよ。もっともこういうのがブームになるか、誰かひとりでもスターが生まれたら、すぐに自社ビルくらい建てられるかもしれないけど」
「ふーん」
ダンゴをいくつ売ればうちの茶屋はビルに建て替えられるんだろうか。ひとりでいくらがんばっても無理だろう。それに比べたら、夢がある話。
おれは八重歯を見せて、笑ってやった。
「つきあっちゃいないよ。今日会ったばかりなんだ。そっちがつきあえというなら、考えてもいいけど」
男は舌打ちをしていった。
「ちゃらちゃらしてんじゃねえぞ。アイドルは大事な商売ものなんだから、手をだしちゃダメなんだよ」
おれはそこで初めて気づいた。なにげなく話をしているが、このブラザーは何者だ?
「あんた、誰」
男は胸ポケットから名刺を抜いた。おれに突きだす。受け取って、読んだ。
アンダーグラウンド・プロモーション代表 水森ブランドン晃一。
あとは電話番号とホームページのアドレスだった。
「おれは地下アイドルのプロデューサーをやってる。今はこんなことしてるが、いつか天下を獲ってみせるからな。おまえも誰についていったらビッグになれるか、早いうちに決めてたほうがいいぞ。うちじゃあ、マネージャー募集しているからな」
おれが地下アイドルのマネージャー?なんだか想像もつかない話。スケジュール管理だとかクライアント対応とか、おれにはとてもできそうもない。
「無理っ!」
ブランドンはおれを見ていった。
「いいや、できるさ。すくなくとも、おまえは今夜のコンサートにきたおたくとは違うだろ。ああいうマニアはとてもじゃないがビジネスにはつかえない。やっぱり普通のやつでないと女の子にはつけられないよ」
なんだか苦労しているようだった。CDの手売りを終えたイナミがもどってくる。やつはイナミの顔を見るといった。
「さっきの話よく考えておいてくれよ、イナミちゃん。今夜も最高にかわいかった。あの歌声にはしびれたよ」
声はおれと話すときより一オクターブあがり、なぜかジェスチャーも派手になっている。サングラス越しにちらりとおれに視線を投げて、向こうにいってしまった。そこにいる別な地下アイドルをまたホメ殺ししているようだ。
「あいつ、誰なの?」
おれは名刺を見せていった。イナミは片方の眉をあげてこたえる。
「今夜のコンサートの主催者。ステージにあがった女の子の半分は、水森さんのところで面接を見てもらってるんだ」
「へえ、だったら業界ではけっこう力があるんだ」
メイド服のフリルで盛り上がった肩をすくめてみせた。
「ぜんぜん。地下アイドル業界なんて、ものすごく零細だから、力なんてないよ。もっともこういうのがブームになるか、誰かひとりでもスターが生まれたら、すぐに自社ビルくらい建てられるかもしれないけど」
「ふーん」
ダンゴをいくつ売ればうちの茶屋はビルに建て替えられるんだろうか。ひとりでいくらがんばっても無理だろう。それに比べたら、夢がある話。