ー特別編ー北口アイドル@アンダーグラウンド
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
イナミは二曲歌うと、ステージの袖に引っ込んだ。つぎに猫耳をつけた若いアイドルが登場する。今度はやけに胸がおおきいけれど、顔も歌も今イチだった。
おたくたちはまたも全速力のダンスとかけ声で、アイドルを応援している。まあ、この場にいるなら誰でもいいのかもしれない。応援や声援というよりも、自分勝手なダンシングハイで躍り続けているだけに見える。
コンサートは、そのまま二時間半続いた。入れ替わり舞台にあがった地下アイドルは十人は居たのではないだろうか。どの歌もよく似ていて、百五十分間ずっと同じ歌をきかされていたような気分。
ちなみにイナミはその十人の地下アイドルのなかでは、トップを競う人気だった。年はいってるし、ルックスはそこそこだが、あの声と歌唱力がある。コンサートが終了して、場内が明るくなった。おたくたちはTシャツから湯気をあげて、おたがいにハイタッチを繰り返している。楽屋にでも顔をだして、イナミに話をきこうかとおれは思っていた。
するとステージのまえに折りたたみテーブルがだされ、アイドルたちが手に皿やタッパウエアをもってあらわれた。男たちはそれを見ると、さっと行列をつくった。イナミがアニメ声で叫んだ。
「はーい、お兄ちゃんたち、給食の時間ですよ。」
先頭のおたくが紙皿を受けとり、フロアの隅でたったままたべ始めた。ちらし寿司と野菜の煮物がのっている。ピンク色のそぼろがうまそうだった。おれも最後尾にならんで順番を待った。五分ほどでメイド服のイナミから皿をもらった。
「これ、みんなの手作りなんだよ。いつも、コンサートのあとは食事会があるんだ。どう、悠さん、おもしろかった?」
毎月顔をだす気にはなれなかったが、おれには十分おもしろい都市の風俗だった。
「ああ、めしつきのコンサートなんて初めてだ。これで、終わりなの」
イナミは汗を光らせ、上気した顔。ラメいりファンデーションでも使っているのだろうか。実際に肌がきらきらと光っている。
「ううん、これから握手会とCDの即売会があるんだ。悠さんは誰か気に入った子はいないの?話をつけてあげるけど」
イナミは周囲を見渡して、ちいさな声で付け加えた。
「ここのファンはだいたいおたくの人ばかりだから、悠みたいに普通のほうがもてるんだよね」
おれもオタクなんだけど二次元とはいわなかった。それより池袋の地下アイドルとつきあう自分を想像した。守られたり、応援されるのも悪くないかもしれない。なにせ、おれは長時間の低賃金労働で毎日くたくた。
おたくたちはまたも全速力のダンスとかけ声で、アイドルを応援している。まあ、この場にいるなら誰でもいいのかもしれない。応援や声援というよりも、自分勝手なダンシングハイで躍り続けているだけに見える。
コンサートは、そのまま二時間半続いた。入れ替わり舞台にあがった地下アイドルは十人は居たのではないだろうか。どの歌もよく似ていて、百五十分間ずっと同じ歌をきかされていたような気分。
ちなみにイナミはその十人の地下アイドルのなかでは、トップを競う人気だった。年はいってるし、ルックスはそこそこだが、あの声と歌唱力がある。コンサートが終了して、場内が明るくなった。おたくたちはTシャツから湯気をあげて、おたがいにハイタッチを繰り返している。楽屋にでも顔をだして、イナミに話をきこうかとおれは思っていた。
するとステージのまえに折りたたみテーブルがだされ、アイドルたちが手に皿やタッパウエアをもってあらわれた。男たちはそれを見ると、さっと行列をつくった。イナミがアニメ声で叫んだ。
「はーい、お兄ちゃんたち、給食の時間ですよ。」
先頭のおたくが紙皿を受けとり、フロアの隅でたったままたべ始めた。ちらし寿司と野菜の煮物がのっている。ピンク色のそぼろがうまそうだった。おれも最後尾にならんで順番を待った。五分ほどでメイド服のイナミから皿をもらった。
「これ、みんなの手作りなんだよ。いつも、コンサートのあとは食事会があるんだ。どう、悠さん、おもしろかった?」
毎月顔をだす気にはなれなかったが、おれには十分おもしろい都市の風俗だった。
「ああ、めしつきのコンサートなんて初めてだ。これで、終わりなの」
イナミは汗を光らせ、上気した顔。ラメいりファンデーションでも使っているのだろうか。実際に肌がきらきらと光っている。
「ううん、これから握手会とCDの即売会があるんだ。悠さんは誰か気に入った子はいないの?話をつけてあげるけど」
イナミは周囲を見渡して、ちいさな声で付け加えた。
「ここのファンはだいたいおたくの人ばかりだから、悠みたいに普通のほうがもてるんだよね」
おれもオタクなんだけど二次元とはいわなかった。それより池袋の地下アイドルとつきあう自分を想像した。守られたり、応援されるのも悪くないかもしれない。なにせ、おれは長時間の低賃金労働で毎日くたくた。