ー特別編ー黄色のCurrency
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想像してくれ。
どこかの誰かがちいさな紙切れに手の込んだ印刷をする。
すかしを入れた紙に七色刷り、十色刷りを重ね、とおし番号を打つ。
最新のマイクロ印刷術をつかい。
ルーペでしか読めないような文字を印し。
磁器インクを使って電子的な刻印を残す。
それでもかかるコストはせいぜい数十円だな。
それが市中に出回るといきなり一万円の価値をもつ。
解るか?
突然生まれる数百倍の利益。
まったく魔法みたいにぼろい話。
差額の九千九百いくらは、わが国の立派な政府が専有する通貨発行益になる。
だけど、一枚の紙切れを通貨にするのは、日本国政府でも日本銀行でもない。
俺やアンタみたいな普通の人間が、一万円札には一万円の価値があると単純に信じてるからにすぎない。
宗教と同じだよ。
皆が信じることで、神様は神様で居られるようにな。
何いってるか解らないか?
だからさ一度でも金というものを皆が疑い始めれば、紙幣にくっついた幻想はぐにゃぐにゃとゼリーみたいに溶け落ちて、そいつは工芸品のような見事さで印刷された紙切れになっちまう。
【幻想】イマジンブレイカー【殺し】もビックリだろ?
まぁ、そのときは政府や日銀の信用もベルリンの壁みたいに崩壊してんだろうな。
俺たちはたくさんの紙切れを手にしたまま、通貨という神なき世界を生きることになる。
現に今だって政府の信用は転げ落ちてるから、あり得ないなんて事は無いんだぜ?
金が紙切れに戻る危険は、どこの世界にでも、いつだって存在する。
ここで質問。
俺たちが毎日てにしてる円の動きが十分でなくなったら、アンタならどうする?
外貨預金も金の延べ棒を買うのもいいだろう。
だけどそれじゃアンタ個人は救われるが、みんなは石ころみたいに沈んでしまう。
俺はさ、別に日本なんか沈没してもかまわない。
でも俺の街の人間が、通貨危機後の東南アジアや財政破綻状態のアルゼンチンみたいな暮らしをするのはみたくない。
給料の遅配に、銀行での取りつけ騒ぎ。
金利はロケット並みに急上昇し、失業者は携帯電話のように街に溢れる。
暴動とパニック。
すべての人間が互いに敵になるまであと半歩だ。
そこでいいアイディアがひとつ。
日本の円が十分でなければ、俺たちが通貨を発行すればいい。それで足りなくなった金の動きを補うんだ。
俺たちの街のおれたちの通貨。
池袋の場合そいつの名前は『EP(イエローポイント)』といった。
今回の俺の話は、この街で新しい通貨を発行しようとした若きタイタンの話。
やつは俺の知ってるただ1人の有名人で、あれこれとはいわないが、それでも新しい世代のホープのひとりに間違いない。
皆の信用と善意から新しい金が誕生し、すこしずつ成長して、この街に広がっていくのを俺は見た。
そいつは決して悪くない見ものだ。
ただ…金はたくさんのいいことと同時に悪いことも吸い寄せる。
それ自体がモラルの外側にある存在なんだ。
金を刷る誰かさんのところには、ろくでもない人間だって集まってくる。
そいつは秋葉原でも池袋でも変わるはずがなかった。
ー黄色のCurrencyー
どこかの誰かがちいさな紙切れに手の込んだ印刷をする。
すかしを入れた紙に七色刷り、十色刷りを重ね、とおし番号を打つ。
最新のマイクロ印刷術をつかい。
ルーペでしか読めないような文字を印し。
磁器インクを使って電子的な刻印を残す。
それでもかかるコストはせいぜい数十円だな。
それが市中に出回るといきなり一万円の価値をもつ。
解るか?
突然生まれる数百倍の利益。
まったく魔法みたいにぼろい話。
差額の九千九百いくらは、わが国の立派な政府が専有する通貨発行益になる。
だけど、一枚の紙切れを通貨にするのは、日本国政府でも日本銀行でもない。
俺やアンタみたいな普通の人間が、一万円札には一万円の価値があると単純に信じてるからにすぎない。
宗教と同じだよ。
皆が信じることで、神様は神様で居られるようにな。
何いってるか解らないか?
だからさ一度でも金というものを皆が疑い始めれば、紙幣にくっついた幻想はぐにゃぐにゃとゼリーみたいに溶け落ちて、そいつは工芸品のような見事さで印刷された紙切れになっちまう。
【幻想】イマジンブレイカー【殺し】もビックリだろ?
まぁ、そのときは政府や日銀の信用もベルリンの壁みたいに崩壊してんだろうな。
俺たちはたくさんの紙切れを手にしたまま、通貨という神なき世界を生きることになる。
現に今だって政府の信用は転げ落ちてるから、あり得ないなんて事は無いんだぜ?
金が紙切れに戻る危険は、どこの世界にでも、いつだって存在する。
ここで質問。
俺たちが毎日てにしてる円の動きが十分でなくなったら、アンタならどうする?
外貨預金も金の延べ棒を買うのもいいだろう。
だけどそれじゃアンタ個人は救われるが、みんなは石ころみたいに沈んでしまう。
俺はさ、別に日本なんか沈没してもかまわない。
でも俺の街の人間が、通貨危機後の東南アジアや財政破綻状態のアルゼンチンみたいな暮らしをするのはみたくない。
給料の遅配に、銀行での取りつけ騒ぎ。
金利はロケット並みに急上昇し、失業者は携帯電話のように街に溢れる。
暴動とパニック。
すべての人間が互いに敵になるまであと半歩だ。
そこでいいアイディアがひとつ。
日本の円が十分でなければ、俺たちが通貨を発行すればいい。それで足りなくなった金の動きを補うんだ。
俺たちの街のおれたちの通貨。
池袋の場合そいつの名前は『EP(イエローポイント)』といった。
今回の俺の話は、この街で新しい通貨を発行しようとした若きタイタンの話。
やつは俺の知ってるただ1人の有名人で、あれこれとはいわないが、それでも新しい世代のホープのひとりに間違いない。
皆の信用と善意から新しい金が誕生し、すこしずつ成長して、この街に広がっていくのを俺は見た。
そいつは決して悪くない見ものだ。
ただ…金はたくさんのいいことと同時に悪いことも吸い寄せる。
それ自体がモラルの外側にある存在なんだ。
金を刷る誰かさんのところには、ろくでもない人間だって集まってくる。
そいつは秋葉原でも池袋でも変わるはずがなかった。
ー黄色のCurrencyー
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