ー特別編ーブラックボックスの蜘蛛
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凍えた指先でつかむあったかなマグカップっていいよな。なかには香り高いカプチーノ。むかいにいるのが渋いおっさんというのが問題だが、これは仕事だ。
腰を落ち着けると、松本がいった。
「小鳥遊さんは信用できる人だと、いくつかの方面からききました。今回はビジネス上の極秘情報がからんでいるので、どうかご内聞(ないぶん)に願います」
儀とか内聞とか、おれの辞書にはない言葉が、今回はよくでてくる。さすがにビジネスマンで、おれの信用調査はタカシ以外のところでも完了しているようだった。
「そもそもトラブルの発端はなんなの」
松本は半分ほど埋まった周囲のテーブルに視線を走らせた。上着の内ポケットから、なにかとりだし、おれの目のまえにおいた。
「モデルはこれと同じものです」
米粒のようなフルキーボードのついたスマートフォンだった。これ一台で携帯電話とパソコンの中間くらいの機能がある。おれも禅に借り物があるが、マイ携帯の方とはえらい違いだった。薄くて水銀みたいに丸っこくてぴかぴかしてる。
なにせ最近の携帯は高くて、かんたんには新型にできないのだ。松本は声を潜めた。
「盗まれたのか、落としたのかわからない。何者かがわたしの携帯電話を手にいれて、そのなかの情報を元に脅しをかけてきた」
「ちょっと待ってくれ。最近の携帯ってどっかにおとしたら、すぐに遠隔操作でロックとかできるんだろ」
それくらいはメカ音痴のおれだってしっている。松本は表情を変えずにいった。
「携帯のキャリアに連絡をいれて、遠隔操作で本体のボタン操作やクレジット機能はロックをかけた。脅迫があったのは、そのあとだ」
うーん、なんだか面倒な話。なぜ、ロックのかかった携帯から情報が漏れたのだろう。
「わたしはパソコンの代わりに失くした携帯をつかっていて、うちの会社の新規案件や重要事項も入力してある。二百人を超える取引先の連絡先に、これから先何ヵ月分ものスケジュール。社外秘の情報とわたしの信用問題がかかっているんだ。これは非常に深刻な事態だと考えてほしい」
ますますおかさな感じがしてきた。探りをいれてみる。
「せんなに重要な情報なら、おれなんかより絶対警察のほうが頼りになるよ。だいたいおれはネットとかハイテクとか弱いんだ。」
おれがまともにあつかえる家電製品は、薄型テレビくらい。ブルーレイレコーダーもHDDの操作になるとちょっと怪しい。松本はじっとおれの目を見てから、腕組をした。
「まいったな。これはここだけの話にしてもらいたいんだが、いいかな」
腕利きの調査員にでもなった気がしてきた。IT探偵、ゆう。
腰を落ち着けると、松本がいった。
「小鳥遊さんは信用できる人だと、いくつかの方面からききました。今回はビジネス上の極秘情報がからんでいるので、どうかご内聞(ないぶん)に願います」
儀とか内聞とか、おれの辞書にはない言葉が、今回はよくでてくる。さすがにビジネスマンで、おれの信用調査はタカシ以外のところでも完了しているようだった。
「そもそもトラブルの発端はなんなの」
松本は半分ほど埋まった周囲のテーブルに視線を走らせた。上着の内ポケットから、なにかとりだし、おれの目のまえにおいた。
「モデルはこれと同じものです」
米粒のようなフルキーボードのついたスマートフォンだった。これ一台で携帯電話とパソコンの中間くらいの機能がある。おれも禅に借り物があるが、マイ携帯の方とはえらい違いだった。薄くて水銀みたいに丸っこくてぴかぴかしてる。
なにせ最近の携帯は高くて、かんたんには新型にできないのだ。松本は声を潜めた。
「盗まれたのか、落としたのかわからない。何者かがわたしの携帯電話を手にいれて、そのなかの情報を元に脅しをかけてきた」
「ちょっと待ってくれ。最近の携帯ってどっかにおとしたら、すぐに遠隔操作でロックとかできるんだろ」
それくらいはメカ音痴のおれだってしっている。松本は表情を変えずにいった。
「携帯のキャリアに連絡をいれて、遠隔操作で本体のボタン操作やクレジット機能はロックをかけた。脅迫があったのは、そのあとだ」
うーん、なんだか面倒な話。なぜ、ロックのかかった携帯から情報が漏れたのだろう。
「わたしはパソコンの代わりに失くした携帯をつかっていて、うちの会社の新規案件や重要事項も入力してある。二百人を超える取引先の連絡先に、これから先何ヵ月分ものスケジュール。社外秘の情報とわたしの信用問題がかかっているんだ。これは非常に深刻な事態だと考えてほしい」
ますますおかさな感じがしてきた。探りをいれてみる。
「せんなに重要な情報なら、おれなんかより絶対警察のほうが頼りになるよ。だいたいおれはネットとかハイテクとか弱いんだ。」
おれがまともにあつかえる家電製品は、薄型テレビくらい。ブルーレイレコーダーもHDDの操作になるとちょっと怪しい。松本はじっとおれの目を見てから、腕組をした。
「まいったな。これはここだけの話にしてもらいたいんだが、いいかな」
腕利きの調査員にでもなった気がしてきた。IT探偵、ゆう。