ー特別編ー非正規ワーカーズ
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モエと谷岡店長とおれの三人は、夜になり静かになった噴水のまえで落ち合った。おれはモエを組合の代表だといって紹介した。谷岡はちらりと顔を見ると、すぐにモエから目をそらした。
「小鳥遊くん、いったいどういうことなのか、全部話してくれ。」
おれは簡単にユニオンからの依頼と、襲撃犯の総索について話した。これまでに四人の被害者が出ていること。これは被害届が警察に提出された正式な刑事事件であること。
さすがに店長の顔色はさらに悪くなった。声はききとりにくいほどちいさくなる。
「襲撃させていたのは、ベターデイズ内部の人間なんだな」
おれはうなずいた。モエは平然としている。劇的効果を計算して、ゆっくりといった。
「ああ、主犯はブロック長の倉敷。」
深く息を吐いて、谷岡はいった。
「……なんてことを」
おれは目に力をいれて、店長の顔を見つめた。ここが勝負どころだ。
「ども、おれたちとしては、襲撃事件を解決しただけでは、満足できないんだ。これからある施設につきあってくれないか」
施設という言葉で、ようやくモエも筋書きが読めてきたようだった。谷岡店長は曲がったネクタイでうなずいた。おれたちは劇場通りでタクシーにのって、南大塚にあるホームレスの自立支援施設にむかった。
サトシはもちろんまだベッドのなかだった。ひざを壊され、松葉杖が欠かせないのだ。谷岡はサトシのことを当然知っていた。
「柴山くん、しばらく見ないと思ったら、けがをしていたのか」
それからおれたちの視線に気づいたようだった。
「やはりきみも襲われたのか」
サトシはわけがわからないままうなずいた。おれはそっといった。
「今日、お前を襲ったやつらをつかまえたよ。やらせていたのは、あの声のでかいブロック長だった。どうやらユニオンを毛嫌いしていたらしい。昔ながらの組合潰しってやつだ。」
「そうだったんですか。やっぱり誰かが、ぼくたちを狙っていたんだ」
谷岡店長は素直だった。深々とサトシに頭をさげる。
「うちの社員がひどいことをしてしまった。柴山くん、すまない」
おれは声を抑えていった。
「このまま襲撃犯と倉敷を警察に突き出すのは簡単です。でも、それだけではなんの解決にもならないと思う。サトシ、あのノート、ちょっと貸してくれ。」
サトシはベッドサイドから、ノートをさしだした。おれは受け取り、店長にわたしてやる。
「谷岡さんはいってたよな。うちの仕事をしても、難民生活からは絶対に抜けられない。サトシは三年間がんばって、それでもこうしてひざを壊されるまでは、生活保護だって受けられなかった。自己責任だと切り捨てられて、つかい捨てにされる人間がどんな思いで働いてるか、ちょっと読んでもらえませんか」
谷岡はノートを開いた。おれはノートのなかを見る振りをして、店長の表情に集中していた。
「小鳥遊くん、いったいどういうことなのか、全部話してくれ。」
おれは簡単にユニオンからの依頼と、襲撃犯の総索について話した。これまでに四人の被害者が出ていること。これは被害届が警察に提出された正式な刑事事件であること。
さすがに店長の顔色はさらに悪くなった。声はききとりにくいほどちいさくなる。
「襲撃させていたのは、ベターデイズ内部の人間なんだな」
おれはうなずいた。モエは平然としている。劇的効果を計算して、ゆっくりといった。
「ああ、主犯はブロック長の倉敷。」
深く息を吐いて、谷岡はいった。
「……なんてことを」
おれは目に力をいれて、店長の顔を見つめた。ここが勝負どころだ。
「ども、おれたちとしては、襲撃事件を解決しただけでは、満足できないんだ。これからある施設につきあってくれないか」
施設という言葉で、ようやくモエも筋書きが読めてきたようだった。谷岡店長は曲がったネクタイでうなずいた。おれたちは劇場通りでタクシーにのって、南大塚にあるホームレスの自立支援施設にむかった。
サトシはもちろんまだベッドのなかだった。ひざを壊され、松葉杖が欠かせないのだ。谷岡はサトシのことを当然知っていた。
「柴山くん、しばらく見ないと思ったら、けがをしていたのか」
それからおれたちの視線に気づいたようだった。
「やはりきみも襲われたのか」
サトシはわけがわからないままうなずいた。おれはそっといった。
「今日、お前を襲ったやつらをつかまえたよ。やらせていたのは、あの声のでかいブロック長だった。どうやらユニオンを毛嫌いしていたらしい。昔ながらの組合潰しってやつだ。」
「そうだったんですか。やっぱり誰かが、ぼくたちを狙っていたんだ」
谷岡店長は素直だった。深々とサトシに頭をさげる。
「うちの社員がひどいことをしてしまった。柴山くん、すまない」
おれは声を抑えていった。
「このまま襲撃犯と倉敷を警察に突き出すのは簡単です。でも、それだけではなんの解決にもならないと思う。サトシ、あのノート、ちょっと貸してくれ。」
サトシはベッドサイドから、ノートをさしだした。おれは受け取り、店長にわたしてやる。
「谷岡さんはいってたよな。うちの仕事をしても、難民生活からは絶対に抜けられない。サトシは三年間がんばって、それでもこうしてひざを壊されるまでは、生活保護だって受けられなかった。自己責任だと切り捨てられて、つかい捨てにされる人間がどんな思いで働いてるか、ちょっと読んでもらえませんか」
谷岡はノートを開いた。おれはノートのなかを見る振りをして、店長の表情に集中していた。