ー特別編ー非正規ワーカーズ
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「報酬はいくらだ」
「もらっていません」
おれはガキの髪をつかんだ。こちらに目をむけさせる。
「そんなはずないだろ」
「でも、一円ももらってないんです。作業が楽な定番の仕事につけてやるっていわれて」
定番は同じ仕事場にレギュラーで派遣されることだった。仕事はいろいろだから、身体がきつくない単純作業もあるのだろう。自分では一円の身銭も切らずに、この貧しいガキをつかい、組合員を襲わせたのだ。最低のケチ男。
「これまでの襲撃もおまえたちがやったのか」
ガキは目を伏せた。こたえはきかなくてもわかった。タカシがいった。
「こいつら、どうする」
おれは自分の携帯を抜きながらいった。
「拘束していてくれ。おれは雇い主に話をする」
メルセデスのRVがバックで狭い路地に入ってきた。Sウルフは荷物でも積むように身動きのできない三人を押し込んでいく。最後にゼブラとタカシものりこんだ。タカシは閉まる寸前のドアからいった。
「こいつらはしばらく預かっておく。あとでどうしたらいいか、連絡しろ」
おれはさよならの手を振って、スモークフィルムでなかの見えないRVを見送った。
モエとは三十分後に西口公園のむかいにあるプロントで会うことにした。おれは先にカフェにいき、何度も今回の事件を考え直した。とりあえず組合員襲撃については解決した。だが、まるで手ごたえがないし、気分もすっきりしないのだ。
黒いメイド服がおれのテーブルのむかいにたった。
「ところで、そういう服はどこで買うんだ」
冷静なユニオン代表はあっさりといった。
「専門店があるの」
「やっぱり秋葉原か」
「いいえ、東京の繁華街なら、どこでも。今ではこういうフレンチメイドスタイルの服は、割りと一般的なのよ。それより襲撃犯は?」
モエのカフェオレのカップの横に、三枚の登録カードを並べた。どれも池袋支店のものだ。
「おれを襲ったやつらのカードだ。指図していたのは、ブロック長の倉敷だ。」
「あの、声のおおきな人ね。」
特徴があるというのは覚えてもらうには便利だった。
「三人はタカシのところで拘束している。警察に突きだすこともできるし、自首もさせられるだろう。モエはどうすればいいと思う。」
黒いメイド服の女はしばらく考え込んだ。
「そうなったら、三人は傷害犯になるの」
「そうだな。まあ、実際に何人にもけがを追わせているから。でも、刑は軽くすむんじゃないか。実行犯ではあるけど、主犯ではないからな」
おれはあんなガキ三人のことなどどうでもよかった。
「もらっていません」
おれはガキの髪をつかんだ。こちらに目をむけさせる。
「そんなはずないだろ」
「でも、一円ももらってないんです。作業が楽な定番の仕事につけてやるっていわれて」
定番は同じ仕事場にレギュラーで派遣されることだった。仕事はいろいろだから、身体がきつくない単純作業もあるのだろう。自分では一円の身銭も切らずに、この貧しいガキをつかい、組合員を襲わせたのだ。最低のケチ男。
「これまでの襲撃もおまえたちがやったのか」
ガキは目を伏せた。こたえはきかなくてもわかった。タカシがいった。
「こいつら、どうする」
おれは自分の携帯を抜きながらいった。
「拘束していてくれ。おれは雇い主に話をする」
メルセデスのRVがバックで狭い路地に入ってきた。Sウルフは荷物でも積むように身動きのできない三人を押し込んでいく。最後にゼブラとタカシものりこんだ。タカシは閉まる寸前のドアからいった。
「こいつらはしばらく預かっておく。あとでどうしたらいいか、連絡しろ」
おれはさよならの手を振って、スモークフィルムでなかの見えないRVを見送った。
モエとは三十分後に西口公園のむかいにあるプロントで会うことにした。おれは先にカフェにいき、何度も今回の事件を考え直した。とりあえず組合員襲撃については解決した。だが、まるで手ごたえがないし、気分もすっきりしないのだ。
黒いメイド服がおれのテーブルのむかいにたった。
「ところで、そういう服はどこで買うんだ」
冷静なユニオン代表はあっさりといった。
「専門店があるの」
「やっぱり秋葉原か」
「いいえ、東京の繁華街なら、どこでも。今ではこういうフレンチメイドスタイルの服は、割りと一般的なのよ。それより襲撃犯は?」
モエのカフェオレのカップの横に、三枚の登録カードを並べた。どれも池袋支店のものだ。
「おれを襲ったやつらのカードだ。指図していたのは、ブロック長の倉敷だ。」
「あの、声のおおきな人ね。」
特徴があるというのは覚えてもらうには便利だった。
「三人はタカシのところで拘束している。警察に突きだすこともできるし、自首もさせられるだろう。モエはどうすればいいと思う。」
黒いメイド服の女はしばらく考え込んだ。
「そうなったら、三人は傷害犯になるの」
「そうだな。まあ、実際に何人にもけがを追わせているから。でも、刑は軽くすむんじゃないか。実行犯ではあるけど、主犯ではないからな」
おれはあんなガキ三人のことなどどうでもよかった。