ー特別編ー非正規ワーカーズ
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つぎの日は店を開け、顔にでかい花粉用マスクをして店番にたった。はなちゃんや新の姿をみながら団子やまんじゅうを売るのは、なんて牧歌的な仕事なのだろうか。ダクトの清掃に比べたら、天国みたいだ。
お気に入りのショスタコービッチもきき放題だしな。身体もゆっくりと休められる。
それで、おれのスケジュールが決まった。朝は学校で二日ワンコールワーカーとして働き、一日店番にとして休む。その繰り返しだ。自由時間はSウルフのボディガードをこっそり引き連れて、池袋の路地裏をぶらぶらした。誰でもいいから早く襲撃してくれないだろうか。
このままではすぐにおれの身体が拳二みたいになってしまう。おれは頭脳派で、ゴリラは似合わないんだ。
タカシとモエとは毎日電話で話していた。モエによると永田の襲撃以来、ほかの組合員は襲われていないという。タカシに状況を報告したら、あっさりといわれた。
『だったら、俺たちがその店長を襲ったらどうだ』
コロンブスの卵的な発想をする王様。
『目だし帽で襲えば、誰だかわからないだろ。それで、ベターデイズの内情をたっぷりと吐かせるんだ。悪くないだろ。』
悪くないと、おれはいった。でも、ぜんぜんよくもない。キングはいう。
『このままなにめなかったら、ずっと空振りだ。悠のほうでもっと騒ぎを起こせないのか』
そういわれたら、そのとおりだった。Sウルフのボディガードだって、いつまでも無料で動かせるわけではない。
「おっけーね。再チャレンジしてみる」
電話を切って、おれは考えた。ユニオンのはちまきでもして、池袋支店にのりこんでみるか。あまり品のない騒ぎは、おれにはあわないのだが、背に腹は代えられない。
二勤一休のシフトが三回目にはいった日のこと。おれはかよい慣れたベターデイズに給料をとりにむかった。支店のなかにはいると、いつもとぜんぜん空気が違っていた。フリーターの生気のなさはあい変わらずだが、正社員のほうが気が立ってぴりぴりしているのだ。
会議室には受け取りの行列ができていた。ようやくおれの番がくる。登録カードを見せて、サインをしていると、やけにでかい声が響いた。
「おい、だらだらしてるんじゃない。おまえたち、挨拶はどうした」
ひとりで怒鳴り散らしながら、坊主刈りの中年男がやってきた。教習所の鬼教官タイプ。声のでかさで周囲の人間にいうことを聞かせられると信じこんでいる男だ。やつはおれを見ると、意味なくでかい声でいった。
「おまえが、小鳥遊か。ユニオンにはいってるんだってな」
なぜ、おれの情報をもっているのだろう。ちょっと驚きはしたが、おれにはこういう単細胞は好都合だ。
お気に入りのショスタコービッチもきき放題だしな。身体もゆっくりと休められる。
それで、おれのスケジュールが決まった。朝は学校で二日ワンコールワーカーとして働き、一日店番にとして休む。その繰り返しだ。自由時間はSウルフのボディガードをこっそり引き連れて、池袋の路地裏をぶらぶらした。誰でもいいから早く襲撃してくれないだろうか。
このままではすぐにおれの身体が拳二みたいになってしまう。おれは頭脳派で、ゴリラは似合わないんだ。
タカシとモエとは毎日電話で話していた。モエによると永田の襲撃以来、ほかの組合員は襲われていないという。タカシに状況を報告したら、あっさりといわれた。
『だったら、俺たちがその店長を襲ったらどうだ』
コロンブスの卵的な発想をする王様。
『目だし帽で襲えば、誰だかわからないだろ。それで、ベターデイズの内情をたっぷりと吐かせるんだ。悪くないだろ。』
悪くないと、おれはいった。でも、ぜんぜんよくもない。キングはいう。
『このままなにめなかったら、ずっと空振りだ。悠のほうでもっと騒ぎを起こせないのか』
そういわれたら、そのとおりだった。Sウルフのボディガードだって、いつまでも無料で動かせるわけではない。
「おっけーね。再チャレンジしてみる」
電話を切って、おれは考えた。ユニオンのはちまきでもして、池袋支店にのりこんでみるか。あまり品のない騒ぎは、おれにはあわないのだが、背に腹は代えられない。
二勤一休のシフトが三回目にはいった日のこと。おれはかよい慣れたベターデイズに給料をとりにむかった。支店のなかにはいると、いつもとぜんぜん空気が違っていた。フリーターの生気のなさはあい変わらずだが、正社員のほうが気が立ってぴりぴりしているのだ。
会議室には受け取りの行列ができていた。ようやくおれの番がくる。登録カードを見せて、サインをしていると、やけにでかい声が響いた。
「おい、だらだらしてるんじゃない。おまえたち、挨拶はどうした」
ひとりで怒鳴り散らしながら、坊主刈りの中年男がやってきた。教習所の鬼教官タイプ。声のでかさで周囲の人間にいうことを聞かせられると信じこんでいる男だ。やつはおれを見ると、意味なくでかい声でいった。
「おまえが、小鳥遊か。ユニオンにはいってるんだってな」
なぜ、おれの情報をもっているのだろう。ちょっと驚きはしたが、おれにはこういう単細胞は好都合だ。