ー特別編ー非正規ワーカーズ
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昼飯は、近くのコンビニで弁当とカップ麺を買ってきて、倉庫の外でたべた。十二人のフリーターが黙々とめしをくう。ただそれだけの絵だ。おれは何人かに話しかけたが、みな面倒そうな顔をして、相手をしてくれなかった。退屈だったので、無人の倉庫のなかを携帯電話のカメラで撮影してまわった。写真の腕はけっこういいんだ。
午後からは人員のいれ替えがあって、おれは小麦粉のほうにまわされた。ようやくこれでひと安心。清掃作業はひと言でいって、そのうち必ず病気になる最悪の仕事。力仕事のほうがまだましである。
大型コンテナのなかには天井に届くほど、小麦粉の紙袋が積まれていた。ひとつ三十キロ。そいつを運び、十メートルほど離れたパレットのうえにのせていく単純作業だ。
だが、こちらのほうも危険があった。どこの国で積みこまれたのかしらないが、コンテナのなかは実におおざっぱに袋が重なっているのだ。いつ崩れるか、心配になるくらい。
コンテナでうえから順に小麦粉をおろしてくるのが三人、残りの五人が袋をかついでパレットに運んだ。おれはかつぎ屋のほうだ。
正確にはかつぐというのは間違いで、大型犬でも背負うように三十キロの袋は真背面にしっかりとおぶったおれは一度に五袋の百五十キロづつ運んだ。
左右どちらかの肩にのせると、その重さでは身体がねじれすぎて、逆に疲れるのだ。
こちらはほんの十五分で、真冬でも汗が噴き出してきた。さっきのダクト清掃で顔はほこりまみれなので、どろどろの灰色の汗が流れ落ちる。茶屋の店番というのは、退屈だが案外天国なのだと、おれは骨身に染みて理解した。
作業は黙々と続いた。
午後の仕事には休みはなかった。なかには足元をふらつかせるようなガキもいたのだが、誰もなんの注意も払わない。あと一時間で終わりというときだった。
おれがコンテナの入り口をのぞくと同時に、重いものが崩れるざらりと嫌な音がした。目をあげると、小麦粉の山のふもとにいたガキに、四、五袋まとめてすべり落ちていくところだった。重さ三十キロのかたまりが三メートルはある山からふってくるのだ。やつは必死で身体を投げ出したが、逃げ遅れた右足に袋は積み重なった。
「だいじょうぶか」
「あー」
やつは切ない声をあげた。おれは足首のうえの袋を蹴り飛ばして、どかしてやった。現場の責任者をよばなければならい。
「木下さーん。けがしたみたいだ、きてくれ」
おれが助けを求めると、コンテナから倉庫会社の社員が顔をのぞかせた。迷惑そうな顔をしている。木下は午後はダクト清掃だった。やつもほこりまみれで、パンダとは逆に目のまわりだけ白くしてやってきた。
ガキの足首はおかしな角度に曲がっている。
午後からは人員のいれ替えがあって、おれは小麦粉のほうにまわされた。ようやくこれでひと安心。清掃作業はひと言でいって、そのうち必ず病気になる最悪の仕事。力仕事のほうがまだましである。
大型コンテナのなかには天井に届くほど、小麦粉の紙袋が積まれていた。ひとつ三十キロ。そいつを運び、十メートルほど離れたパレットのうえにのせていく単純作業だ。
だが、こちらのほうも危険があった。どこの国で積みこまれたのかしらないが、コンテナのなかは実におおざっぱに袋が重なっているのだ。いつ崩れるか、心配になるくらい。
コンテナでうえから順に小麦粉をおろしてくるのが三人、残りの五人が袋をかついでパレットに運んだ。おれはかつぎ屋のほうだ。
正確にはかつぐというのは間違いで、大型犬でも背負うように三十キロの袋は真背面にしっかりとおぶったおれは一度に五袋の百五十キロづつ運んだ。
左右どちらかの肩にのせると、その重さでは身体がねじれすぎて、逆に疲れるのだ。
こちらはほんの十五分で、真冬でも汗が噴き出してきた。さっきのダクト清掃で顔はほこりまみれなので、どろどろの灰色の汗が流れ落ちる。茶屋の店番というのは、退屈だが案外天国なのだと、おれは骨身に染みて理解した。
作業は黙々と続いた。
午後の仕事には休みはなかった。なかには足元をふらつかせるようなガキもいたのだが、誰もなんの注意も払わない。あと一時間で終わりというときだった。
おれがコンテナの入り口をのぞくと同時に、重いものが崩れるざらりと嫌な音がした。目をあげると、小麦粉の山のふもとにいたガキに、四、五袋まとめてすべり落ちていくところだった。重さ三十キロのかたまりが三メートルはある山からふってくるのだ。やつは必死で身体を投げ出したが、逃げ遅れた右足に袋は積み重なった。
「だいじょうぶか」
「あー」
やつは切ない声をあげた。おれは足首のうえの袋を蹴り飛ばして、どかしてやった。現場の責任者をよばなければならい。
「木下さーん。けがしたみたいだ、きてくれ」
おれが助けを求めると、コンテナから倉庫会社の社員が顔をのぞかせた。迷惑そうな顔をしている。木下は午後はダクト清掃だった。やつもほこりまみれで、パンダとは逆に目のまわりだけ白くしてやってきた。
ガキの足首はおかしな角度に曲がっている。