ー特別編ー非正規ワーカーズ
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「おれは明日から、ベターデイズに登録して働き始めることにした。」
『へえ、おまえがワンコールワーカーになるのか』
考えてみたら、おれはタカシからワンコールでずいぶんたくさんのトラブルにかかわっている。最近ではトラブルシューターも働き手も、みなワンコールで手配ができるだろう。便利で、人間的な接触を欠く世界。
おれは東京フリーターズユニオンとベターデイズの話を手短にした。組合員が連続で襲撃され、それにはみっつの条件が重なっていることも。さすがにタカシは王様で、すぐにおれの依頼をのみこんだ。
『わかった。またおまえがエサになって、襲撃犯をつるんだな。襲ってきたところを、Sウルフで制圧する』
「まあ、そんなところだ」
『そうなると二十四時間、おまえにガードをつけなきゃいけなくなるな』
おれはサトシと永田の襲撃状況を考えた。
「いいや、仕事のいきかえりと街をぶらついている時間だけでいいだろう」
『わかった。精鋭を送る』
電話を切ろうとしたタカシにいった。
「ところで、なんで組合のトラブルなんかに、おまえが熱くなってるんだ。そっちはストリートギャングだろ」
タカシはいつものようにしゃれた口をきいた。
『社会正義のため。まあ、正直な話、Sウルフのなかにも、派遣会社に登録して、フリーターをやってるやつはけっこういるんだ。あれはあれで実に便利な働きかただからな』
下々の者の暮らしにも、心を砕かなければならない。やんごとなきかたもタイヘンである。タカシが冬の冷房のような声でいった。
『さっきのバリアーって、なんの話なんだ』
おれは思い切り感謝をこめていった。
「厳しい北風からおれを守ってくれるやさしいバリアーだよ。タカシ、いつもありがとう、ほんとに……」
せっかく礼をいおうとしたのに、途中でガチャ切りされてしまった。礼儀しらずの王様。
翌日の午前遅い時間に、おれは池袋駅西口のターミナルにむかった。
駅前のでかいオフィスビルに、ベターデイズの池袋支店はある。年商五千億の人材派遣最大手ときいていたから、どれだけ立派なオフィスかと思って顔を出したら、フロアの半分しか使用していなかった。それも築二十年にはなろうかとうう建物だ。
受付のカウンターには誰もいなかった。
「登録希望者は→」っと矢印の書かれたコピー用紙が張ってあるだけ。その矢印のとおりにすすんでいくと、やけに広い会議室だった。正面にはホワイトボードがあり、手前に横長の折りたたみテーブルがびっしりと整列している。
サトシのようなガキが十四、五人はいただろうか。みな、おたがいに距離をとって座っている。
『へえ、おまえがワンコールワーカーになるのか』
考えてみたら、おれはタカシからワンコールでずいぶんたくさんのトラブルにかかわっている。最近ではトラブルシューターも働き手も、みなワンコールで手配ができるだろう。便利で、人間的な接触を欠く世界。
おれは東京フリーターズユニオンとベターデイズの話を手短にした。組合員が連続で襲撃され、それにはみっつの条件が重なっていることも。さすがにタカシは王様で、すぐにおれの依頼をのみこんだ。
『わかった。またおまえがエサになって、襲撃犯をつるんだな。襲ってきたところを、Sウルフで制圧する』
「まあ、そんなところだ」
『そうなると二十四時間、おまえにガードをつけなきゃいけなくなるな』
おれはサトシと永田の襲撃状況を考えた。
「いいや、仕事のいきかえりと街をぶらついている時間だけでいいだろう」
『わかった。精鋭を送る』
電話を切ろうとしたタカシにいった。
「ところで、なんで組合のトラブルなんかに、おまえが熱くなってるんだ。そっちはストリートギャングだろ」
タカシはいつものようにしゃれた口をきいた。
『社会正義のため。まあ、正直な話、Sウルフのなかにも、派遣会社に登録して、フリーターをやってるやつはけっこういるんだ。あれはあれで実に便利な働きかただからな』
下々の者の暮らしにも、心を砕かなければならない。やんごとなきかたもタイヘンである。タカシが冬の冷房のような声でいった。
『さっきのバリアーって、なんの話なんだ』
おれは思い切り感謝をこめていった。
「厳しい北風からおれを守ってくれるやさしいバリアーだよ。タカシ、いつもありがとう、ほんとに……」
せっかく礼をいおうとしたのに、途中でガチャ切りされてしまった。礼儀しらずの王様。
翌日の午前遅い時間に、おれは池袋駅西口のターミナルにむかった。
駅前のでかいオフィスビルに、ベターデイズの池袋支店はある。年商五千億の人材派遣最大手ときいていたから、どれだけ立派なオフィスかと思って顔を出したら、フロアの半分しか使用していなかった。それも築二十年にはなろうかとうう建物だ。
受付のカウンターには誰もいなかった。
「登録希望者は→」っと矢印の書かれたコピー用紙が張ってあるだけ。その矢印のとおりにすすんでいくと、やけに広い会議室だった。正面にはホワイトボードがあり、手前に横長の折りたたみテーブルがびっしりと整列している。
サトシのようなガキが十四、五人はいただろうか。みな、おたがいに距離をとって座っている。