ー特別編ー非正規ワーカーズ
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「別に、そっちの気のせいじゃない。わたしは社会正義のうえから、腹を立ててるだけよ。悠さん、あなたの日給は日雇い派遣と同じ一日七千円、うちのユニオンからお支払します。明日からさしあたって十日間、ユニオンのために働いてください。」
とんでもない依頼になってしまった。おれは日雇いでトラブルを解決したことなど一度もない。恐るおそる聞いてみる。
「あのさ、一日何時間働いたらいいのかな。学校はともかく、おれの店の事もあるし、この事件だけに集中できないんだけど」
モエはあきれた顔をした。
「わたしだって、トラブルシューターがどんなことをするのか、わからないよ。あとはまかせるから」
しかたがないので、わかったといってうなずいておいた。そのときのおれには、なんにもわかっていなかったんだけどな。
部屋をでるとき、サトシにきいた。
「そういえば、ここの部屋の宿泊費はどうなってるんだ」
返事をしたのはモエだった。
「ここは元々ホームレスの人の自立支援施設なんだ。期限は限られてるけど、ブルーシートハウスからここに移って、当面の生活費の援助を受けながら、就職先を探す場所。すくなくともここにいれば、住所はきちんと履歴書に書けるから。」
サトシの声は低かった。ぽつりとつぶやくようにいう。
「ぼくはホームレスじゃないよ。ぼくはあの人たちとは違う」
おれは思い上がっていたのだろう。同情して声をかけた。
「いいんだよ。気にするな。」
日雇い派遣のフリーターが顔をあげて叫んだ。
「よくなんかないよ。ぼくはみんなの税金で、自分の部屋なんかほしくないし、こんな形で脚を伸ばして寝れてもうれしくなんかない。どんなにきつくても、自分の働いたお金でいつか絶対にアパートを借りて、どこかの会社に正社員として就職するんだ。ぼくは絶対自分の力でいきていく」
サトシは肩で息をしていた。おれは毛布のうえから、やつの脚に手をのせた。
「悪かったな、おまえの気持ちも考えずに。おれたちはもういくけど、なにかしてほしいことはないか」
やつはおれから目をそらすと、ベッドサイドのテーブルから丸いプラスチックの札がついた鍵をとった。おれにさしだす。
「これはロサ会館の裏にあるコインロッカーの鍵なんだ。悠さん、悪いけどぼくの荷物をとってきてくれないかな。三日間も開けてないから、延滞料が九百円になっちゃったけど、お金はあとで払うから」
「わかった。じゃあ、元気でな」
おれはモエといっしょにサトシの部屋をでた。
廊下を歩いていくと、学校の給食のにおいがした。誰かが古い歌謡曲を歌っている。
とんでもない依頼になってしまった。おれは日雇いでトラブルを解決したことなど一度もない。恐るおそる聞いてみる。
「あのさ、一日何時間働いたらいいのかな。学校はともかく、おれの店の事もあるし、この事件だけに集中できないんだけど」
モエはあきれた顔をした。
「わたしだって、トラブルシューターがどんなことをするのか、わからないよ。あとはまかせるから」
しかたがないので、わかったといってうなずいておいた。そのときのおれには、なんにもわかっていなかったんだけどな。
部屋をでるとき、サトシにきいた。
「そういえば、ここの部屋の宿泊費はどうなってるんだ」
返事をしたのはモエだった。
「ここは元々ホームレスの人の自立支援施設なんだ。期限は限られてるけど、ブルーシートハウスからここに移って、当面の生活費の援助を受けながら、就職先を探す場所。すくなくともここにいれば、住所はきちんと履歴書に書けるから。」
サトシの声は低かった。ぽつりとつぶやくようにいう。
「ぼくはホームレスじゃないよ。ぼくはあの人たちとは違う」
おれは思い上がっていたのだろう。同情して声をかけた。
「いいんだよ。気にするな。」
日雇い派遣のフリーターが顔をあげて叫んだ。
「よくなんかないよ。ぼくはみんなの税金で、自分の部屋なんかほしくないし、こんな形で脚を伸ばして寝れてもうれしくなんかない。どんなにきつくても、自分の働いたお金でいつか絶対にアパートを借りて、どこかの会社に正社員として就職するんだ。ぼくは絶対自分の力でいきていく」
サトシは肩で息をしていた。おれは毛布のうえから、やつの脚に手をのせた。
「悪かったな、おまえの気持ちも考えずに。おれたちはもういくけど、なにかしてほしいことはないか」
やつはおれから目をそらすと、ベッドサイドのテーブルから丸いプラスチックの札がついた鍵をとった。おれにさしだす。
「これはロサ会館の裏にあるコインロッカーの鍵なんだ。悠さん、悪いけどぼくの荷物をとってきてくれないかな。三日間も開けてないから、延滞料が九百円になっちゃったけど、お金はあとで払うから」
「わかった。じゃあ、元気でな」
おれはモエといっしょにサトシの部屋をでた。
廊下を歩いていくと、学校の給食のにおいがした。誰かが古い歌謡曲を歌っている。