ー特別編ー命ヲ啜ル玩具
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コモモの話が終わったときには、何人かのSガールズがニッキー人形を公園の路上においていた。
誰かの血と汗の染み付いたおもちゃなど、いつまでも抱いていたくはないよな。
おれはコモモのあとを受けていった。
「金曜日には、ニッキー・ZとMCフライのウエディングイベントが、そこのキッズファーム本社ショールームで開かれる。昼のワイドショーのカメラがはいるそうだ。そこでおれたちは、小栄の死を全国の主婦に知らせたい。今回、男たちはいいんだ。誇り高いガールズにお願いしたい。金にはならないが、コモモと死んだ姉貴のためにひと肌脱いでくれないか」
そのときひとりのSガールが右手をまっすぐにあげた。日曜日にキッズファームで行列に並んでいたジャンプスーツの女だった。
「もちろんあたしはいくけど、いったいなにをすればいいの」
おれはにこりと必殺の笑顔を見せてやった。
女たちの誰も倒れないのが不思議だ。
「みんなはいつもより思い切り派手な格好で集まってもらいたい。池袋にSガールズありと、全国の女たちに示してほしいんだ。ともかく目立ってくれ。」
いまだにヤマンバメイクの女が叫んだ。
「ほんとに思い切りやっちゃっていいの。すごく楽しそうなんだけど」
おれは寝ぼけたままの春の夜空に両手をあげた。
新庄剛志にでもなった気分だ。
「思い切りやっちゃってくれよ」
Sガールズから自然に拍手が湧いた。
氷室さん、タカシの順にハイタッチしてから噴水をおりる。
池袋の王様はおれに微笑んでいた。おれの耳元でささやく。
「おまえはあいかわらずアホをのせるのがうまいな。」
おれは右手を胸にあて、腰を軽く折った。
「陛下の足元にはおよびません。ところでタカシ、スモークフィルムを張った車を一台貸してくれないか。」
やつはうなずいて、その夜最初の議題に移った。
木曜日はあたたかな日差しがもどった。
おれとコモモはビラまきを休んでいる。明日はいよいよ世紀のイベントなのだ。今日一日なにも動きがなければ、相手だって油断するかもしれなかった。
午後には衣装あわせをした。
コモモはあのSガールから青いラメいりジャンプスーツを、おれはそいつのボーイズフレンドから同じものを借りて着た。おれのほうはともかく、スタイルのいいコモモにはチャーリーズ・エンジェルのようによく似合っていた。
おれは鏡のなかで頬を赤くする中国娘にいった。
「嫌かもしれないけど、こいつを抱いてみな」
同じデザインなスーツを着たニッキー・Zを渡してやる。コモモはまんざらでもない顔で、人形を胸に抱え、鏡をうっとり見つめている。
「みんなが盛り上がるのがわかります。私も日本に生まれていたら、この人形が好きになっていたかもしれない」
おれは肩をすくめてなにもいわなかった。
資本主義は確かに楽しい。毛沢東のいうとおり、走資派の毒は甘い毒である。
誰かの血と汗の染み付いたおもちゃなど、いつまでも抱いていたくはないよな。
おれはコモモのあとを受けていった。
「金曜日には、ニッキー・ZとMCフライのウエディングイベントが、そこのキッズファーム本社ショールームで開かれる。昼のワイドショーのカメラがはいるそうだ。そこでおれたちは、小栄の死を全国の主婦に知らせたい。今回、男たちはいいんだ。誇り高いガールズにお願いしたい。金にはならないが、コモモと死んだ姉貴のためにひと肌脱いでくれないか」
そのときひとりのSガールが右手をまっすぐにあげた。日曜日にキッズファームで行列に並んでいたジャンプスーツの女だった。
「もちろんあたしはいくけど、いったいなにをすればいいの」
おれはにこりと必殺の笑顔を見せてやった。
女たちの誰も倒れないのが不思議だ。
「みんなはいつもより思い切り派手な格好で集まってもらいたい。池袋にSガールズありと、全国の女たちに示してほしいんだ。ともかく目立ってくれ。」
いまだにヤマンバメイクの女が叫んだ。
「ほんとに思い切りやっちゃっていいの。すごく楽しそうなんだけど」
おれは寝ぼけたままの春の夜空に両手をあげた。
新庄剛志にでもなった気分だ。
「思い切りやっちゃってくれよ」
Sガールズから自然に拍手が湧いた。
氷室さん、タカシの順にハイタッチしてから噴水をおりる。
池袋の王様はおれに微笑んでいた。おれの耳元でささやく。
「おまえはあいかわらずアホをのせるのがうまいな。」
おれは右手を胸にあて、腰を軽く折った。
「陛下の足元にはおよびません。ところでタカシ、スモークフィルムを張った車を一台貸してくれないか。」
やつはうなずいて、その夜最初の議題に移った。
木曜日はあたたかな日差しがもどった。
おれとコモモはビラまきを休んでいる。明日はいよいよ世紀のイベントなのだ。今日一日なにも動きがなければ、相手だって油断するかもしれなかった。
午後には衣装あわせをした。
コモモはあのSガールから青いラメいりジャンプスーツを、おれはそいつのボーイズフレンドから同じものを借りて着た。おれのほうはともかく、スタイルのいいコモモにはチャーリーズ・エンジェルのようによく似合っていた。
おれは鏡のなかで頬を赤くする中国娘にいった。
「嫌かもしれないけど、こいつを抱いてみな」
同じデザインなスーツを着たニッキー・Zを渡してやる。コモモはまんざらでもない顔で、人形を胸に抱え、鏡をうっとり見つめている。
「みんなが盛り上がるのがわかります。私も日本に生まれていたら、この人形が好きになっていたかもしれない」
おれは肩をすくめてなにもいわなかった。
資本主義は確かに楽しい。毛沢東のいうとおり、走資派の毒は甘い毒である。