ー特別編ー命ヲ啜ル玩具
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『悠さん…』
コモモのおびえた声だった。
「どうした」
『あれから通りに立てなくなった。今日はうちの店、ぜんぜんお客が入らない。』
なぜだろうか。
おれにも事態がわからなかった。
「北口でなにか変わったことがあったのか」
『警察官がたくさん歩いている。立ち止まって男の人に声をかけようとすると、すぐにおまわりさんがくるから、お客をひとりも拾えなかった。わたし、歩合制だからこの調子じゃ暮らしていけなくなる』
「わかった。あとで折り返す」
おれは通話を切って、携帯の液晶画面を見た。
夜中の十二時まであとわずか。
ちょっと遅いだろうが気にせずに池袋署生活安全課の柏の番号を選択した。
恐ろしく不機嫌な声がもどってくる。
『……あぁ?』
おれはできるだけかわいい声でいった。
「ぼく、悠だけど、ちょっといいかな」
不機嫌な声が殺意を帯びた声になった。
メキメキとなにかが握りつぶされる音。
「すぐにすむから、そんなにキレないでくれ。」
『こっちは裸で、これから風呂だ。寒いから早くしろヴォケ。』
おれたタオル一本でまえを隠す柏を想像してしまった。イメージを簡単に削除できるデリートキーが人間にもあればいいのに。
「今日の夕方から北口で妙にキャッチの取り締まりが厳しくなったみたいだけど、なにがあったんだ?」
『あれか、地元の住民から匿名でたくさん通報があってな。チャイニーズ・ヘルスのキャッチがしつこくてかなわない。なんとかしてくれ。警察ってのはな、住民から十本も苦情の電話を受けたら、動かしてやらねぇといけないんだよ。こんなもんでいいか』
おれは最後に聞いてみた。
「その通報って、キッズファームから受けたわけじゃないよな」
『キッズファームってなんだ』
興味がないことにはとことんうとい刑事。
「いや、別にいいんだ。ゆっくり汗でも流してくれ。」
柏の電話を切って、終電間際の街に目をやった。
静かな春の夜で通行人はほとんどいなかった。
ネオンや街灯が淋しい明るさで、街を照らしているだけ。
チラシを手にしたキャッチは通りのあちこちに立っているが、新宿のほうでは営業に支障はまったくないようだ。
おれはコモモに電話して、事情を説明した。凄腕キャッチはため息をついていった。
『今月はなんとか暮らせるけど、来月にはいったら生活費があぶなくなりますなんとかしないと……身体を売るのは嫌だけど』
「やめとけ、そんなことのために日本にきたわけじゃないだろ。キッズファームのやつらが知ったら、またいいようにやられるぞ。それより二十三日までにケリをつけるんだ。おれに考えがある」
おれたちは次の日の午後一時に、東口のパルコまえで待ち合わせの約束をして通話を切った。
つきあっているわけじゃなくても、美人におやすみといって一日を終えるのは悪くない気分だ。
「悠~おやすみまたね。」
「おう、新もおやすみまたな」
用心棒(?)の徳田新に手を振って見送った。
うん、本当に悪くない気分だ。
コモモのおびえた声だった。
「どうした」
『あれから通りに立てなくなった。今日はうちの店、ぜんぜんお客が入らない。』
なぜだろうか。
おれにも事態がわからなかった。
「北口でなにか変わったことがあったのか」
『警察官がたくさん歩いている。立ち止まって男の人に声をかけようとすると、すぐにおまわりさんがくるから、お客をひとりも拾えなかった。わたし、歩合制だからこの調子じゃ暮らしていけなくなる』
「わかった。あとで折り返す」
おれは通話を切って、携帯の液晶画面を見た。
夜中の十二時まであとわずか。
ちょっと遅いだろうが気にせずに池袋署生活安全課の柏の番号を選択した。
恐ろしく不機嫌な声がもどってくる。
『……あぁ?』
おれはできるだけかわいい声でいった。
「ぼく、悠だけど、ちょっといいかな」
不機嫌な声が殺意を帯びた声になった。
メキメキとなにかが握りつぶされる音。
「すぐにすむから、そんなにキレないでくれ。」
『こっちは裸で、これから風呂だ。寒いから早くしろヴォケ。』
おれたタオル一本でまえを隠す柏を想像してしまった。イメージを簡単に削除できるデリートキーが人間にもあればいいのに。
「今日の夕方から北口で妙にキャッチの取り締まりが厳しくなったみたいだけど、なにがあったんだ?」
『あれか、地元の住民から匿名でたくさん通報があってな。チャイニーズ・ヘルスのキャッチがしつこくてかなわない。なんとかしてくれ。警察ってのはな、住民から十本も苦情の電話を受けたら、動かしてやらねぇといけないんだよ。こんなもんでいいか』
おれは最後に聞いてみた。
「その通報って、キッズファームから受けたわけじゃないよな」
『キッズファームってなんだ』
興味がないことにはとことんうとい刑事。
「いや、別にいいんだ。ゆっくり汗でも流してくれ。」
柏の電話を切って、終電間際の街に目をやった。
静かな春の夜で通行人はほとんどいなかった。
ネオンや街灯が淋しい明るさで、街を照らしているだけ。
チラシを手にしたキャッチは通りのあちこちに立っているが、新宿のほうでは営業に支障はまったくないようだ。
おれはコモモに電話して、事情を説明した。凄腕キャッチはため息をついていった。
『今月はなんとか暮らせるけど、来月にはいったら生活費があぶなくなりますなんとかしないと……身体を売るのは嫌だけど』
「やめとけ、そんなことのために日本にきたわけじゃないだろ。キッズファームのやつらが知ったら、またいいようにやられるぞ。それより二十三日までにケリをつけるんだ。おれに考えがある」
おれたちは次の日の午後一時に、東口のパルコまえで待ち合わせの約束をして通話を切った。
つきあっているわけじゃなくても、美人におやすみといって一日を終えるのは悪くない気分だ。
「悠~おやすみまたね。」
「おう、新もおやすみまたな」
用心棒(?)の徳田新に手を振って見送った。
うん、本当に悪くない気分だ。