ー特別編ー命ヲ啜ル玩具
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キッズファームをでて、遊歩道からインテリジェントビルを振り返った。
きれいに磨かれたガラスの壁面にはわずかな傷さえついていないようだった。
「医者の診断書とか工場の記録なんかは手にはいるのか」
気の抜けた顔でコモモは返事をした。
「親に頼んで手配をしてもらうことはできるけれど、いつになるねかわからない。それに工場は嫌がって書類をだしてくれないかもしれない」
「どっちにしても、もっとアンタの姉さんの情報が必要だな。写真とか同僚の証言とか。集めらるものは全部こちらに送るようにいっといてくれ」
おれたちは疲れていたが、本社屋のなかにはいったことで妙に興奮してもいた。ショールームから歩道にかけて、限定版の人形を買おうという行列がカラフルに延びていた。
おれはそのなかにSウルフの集会で顔馴染みの女を見つけた。
「よう、なに並んでるんだ。」
くるくるカーリーヘアのSガールが、青いラメいりジャンプスーツのニッキー・Zを胸の前にかかげた。
ペアルックなのだろう。
女も同じ刺繍の入ったスーツ姿だった。
「悠さんもニッキー好きなんですか。今日は春の新作衣装の発売会なんですよね」
ちらちらとコモモに視線を走らせる。
おれの肩をつついていった。
「彼女?なんだかきれいっぽいけど」
コモモは笑ってなにもいわなかった。
「新しい仕事仲間。それより4・23ってなにか大きなイベントがあるんだろ」
Sガールはとんでもなくでかいリアクションを見せた。
こんな女と話しているところを真桜に見られなくてよかった。
「やばいですよ。このショールームに昼のワイドショーのテレビカメラが入るらしいし、日本中ニッキーとMCフライの結婚で話題持ちきりになるんじゃないですか」
平和な国の空騒ぎ。
「生中継か…。なんだかいいにおいがしてきたな…。」
長引けばおれたちに不利だ。
今回はなんとかして4・23に決着をつける必要がある。キャンペーンの山場、全国の注目が集まっているときこそ、攻撃のチャンスだった。短期決戦のヒット&ランでいこう。
駅への帰り道、ぶつぶつとひとりでなにかつぶやいているおれを、コモモは心配そうに見ていた。
まあ、女からおかしな目で見られるのはいつものことなので、ぜんぜん気にはしなかったけどね。
もてないのは慣れっこだ。
もてもてのMCフライの人形とこのおれ。
ここにも絶望的な非対称。
おれの予想は甘かった。
キッズファームのような大企業が黙っているはずがなかったのだ。
その日の夜、新宿にあるおれの店、茶屋:小鳥遊堂(なんでこんなことをしているのかはおれも理由がわからない)を閉めているとおれの携帯が鳴った。
きれいに磨かれたガラスの壁面にはわずかな傷さえついていないようだった。
「医者の診断書とか工場の記録なんかは手にはいるのか」
気の抜けた顔でコモモは返事をした。
「親に頼んで手配をしてもらうことはできるけれど、いつになるねかわからない。それに工場は嫌がって書類をだしてくれないかもしれない」
「どっちにしても、もっとアンタの姉さんの情報が必要だな。写真とか同僚の証言とか。集めらるものは全部こちらに送るようにいっといてくれ」
おれたちは疲れていたが、本社屋のなかにはいったことで妙に興奮してもいた。ショールームから歩道にかけて、限定版の人形を買おうという行列がカラフルに延びていた。
おれはそのなかにSウルフの集会で顔馴染みの女を見つけた。
「よう、なに並んでるんだ。」
くるくるカーリーヘアのSガールが、青いラメいりジャンプスーツのニッキー・Zを胸の前にかかげた。
ペアルックなのだろう。
女も同じ刺繍の入ったスーツ姿だった。
「悠さんもニッキー好きなんですか。今日は春の新作衣装の発売会なんですよね」
ちらちらとコモモに視線を走らせる。
おれの肩をつついていった。
「彼女?なんだかきれいっぽいけど」
コモモは笑ってなにもいわなかった。
「新しい仕事仲間。それより4・23ってなにか大きなイベントがあるんだろ」
Sガールはとんでもなくでかいリアクションを見せた。
こんな女と話しているところを真桜に見られなくてよかった。
「やばいですよ。このショールームに昼のワイドショーのテレビカメラが入るらしいし、日本中ニッキーとMCフライの結婚で話題持ちきりになるんじゃないですか」
平和な国の空騒ぎ。
「生中継か…。なんだかいいにおいがしてきたな…。」
長引けばおれたちに不利だ。
今回はなんとかして4・23に決着をつける必要がある。キャンペーンの山場、全国の注目が集まっているときこそ、攻撃のチャンスだった。短期決戦のヒット&ランでいこう。
駅への帰り道、ぶつぶつとひとりでなにかつぶやいているおれを、コモモは心配そうに見ていた。
まあ、女からおかしな目で見られるのはいつものことなので、ぜんぜん気にはしなかったけどね。
もてないのは慣れっこだ。
もてもてのMCフライの人形とこのおれ。
ここにも絶望的な非対称。
おれの予想は甘かった。
キッズファームのような大企業が黙っているはずがなかったのだ。
その日の夜、新宿にあるおれの店、茶屋:小鳥遊堂(なんでこんなことをしているのかはおれも理由がわからない)を閉めているとおれの携帯が鳴った。