ー特別編ー命ヲ啜ル玩具
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日の午後、コモモはまたやってきた。
おれがいい文章だったというと、はずかしげに笑って帰ろうとする。
おれはスプリングコートの背中にいった。
「そのチラシをどうするつもりなんだ」
「今晩刷って、明日から街頭で配ります」
印刷するのだろうか。
おれがおかしな顔をしたのがわかったようだ。
「こちらではガリ版というのですよね。あれは日本生まれの素晴らしい発明です。重かったけど、深センからもってきました。100円ショップのコピー用紙を山のように買い込みました。明日から街にでて、チラシをまきます」
おれは見事な日本語を話すキャッチガールを感心して見つめた。
「場所と時間は?」
「午後一時から池袋駅の東口で、そのあとキッズファームの本社前にいくつもりです。夕方からは仕事が忙しくなるので、三、四時間しかできないけど。」
「そうか。じゃあ、おれも手伝うよ。」
コモモは文字どおりその場で小さく飛び上がった。
ミニスカートからのぞくふとももがまぶしいくらいの丸さ。
「うれしい。ありがとうございます、悠さん」
おれたちのほうを広間から見ていた真桜とデコ(楓子)は片目をつぶってみせた。
いい場面がぶち壊しだった。幼女や居候(?)にウインクされる気分を考えてもらいたい。
おれもうちの前でDV反対のビラでもまこうかな。
おれとコモモが初めて街にたったのは日曜日だった。あいにくの曇り空で、すこし肌寒い午後だったが、人出は申し分がなかった。
池袋駅の東口は人の足でほとんど歩道が見えないくらいの混雑だ。
おれたちはパルコの前で、カットハウスやサラ金のチラシ配りといっしょにキッズファームへの告発文を手渡ししていった。
アンタもよくわかってると思うけれど、ビラを受け取ってくれるのは、せいぜい十人にひとりくらい。
たいていのやつは、差し出した手を無視するか、振り払うようにする。
東京ではもう情報など誰もほしくないのだ。
どんなことが書かれていても、街で配られている情報などたくさんだ。
自分のことでいそがしいし、押し付けられる情報なんてろくなもんじゃない。
それでおれたちは二時間かけて、百五十枚ほどのビラをまいた。
ここでもおれよりは凄腕キャッチのほうが優秀だった。おれの倍のペースでばらまいていく。
腕時計を見た。コモモがいった。
「そろそろつぎにいきましょう」
おれの足は棒のようになっていたが、コモモの決意にはなんの変化もない。
この女とつきあったら、男は苦労するだろうなと思った。
それだけは中国人でも日本人でも変わりはないだろう。
おれがいい文章だったというと、はずかしげに笑って帰ろうとする。
おれはスプリングコートの背中にいった。
「そのチラシをどうするつもりなんだ」
「今晩刷って、明日から街頭で配ります」
印刷するのだろうか。
おれがおかしな顔をしたのがわかったようだ。
「こちらではガリ版というのですよね。あれは日本生まれの素晴らしい発明です。重かったけど、深センからもってきました。100円ショップのコピー用紙を山のように買い込みました。明日から街にでて、チラシをまきます」
おれは見事な日本語を話すキャッチガールを感心して見つめた。
「場所と時間は?」
「午後一時から池袋駅の東口で、そのあとキッズファームの本社前にいくつもりです。夕方からは仕事が忙しくなるので、三、四時間しかできないけど。」
「そうか。じゃあ、おれも手伝うよ。」
コモモは文字どおりその場で小さく飛び上がった。
ミニスカートからのぞくふとももがまぶしいくらいの丸さ。
「うれしい。ありがとうございます、悠さん」
おれたちのほうを広間から見ていた真桜とデコ(楓子)は片目をつぶってみせた。
いい場面がぶち壊しだった。幼女や居候(?)にウインクされる気分を考えてもらいたい。
おれもうちの前でDV反対のビラでもまこうかな。
おれとコモモが初めて街にたったのは日曜日だった。あいにくの曇り空で、すこし肌寒い午後だったが、人出は申し分がなかった。
池袋駅の東口は人の足でほとんど歩道が見えないくらいの混雑だ。
おれたちはパルコの前で、カットハウスやサラ金のチラシ配りといっしょにキッズファームへの告発文を手渡ししていった。
アンタもよくわかってると思うけれど、ビラを受け取ってくれるのは、せいぜい十人にひとりくらい。
たいていのやつは、差し出した手を無視するか、振り払うようにする。
東京ではもう情報など誰もほしくないのだ。
どんなことが書かれていても、街で配られている情報などたくさんだ。
自分のことでいそがしいし、押し付けられる情報なんてろくなもんじゃない。
それでおれたちは二時間かけて、百五十枚ほどのビラをまいた。
ここでもおれよりは凄腕キャッチのほうが優秀だった。おれの倍のペースでばらまいていく。
腕時計を見た。コモモがいった。
「そろそろつぎにいきましょう」
おれの足は棒のようになっていたが、コモモの決意にはなんの変化もない。
この女とつきあったら、男は苦労するだろうなと思った。
それだけは中国人でも日本人でも変わりはないだろう。