ー特別編ー命ヲ啜ル玩具
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
最初に出会った池袋駅北口で、おれは立ち止まった。
コモモは再びチャイニーズ・ヘルスのキャッチに、おれはしがない学生にもどるのだ。
魔法が解ける時間。
手を振ろうとしたら、コモモがいった。
「あれ、見て」
おれは女の指先を追って、右に視線を振った。
JRの線路沿いに建つビルボードだった。
三メートル×四メートルほどある巨大なもので、GWのハリウッド大作に混ざって、謎めいた看板が出されている。
全面が黒地で、そこに金色の太いリボンがかかっていた。豪華なイメージだが、コピーは短い英文だけである。
【WHAT'S HAPPENING ON NIKKE Z? 4・23】
あとは隅っこにおなじみの木製の柵でできたキッズファームのロゴがはいっている。
おれはいった。
「コモモ、あれなんだか知ってるか」
凄腕キャッチは首を横に振る。
「わからない。でも、ニッキー・Zになにかが起こるんですね、あと一週間で」
「おれが調べておくよ。アンタはまた明日にでも、うちに顔をだしてくれ。」
おれたちはおしゃれなティーザー広告のまえで別れて、それぞれの場に散った。
家に戻ると、真桜はいった。
「どうだったなの。あの小姐(シヤオチエ)は」
どこでそんな言葉を覚えてくるのだこの幼女は。
台湾パブなんか行かないはずなのに。
おれはクールに返事をする。
「お子さまが、なまいきに恋だ愛だといってるんじゃねえよ」
真桜はカチンときたようだった。
二階にあがるおれの背中をどやしつける。
「なにいってやがるなの。いくつでも、世のなか男と女じゃないかなの。女のひとりもいないくせになの」
おれは素直だから、真桜のいうことに一理あるのはわかっていた。
ただうち全体に響き渡るような普段出さない大声で、事実をいってほしくないだけだ。
傷心のおれは黙って自分の最後の砦にはいった。
こうなったら、あと五年引きこもってやる。
CDラックをざっと眺めて、BGMを探した。
買って積んであっただけで、まだ聞いていないオペラがあったはずなのだ。
譚盾(タンドウン)は中国泉南省生まれ。
京劇の二胡奏者だったが、十九歳で西洋音楽にふれて、作曲家になることを決意したという(ちなみにそのときの曲はベートーヴェンの第五交響曲だったそうだ。そりゃあ初めてあれをきいたらぶっ飛ばされるわけである)。
現在はニューヨーク在住で、世界各地の音楽祭から、つぎつぎと新作を発表する人気作曲家だ(クラッシックにも少数だが、そんなやつがいるのだ)。
コモモは再びチャイニーズ・ヘルスのキャッチに、おれはしがない学生にもどるのだ。
魔法が解ける時間。
手を振ろうとしたら、コモモがいった。
「あれ、見て」
おれは女の指先を追って、右に視線を振った。
JRの線路沿いに建つビルボードだった。
三メートル×四メートルほどある巨大なもので、GWのハリウッド大作に混ざって、謎めいた看板が出されている。
全面が黒地で、そこに金色の太いリボンがかかっていた。豪華なイメージだが、コピーは短い英文だけである。
【WHAT'S HAPPENING ON NIKKE Z? 4・23】
あとは隅っこにおなじみの木製の柵でできたキッズファームのロゴがはいっている。
おれはいった。
「コモモ、あれなんだか知ってるか」
凄腕キャッチは首を横に振る。
「わからない。でも、ニッキー・Zになにかが起こるんですね、あと一週間で」
「おれが調べておくよ。アンタはまた明日にでも、うちに顔をだしてくれ。」
おれたちはおしゃれなティーザー広告のまえで別れて、それぞれの場に散った。
家に戻ると、真桜はいった。
「どうだったなの。あの小姐(シヤオチエ)は」
どこでそんな言葉を覚えてくるのだこの幼女は。
台湾パブなんか行かないはずなのに。
おれはクールに返事をする。
「お子さまが、なまいきに恋だ愛だといってるんじゃねえよ」
真桜はカチンときたようだった。
二階にあがるおれの背中をどやしつける。
「なにいってやがるなの。いくつでも、世のなか男と女じゃないかなの。女のひとりもいないくせになの」
おれは素直だから、真桜のいうことに一理あるのはわかっていた。
ただうち全体に響き渡るような普段出さない大声で、事実をいってほしくないだけだ。
傷心のおれは黙って自分の最後の砦にはいった。
こうなったら、あと五年引きこもってやる。
CDラックをざっと眺めて、BGMを探した。
買って積んであっただけで、まだ聞いていないオペラがあったはずなのだ。
譚盾(タンドウン)は中国泉南省生まれ。
京劇の二胡奏者だったが、十九歳で西洋音楽にふれて、作曲家になることを決意したという(ちなみにそのときの曲はベートーヴェンの第五交響曲だったそうだ。そりゃあ初めてあれをきいたらぶっ飛ばされるわけである)。
現在はニューヨーク在住で、世界各地の音楽祭から、つぎつぎと新作を発表する人気作曲家だ(クラッシックにも少数だが、そんなやつがいるのだ)。