ー特別編グレーゾーンボーイー
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今度こそ本当に池袋の街から丸岡が消えて数日後、おれはミノルと西口公園で待ち合わせをしていた。
暖かな日差しのあたるパイプベンチで横に並んで話す。
半ズボンの足に金属が冷たいらしく、ミノルは太もものしたに手を入れていた。
「うまくやってくれてありがとう、ともきさん。ぼくはあの人がすごくこわかったよ」
おれだって市販薬とグラニュー糖ジャンキーにはゾッとした。
「ああ、いかれたやつだったな」
空はゆっくりとくれていく。雲の切れ間から、オレンジ色の光が漏れて、あちこちのビルの角をつるりと滑らかにしていた。
ミノルは真剣な声でいう。
「でめ、ああいう人を呼び寄せてしまったのは、ぼくがやってることに問題があったんだと思う」
そうだなとおれはいった。ほかになにがいえるのだ。ミノルは盗撮ROMを売りさばく五年生だ。
おれはようやく昔きいた質問の続きをした。
「十五万って、どんな意味があるんだ」
おれのギャラも、三人組への口止め料も同じ値段だった。
ミノルはさばさばといった。
「うちのいえの住宅ローン。毎月十五万なんだ。おとうさんの会社は一度潰れて、再建した。なんとか会社に残れたけど、給料が半分になったんだ。それでうちのおかあさんが怒って、いつもローンが厳しい、十五万はきついっていってる」
おれはメガネのちびの横顔を見た。
ぼんやりと笑ってやつはいう。
「それなら、ぼくがお金を稼いであげようと思って。でも、うちの親はぼくがつくったお金は受け取らないんだ。いつか役に立つときが来るから、それまでとっておきなさいって」
おれは冬の円形広場を見た。
やせたハトに、ホームレスに、女子高生。
そこにあるものはすべて平等なはずなのに、女子高生だけがビジネスになる不思議。
「でも、宅配便もくるし、郵便為替もくるだろ。あの盗撮ROMのこと、どうやって親に隠してるんだ」
ミノルは黒いランドセルから、一枚のCDROMを取り出した。
白いレーベル面には「恋愛シミュレーション攻略法①」とプリントされている。
「ぼくはゲームも好きなんだ。中身はゲームの攻略ネタだっていとてある。メーカーに隠れてこっそり作ったから、秘密にしてねって」
なるほど優秀な十歳だった。おれなんかより遥かに世の中のことを知っている。
未来のビル・ゲイツになるかもしれない。
「でも、お金をつくるのは、もう別な方法にするよ。今日はこれから、うちに帰って全部話すつもりなんだ。ともきさん、最後の仕事頼んでもいいかな」
おれはうなずいた。
今のうちに、この子に恩を売っておいたほうが、おれの老後が安心だからな。
暖かな日差しのあたるパイプベンチで横に並んで話す。
半ズボンの足に金属が冷たいらしく、ミノルは太もものしたに手を入れていた。
「うまくやってくれてありがとう、ともきさん。ぼくはあの人がすごくこわかったよ」
おれだって市販薬とグラニュー糖ジャンキーにはゾッとした。
「ああ、いかれたやつだったな」
空はゆっくりとくれていく。雲の切れ間から、オレンジ色の光が漏れて、あちこちのビルの角をつるりと滑らかにしていた。
ミノルは真剣な声でいう。
「でめ、ああいう人を呼び寄せてしまったのは、ぼくがやってることに問題があったんだと思う」
そうだなとおれはいった。ほかになにがいえるのだ。ミノルは盗撮ROMを売りさばく五年生だ。
おれはようやく昔きいた質問の続きをした。
「十五万って、どんな意味があるんだ」
おれのギャラも、三人組への口止め料も同じ値段だった。
ミノルはさばさばといった。
「うちのいえの住宅ローン。毎月十五万なんだ。おとうさんの会社は一度潰れて、再建した。なんとか会社に残れたけど、給料が半分になったんだ。それでうちのおかあさんが怒って、いつもローンが厳しい、十五万はきついっていってる」
おれはメガネのちびの横顔を見た。
ぼんやりと笑ってやつはいう。
「それなら、ぼくがお金を稼いであげようと思って。でも、うちの親はぼくがつくったお金は受け取らないんだ。いつか役に立つときが来るから、それまでとっておきなさいって」
おれは冬の円形広場を見た。
やせたハトに、ホームレスに、女子高生。
そこにあるものはすべて平等なはずなのに、女子高生だけがビジネスになる不思議。
「でも、宅配便もくるし、郵便為替もくるだろ。あの盗撮ROMのこと、どうやって親に隠してるんだ」
ミノルは黒いランドセルから、一枚のCDROMを取り出した。
白いレーベル面には「恋愛シミュレーション攻略法①」とプリントされている。
「ぼくはゲームも好きなんだ。中身はゲームの攻略ネタだっていとてある。メーカーに隠れてこっそり作ったから、秘密にしてねって」
なるほど優秀な十歳だった。おれなんかより遥かに世の中のことを知っている。
未来のビル・ゲイツになるかもしれない。
「でも、お金をつくるのは、もう別な方法にするよ。今日はこれから、うちに帰って全部話すつもりなんだ。ともきさん、最後の仕事頼んでもいいかな」
おれはうなずいた。
今のうちに、この子に恩を売っておいたほうが、おれの老後が安心だからな。