ー特別編グレーゾーンボーイー
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ケンジさんは余裕の笑顔でいう。
「おまえにそんな趣味があったなんて初耳だ。」
ドSのトラブルシューターの相方はマゾヒストなんて、おれの名が汚れる。
「そんな趣味はありませんから。時間はまだですか」
ダークスーツのケンジさんはスイス製の腕時計を確認した。
おれのバイトの給料の六ヶ月分はする高級品。
「あと五分だ。」
ケンジさんがこたえると同時に陸橋をおりてくる足音がした。
おれとケンジさんはすぐに演技モードにはいる。
丸岡が頬の削げ落ちた顔をのぞかせたのは、踊り場のわきにある手すりである。
おれは叫んだ。
「丸岡さん、助けてください!!」
おれが上半身を振ってもがくと、うしろに立つ若衆が手錠を絞り上げた。
冗談ではなく金属の我が手首に食い込んでくる。
「黙ってろ!」
ケンジさんはぴしゃりというと、ほとんどテイクバックをせずに鋭いパンチを飛ばした。
熱湯でもかけられたように顔の左側が熱くなる。
おれはダメ押しで叫んだ。
「丸岡さん、こいつらなんとかしてください。」
市販薬ジャンキーの霞がかった頭でも、ようやく事態がのみこめたようだった。
やつは手すりから顔を引っ込めると全力で階段を登り始めた。
ケンジさんは小声で手下にいう。
「しばらくは本気で追え。だが、決して追い付くなよ」
マッドドックを追う猟犬のようなガキがふたり飛び出していった。
おれは不機嫌にケンジさんにいう。
「早く手錠の鍵貸してくれ」
やつのにやにや笑いがとまらなかった。
「悠をぶん殴ったのは何度かあったが、お前は初めてだな。それも金をもらって一発かますんだから、こっちはたまらない」
腹のなかがむかむかしたが、できるだけ顔にださずにいった。
「しかたがないでしょ。おれのほうにも追っ手がかかってると丸岡におもわせなくちゃならないんですから」
ゆるんだケンジさんの表情に変化は無かった。
「まぁ、いいさ。お前の演技は完璧だった。さぁ、このまえマッドドックといった三日月にいこうぜ。おれのおごりだ。機嫌を直せ。」
おれは手錠をはずして、JRのフェンスにぶらさげた。
ケンジさんといっしょに西口ののみ屋街を目指す。
振り替えると緑の金網に銀の手錠が、忘れられた約束のように宙ぶらりんにとまっていた。
あの三人組は、何日かしてまたマクドに呼び出してきた。
丸岡の代わりに、おれに兄貴分になってほしいという。もちろん、おれは断った。
おれは弟子も弟分もいらないのだ。
Sウルフの知り合いを紹介したので、やつらは名門校に籍をおく数少ないストリートギャングになったようだ。
そして、最後に優秀なビジネスマンにして、三原学院初等部五年のミノルのこと。
やつの話しはちょっと長くなるから、ここでいったんフェイドアウト。
「おまえにそんな趣味があったなんて初耳だ。」
ドSのトラブルシューターの相方はマゾヒストなんて、おれの名が汚れる。
「そんな趣味はありませんから。時間はまだですか」
ダークスーツのケンジさんはスイス製の腕時計を確認した。
おれのバイトの給料の六ヶ月分はする高級品。
「あと五分だ。」
ケンジさんがこたえると同時に陸橋をおりてくる足音がした。
おれとケンジさんはすぐに演技モードにはいる。
丸岡が頬の削げ落ちた顔をのぞかせたのは、踊り場のわきにある手すりである。
おれは叫んだ。
「丸岡さん、助けてください!!」
おれが上半身を振ってもがくと、うしろに立つ若衆が手錠を絞り上げた。
冗談ではなく金属の我が手首に食い込んでくる。
「黙ってろ!」
ケンジさんはぴしゃりというと、ほとんどテイクバックをせずに鋭いパンチを飛ばした。
熱湯でもかけられたように顔の左側が熱くなる。
おれはダメ押しで叫んだ。
「丸岡さん、こいつらなんとかしてください。」
市販薬ジャンキーの霞がかった頭でも、ようやく事態がのみこめたようだった。
やつは手すりから顔を引っ込めると全力で階段を登り始めた。
ケンジさんは小声で手下にいう。
「しばらくは本気で追え。だが、決して追い付くなよ」
マッドドックを追う猟犬のようなガキがふたり飛び出していった。
おれは不機嫌にケンジさんにいう。
「早く手錠の鍵貸してくれ」
やつのにやにや笑いがとまらなかった。
「悠をぶん殴ったのは何度かあったが、お前は初めてだな。それも金をもらって一発かますんだから、こっちはたまらない」
腹のなかがむかむかしたが、できるだけ顔にださずにいった。
「しかたがないでしょ。おれのほうにも追っ手がかかってると丸岡におもわせなくちゃならないんですから」
ゆるんだケンジさんの表情に変化は無かった。
「まぁ、いいさ。お前の演技は完璧だった。さぁ、このまえマッドドックといった三日月にいこうぜ。おれのおごりだ。機嫌を直せ。」
おれは手錠をはずして、JRのフェンスにぶらさげた。
ケンジさんといっしょに西口ののみ屋街を目指す。
振り替えると緑の金網に銀の手錠が、忘れられた約束のように宙ぶらりんにとまっていた。
あの三人組は、何日かしてまたマクドに呼び出してきた。
丸岡の代わりに、おれに兄貴分になってほしいという。もちろん、おれは断った。
おれは弟子も弟分もいらないのだ。
Sウルフの知り合いを紹介したので、やつらは名門校に籍をおく数少ないストリートギャングになったようだ。
そして、最後に優秀なビジネスマンにして、三原学院初等部五年のミノルのこと。
やつの話しはちょっと長くなるから、ここでいったんフェイドアウト。