ー特別編グレーゾーンボーイー
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ケンジさんは冷たく笑っていった。
「おまえ、この店知らないのか。したのパチスロと同じで、無制限なんだ。座っただけでキャッシュカードが空になるまで絞る店なんだぞ。払えないなら、追っ手をかける。いろっぽいアリ地獄みたいなもんだ。」
ひと晩でこの街にいられなくなるほどの借金をさせるには、バクチかぼったくりしかない。
それで一ノ瀬組のつてをあたったというわけ。
今ごろ、丸岡はいい調子で女の胸をもみまくっていることだろう。
高校生の三人は心の底からびびるだろうが、追っ手はかからない。
有り金は巻き上げられるが、最初から金をもってくるなといってある。
ケンジさんがぼったくりバーの暗い窓を見上げていった。
「おれたちはきちんとしたマティーニがのめる店にいこう」
おまえたちはここでいいとケンジさんがいうと、煙のように若衆が夜の街に消えた。
おれはケンジさんといっしょに西口公園に歩き出した。
マルイの先にシックなバーがあるのだ。
もちろん足のきれいな女も、胸のでかい女もいない店である。
ここからは後日ケンジさんから聞いた話。
丸岡はさんざん酔ったあとで金を請求され、怒り狂ったらしい。
だいぶ店を壊したが、その分何倍にもなってやつの支払いに乗せられた。
もちろん払い切れるはずもなく、銀行のカードが空っぽになった途端に、やつは姿をくらました。
マッドドックとはいえども、個人である。
日替わりで組織からしつこい催促を受けて、かなり煮詰まったようだった。
ショウタはやつのクスリの使用量が倍になったと笑っていた。
おれの携帯が鳴ったのはそろそろ丸岡の顔を忘れかけていたころだった。
悠が不在の小鳥遊家でのんびりと真桜ちゃんの手伝いをのんびりしていたおれの耳元でやつの声がする。
『おい、おまえとあのガキに預けといたあの金をよこせ』
追い込みをかけられているわりには、威勢のいい言葉だった。
なかなかしぶといマッドドックだ。
俺はあれからすんなりあきらめて、ほとぼりが冷めるまで池袋には帰ってこないことを踏んでいたのだが。
「どうすればいい」
『池袋大橋のガード下わかるな。そこにあるだけの金を持って来い。午後五時だ。』
「わかった」
まったくしつこい男。
しかもやつは自分では指一本動かしていないくせにミノルの金を自分のものだという。
おれが深々とため息をつくと真桜ちゃんが言った。
「なんだ、暗い顔して。年の瀬も近いのにそんなためいきつくんじゃねぇなの。」
まったくである。
商売は明るく、コツコツと。
俺は無理やり笑顔をつくり、一ノ瀬組のホープに電話した。
翌日はあいにくの曇り空。
今にも雨が降り出しそうな真冬の空というのは、見ていてとにかく気が滅入るものだ。
おれとケンジさん、それにむ彼のしたにいる若衆がふたり。
計四人でJRの路線をくぐる陸橋のしたに立った。
おれの両手はうしろにまわっていた。
来る途中にSMショップで買ったおもちゃの手錠がかけられているのだ。
「おまえ、この店知らないのか。したのパチスロと同じで、無制限なんだ。座っただけでキャッシュカードが空になるまで絞る店なんだぞ。払えないなら、追っ手をかける。いろっぽいアリ地獄みたいなもんだ。」
ひと晩でこの街にいられなくなるほどの借金をさせるには、バクチかぼったくりしかない。
それで一ノ瀬組のつてをあたったというわけ。
今ごろ、丸岡はいい調子で女の胸をもみまくっていることだろう。
高校生の三人は心の底からびびるだろうが、追っ手はかからない。
有り金は巻き上げられるが、最初から金をもってくるなといってある。
ケンジさんがぼったくりバーの暗い窓を見上げていった。
「おれたちはきちんとしたマティーニがのめる店にいこう」
おまえたちはここでいいとケンジさんがいうと、煙のように若衆が夜の街に消えた。
おれはケンジさんといっしょに西口公園に歩き出した。
マルイの先にシックなバーがあるのだ。
もちろん足のきれいな女も、胸のでかい女もいない店である。
ここからは後日ケンジさんから聞いた話。
丸岡はさんざん酔ったあとで金を請求され、怒り狂ったらしい。
だいぶ店を壊したが、その分何倍にもなってやつの支払いに乗せられた。
もちろん払い切れるはずもなく、銀行のカードが空っぽになった途端に、やつは姿をくらました。
マッドドックとはいえども、個人である。
日替わりで組織からしつこい催促を受けて、かなり煮詰まったようだった。
ショウタはやつのクスリの使用量が倍になったと笑っていた。
おれの携帯が鳴ったのはそろそろ丸岡の顔を忘れかけていたころだった。
悠が不在の小鳥遊家でのんびりと真桜ちゃんの手伝いをのんびりしていたおれの耳元でやつの声がする。
『おい、おまえとあのガキに預けといたあの金をよこせ』
追い込みをかけられているわりには、威勢のいい言葉だった。
なかなかしぶといマッドドックだ。
俺はあれからすんなりあきらめて、ほとぼりが冷めるまで池袋には帰ってこないことを踏んでいたのだが。
「どうすればいい」
『池袋大橋のガード下わかるな。そこにあるだけの金を持って来い。午後五時だ。』
「わかった」
まったくしつこい男。
しかもやつは自分では指一本動かしていないくせにミノルの金を自分のものだという。
おれが深々とため息をつくと真桜ちゃんが言った。
「なんだ、暗い顔して。年の瀬も近いのにそんなためいきつくんじゃねぇなの。」
まったくである。
商売は明るく、コツコツと。
俺は無理やり笑顔をつくり、一ノ瀬組のホープに電話した。
翌日はあいにくの曇り空。
今にも雨が降り出しそうな真冬の空というのは、見ていてとにかく気が滅入るものだ。
おれとケンジさん、それにむ彼のしたにいる若衆がふたり。
計四人でJRの路線をくぐる陸橋のしたに立った。
おれの両手はうしろにまわっていた。
来る途中にSMショップで買ったおもちゃの手錠がかけられているのだ。