ー特別編グレーゾーンボーイー
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おれとミノルはマックをでて、目白通りを歩いた。
川村学園と学習院と目白小学校、この通りには学校がたくさんあって、両側にはきれいに並木がそろっている。
ケヤキやイチョウの枯葉で、静かな歩道は豪華なじゅうたんを敷き詰めたようだった。
池袋の繁華街とは違って、こんな場所ならクリスマスソングだってもっとらしくきこえる。
おれは制服のミノルにいう。
「どうする、なんだか、おかしな展開になってきたけど。その丸岡とかいうやつ、そんなにあぶないのか」
ミノルは枯葉を蹴るのが楽しいようで、ちいさな革靴のつま先で赤や黄を蹴散らしながらあるいていた。
「よく知らないけど、怖い人みたい。うちの学校って、進学校だからあんまりすごい不良っていないんだけど、その人だけは特別なんだって。学院では丸岡さんがきたら、先生がすぐ警察を呼ぶことになってる」
「そうか、じゃあ、まだ仕事は終わりじゃないんだな」
「うん。あのさ、ともきさん、ときどきいっしょに歩かない」
恥ずかしそうにうつむいて、ミノルはつま先を見ている。
「ぼくは学校に友達がせくないでしょう。こうやって、いつも誰かといっしょにいるなんて、めずらしいんだ。ともきさんなら、有名みたいだし、ボディガードにもなる。この依頼とは別に料金を払ってもいいからさ」
おれは灰色の制服を着た子供にいった。
「誰かと歩くために金なんか払うやつはいないぞ。おれはまだ仕事中だから、毎日でもいっしょに歩くさ。でも、全部終わったら、金じゃなくて、おまえ自身の魅力で勝負しなけりゃだめだ。そんなことじゃいくつになっても、女にもてないぞ」
「そんなこといっても、ともきさんの携帯には、ぼくといっしょにいるあいだ女の人からの電話一回も入ったことないよね。」
おれはニンマリと余裕の笑顔でいった。
初の黒星だ。
「残念。おれには彼女がいる。それに、男の価値を決めるのは、女の数じゃないだろ。」
「そうだね。パンチラなんて、ぼくもつまらないことしてるな」
北風が吹いて、歩道のケヤキの枝を揺らした。
赤茶色の葉が幕をおりるように厚く降ってくる。
おれはミノルの制帽に手をのせていった。
「それがわかってればいいさ。おれはホームルームの先生じゃないから、おまえのやってることがいいか悪いかはいわない。自分で試して、自分でこたえをだすといい。すくなくともおれの五年のころより、おまえのほうがずっと賢いからな」
おれたちはそれで千登世橋の坂道をゆっくりとおりて、明治通りにはいった。
地下鉄工事の影響でいつも混雑してる東京の幹線道路だ。
家に帰るというミノルに横断歩道で手を振って別れた。
ランドセルの背中が左右に揺れながら遠ざかっていく。
おれは少しだけ昔のことを思い出した。
今は家族はいない……もし、年の離れた弟がいたら、こんな気分なのかもしれないと思った。
賢くて生意気で、ときどきどきりとするような素直なことをいう。
おれも昔はあんなふうにかわいかったのだろう。
まあ、盗撮したことはなかったけどね。
川村学園と学習院と目白小学校、この通りには学校がたくさんあって、両側にはきれいに並木がそろっている。
ケヤキやイチョウの枯葉で、静かな歩道は豪華なじゅうたんを敷き詰めたようだった。
池袋の繁華街とは違って、こんな場所ならクリスマスソングだってもっとらしくきこえる。
おれは制服のミノルにいう。
「どうする、なんだか、おかしな展開になってきたけど。その丸岡とかいうやつ、そんなにあぶないのか」
ミノルは枯葉を蹴るのが楽しいようで、ちいさな革靴のつま先で赤や黄を蹴散らしながらあるいていた。
「よく知らないけど、怖い人みたい。うちの学校って、進学校だからあんまりすごい不良っていないんだけど、その人だけは特別なんだって。学院では丸岡さんがきたら、先生がすぐ警察を呼ぶことになってる」
「そうか、じゃあ、まだ仕事は終わりじゃないんだな」
「うん。あのさ、ともきさん、ときどきいっしょに歩かない」
恥ずかしそうにうつむいて、ミノルはつま先を見ている。
「ぼくは学校に友達がせくないでしょう。こうやって、いつも誰かといっしょにいるなんて、めずらしいんだ。ともきさんなら、有名みたいだし、ボディガードにもなる。この依頼とは別に料金を払ってもいいからさ」
おれは灰色の制服を着た子供にいった。
「誰かと歩くために金なんか払うやつはいないぞ。おれはまだ仕事中だから、毎日でもいっしょに歩くさ。でも、全部終わったら、金じゃなくて、おまえ自身の魅力で勝負しなけりゃだめだ。そんなことじゃいくつになっても、女にもてないぞ」
「そんなこといっても、ともきさんの携帯には、ぼくといっしょにいるあいだ女の人からの電話一回も入ったことないよね。」
おれはニンマリと余裕の笑顔でいった。
初の黒星だ。
「残念。おれには彼女がいる。それに、男の価値を決めるのは、女の数じゃないだろ。」
「そうだね。パンチラなんて、ぼくもつまらないことしてるな」
北風が吹いて、歩道のケヤキの枝を揺らした。
赤茶色の葉が幕をおりるように厚く降ってくる。
おれはミノルの制帽に手をのせていった。
「それがわかってればいいさ。おれはホームルームの先生じゃないから、おまえのやってることがいいか悪いかはいわない。自分で試して、自分でこたえをだすといい。すくなくともおれの五年のころより、おまえのほうがずっと賢いからな」
おれたちはそれで千登世橋の坂道をゆっくりとおりて、明治通りにはいった。
地下鉄工事の影響でいつも混雑してる東京の幹線道路だ。
家に帰るというミノルに横断歩道で手を振って別れた。
ランドセルの背中が左右に揺れながら遠ざかっていく。
おれは少しだけ昔のことを思い出した。
今は家族はいない……もし、年の離れた弟がいたら、こんな気分なのかもしれないと思った。
賢くて生意気で、ときどきどきりとするような素直なことをいう。
おれも昔はあんなふうにかわいかったのだろう。
まあ、盗撮したことはなかったけどね。