ー特別編グレーゾーンボーイー
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「いつまでもこんなことをやるつもりはないよ。もっとおおきくなったら、自分で会社をつくるもん。でも、小学生では誰もつかってくれないし、会社の登記もでかない。」
なにか金が必要な事情でもあるのだろう。
おれはクライアントのプライベートには踏み込まないことにした。
だいたいおれはいつだって深入りしすぎるのだ。
「で、問題はそのショウタってやつひとりなのか」
浮かない顔でミノルはいった。
「ううん。ショウタくんには重行くんと浩一郎くんていう仲間がいる」
名門校のおちこぼれ不良三人組か。
今回の相手は、ボクシングのモスキート級なみに軽そうな相手だった。
この子なら金をもらっても、ぜんぜん良心の呵責は感じないしな。
ラッキーである。
「それでやつらはなんていってる」
「ぼくの仕事に一枚かませてくれなければ、うちの親や学校にばらすって。そうしたら、僕は退学になるし、うちは大騒ぎになるよ。今さら仕事をやめても、昔のROMが残ってるし」
それでは事業の継続も、撤退もできないことになる。困った話になった。
「じゃあ、税金だと思って、やつらに金をわたしたらどうだ。しかたないだろう」
ミノルは顔色を変えた。
声変わりする前の高い声で、叫ぶようにいう。
「利益の半分をよこせっていうんだ。法人税の税率は三十パーセントだよね。なにもしないショウタくんたちが、そんなに取るなんてずるいよ。」
確かにミノルのいうとおりだった。
なにもしないで、利益の半分はないだろう。
この子は盗撮映像を売りさばいている割りには、どこか不思議なバランス感覚があるようだ。
ミノルはおれの顔をみあげる。メガネ越の目には、このごろちょっと見なかった透明感があった。
「ともきさんて、池袋一のトラブル解決屋なんだよね。ショウタくんたちを、なんとかしてよ。毎回でなくて、一回だけだったら、口止めのお金をだしてもいいと、僕は思ってる」
悠と俺を混同しはじめてるな。
おれはなんとか・モカ・マキアートをのんでいった。
「いくらまで」
小学生はまよいなく答える
「ひとり十五万まで、三人で四十五万が限界」
確かおれの報酬の半金が十五万だったはずだ。
不思議に思いきいてみる。
「なぜ十五万なんだ。なにか、その金額にこだわりがあるのか」
灰色の制服の小学生は、黙ったまま首を横に振った。
おれたちは、それから携帯電話の番号を交換して別れた。
ミノルの家は雑司ヶ谷にあるという。
ここからなら、子どもの足でも歩いて十分ほどだろう。
おれは妙にもの悲しい「ママがサンタにキスをした」をききながら、ジュンク堂の角で黒いランドセルの背中を見送った。
なにか金が必要な事情でもあるのだろう。
おれはクライアントのプライベートには踏み込まないことにした。
だいたいおれはいつだって深入りしすぎるのだ。
「で、問題はそのショウタってやつひとりなのか」
浮かない顔でミノルはいった。
「ううん。ショウタくんには重行くんと浩一郎くんていう仲間がいる」
名門校のおちこぼれ不良三人組か。
今回の相手は、ボクシングのモスキート級なみに軽そうな相手だった。
この子なら金をもらっても、ぜんぜん良心の呵責は感じないしな。
ラッキーである。
「それでやつらはなんていってる」
「ぼくの仕事に一枚かませてくれなければ、うちの親や学校にばらすって。そうしたら、僕は退学になるし、うちは大騒ぎになるよ。今さら仕事をやめても、昔のROMが残ってるし」
それでは事業の継続も、撤退もできないことになる。困った話になった。
「じゃあ、税金だと思って、やつらに金をわたしたらどうだ。しかたないだろう」
ミノルは顔色を変えた。
声変わりする前の高い声で、叫ぶようにいう。
「利益の半分をよこせっていうんだ。法人税の税率は三十パーセントだよね。なにもしないショウタくんたちが、そんなに取るなんてずるいよ。」
確かにミノルのいうとおりだった。
なにもしないで、利益の半分はないだろう。
この子は盗撮映像を売りさばいている割りには、どこか不思議なバランス感覚があるようだ。
ミノルはおれの顔をみあげる。メガネ越の目には、このごろちょっと見なかった透明感があった。
「ともきさんて、池袋一のトラブル解決屋なんだよね。ショウタくんたちを、なんとかしてよ。毎回でなくて、一回だけだったら、口止めのお金をだしてもいいと、僕は思ってる」
悠と俺を混同しはじめてるな。
おれはなんとか・モカ・マキアートをのんでいった。
「いくらまで」
小学生はまよいなく答える
「ひとり十五万まで、三人で四十五万が限界」
確かおれの報酬の半金が十五万だったはずだ。
不思議に思いきいてみる。
「なぜ十五万なんだ。なにか、その金額にこだわりがあるのか」
灰色の制服の小学生は、黙ったまま首を横に振った。
おれたちは、それから携帯電話の番号を交換して別れた。
ミノルの家は雑司ヶ谷にあるという。
ここからなら、子どもの足でも歩いて十分ほどだろう。
おれは妙にもの悲しい「ママがサンタにキスをした」をききながら、ジュンク堂の角で黒いランドセルの背中を見送った。