ー特別編グレーゾーンボーイー
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十一月のはじめから、東京の街はどこもクリスマスソング一色になる。
考えてみると、クリスマスまでほとんど二ヶ月、日本人は信じてもいない宗教の音楽を山のように聞かされるのだ。
おれたちは実に寛大な民族なのである。
世界中のキリスト教徒とイスラム教徒は、おれたちのいい加減さから学ぶところが、おおいにあるはずだとおれは思う。
中東とアメリカはコーランと聖書を年に二ヶ月ずつ交代で読んだらどうだろうか。
相互理解の助けになる。
一神教徒同士の果てしない泥仕合には、もうつきあっていられない。
十二月にはいっても、池袋の街は秋のような暖かさだった。
熱帯の夏に続いて暑かったのだから、おれのこの冬のファッションも例によって暖冬仕様。
だぶだぶのジーンズに、長袖と半袖のTシャツを重ねて、腰にロングカーディガンを巻き付ける。
ストリートカジュアルに裏ハラジュクのテイストを混ぜたやつ。
まあ、あまりフェミニンなのは好みじゃないけどね。
そのとき俺が歩いていたのは首都高速池袋線の高架のした、トヨタ・アムラックスのシルバーブルーとサンシャインシティの白に挟まれた渓谷の底のような通りだ。
乙女ロードと名はついているが、平日の昼間はほとんどオタク女はみかけない。
その通りにはマンガとアニメの店がずらりと並んでいる。
おれのお目当ては、七階建てのビル全部がソフトショップになった「マンガの宇宙」。
マン宙の壁には、ばかでかいメイドキャラが描かれているから、あんただって見覚えはあるだろう。
有名な池袋のメイドビルってやつ。
いつものルートで店内を回遊する。
三階の新刊漫画をチェックして、五階のライトノベルを精査する。
このジャンルはいまや案外バカにならない面白さなのだ。
そして、最後にフィギュアやプラモデルの並ぶ最上階でひと休み。
もっともこのフロアにあるのは何十万と言う値のついた高級品か、名のあるモデラーが精密に塗りあげた芸術みたいな作品ばかり。
おれにはとうてい手がだせるもんじゃない。
だけど、中坊のころ夢中になった2D格闘ゲームのキャラなんかを、誰かが真剣に作っているというだけで、けっこうわくわくするものだ。
おれは透明なアクリルケースが床から天井まで積みあがった壁の一角を、ゆっくりと展示品を鑑賞しながら歩いていた。
時間は中途半端な午後で、おれ以外の客はこの近くの私立校の制服を着た子供がひとり。
おれは天昇脚を放ったまま空中で静止した春麗(チユンリー)をじっくりと観察していた。
アクリルケースのなかスポットライトを浴びて、フィギュアは永遠のときを生きているように見える。
果てしなく続く必殺技。
考えてみると、クリスマスまでほとんど二ヶ月、日本人は信じてもいない宗教の音楽を山のように聞かされるのだ。
おれたちは実に寛大な民族なのである。
世界中のキリスト教徒とイスラム教徒は、おれたちのいい加減さから学ぶところが、おおいにあるはずだとおれは思う。
中東とアメリカはコーランと聖書を年に二ヶ月ずつ交代で読んだらどうだろうか。
相互理解の助けになる。
一神教徒同士の果てしない泥仕合には、もうつきあっていられない。
十二月にはいっても、池袋の街は秋のような暖かさだった。
熱帯の夏に続いて暑かったのだから、おれのこの冬のファッションも例によって暖冬仕様。
だぶだぶのジーンズに、長袖と半袖のTシャツを重ねて、腰にロングカーディガンを巻き付ける。
ストリートカジュアルに裏ハラジュクのテイストを混ぜたやつ。
まあ、あまりフェミニンなのは好みじゃないけどね。
そのとき俺が歩いていたのは首都高速池袋線の高架のした、トヨタ・アムラックスのシルバーブルーとサンシャインシティの白に挟まれた渓谷の底のような通りだ。
乙女ロードと名はついているが、平日の昼間はほとんどオタク女はみかけない。
その通りにはマンガとアニメの店がずらりと並んでいる。
おれのお目当ては、七階建てのビル全部がソフトショップになった「マンガの宇宙」。
マン宙の壁には、ばかでかいメイドキャラが描かれているから、あんただって見覚えはあるだろう。
有名な池袋のメイドビルってやつ。
いつものルートで店内を回遊する。
三階の新刊漫画をチェックして、五階のライトノベルを精査する。
このジャンルはいまや案外バカにならない面白さなのだ。
そして、最後にフィギュアやプラモデルの並ぶ最上階でひと休み。
もっともこのフロアにあるのは何十万と言う値のついた高級品か、名のあるモデラーが精密に塗りあげた芸術みたいな作品ばかり。
おれにはとうてい手がだせるもんじゃない。
だけど、中坊のころ夢中になった2D格闘ゲームのキャラなんかを、誰かが真剣に作っているというだけで、けっこうわくわくするものだ。
おれは透明なアクリルケースが床から天井まで積みあがった壁の一角を、ゆっくりと展示品を鑑賞しながら歩いていた。
時間は中途半端な午後で、おれ以外の客はこの近くの私立校の制服を着た子供がひとり。
おれは天昇脚を放ったまま空中で静止した春麗(チユンリー)をじっくりと観察していた。
アクリルケースのなかスポットライトを浴びて、フィギュアは永遠のときを生きているように見える。
果てしなく続く必殺技。