ー特別編ー野獣とユニオン
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だが、二十歳くらいの女は、やけに厳しい表情をしている。
真剣。これ以上はない冷たい声。
「小鳥遊悠さんですね」
あきひめの苗を手にうなずく。
彼女はピンク色のショルダーバッグから、携帯電話を取り出した。
じゃらじゃらと鳴るストラップのアクセサリー。
開いた液晶画面をおれの顔に突きだす。
歯を剥き出して笑っているガキの写真。
「この人の足を壊してください」
よく意味がわからなかった。
おれの頭のなかはまだ春色だ。
「どちらか片方でいいです。でも、一生杖がないと歩けないようにしてほしいんです。」
俺はイチゴの苗をおいてたちあがった。
女は意外と小柄だった。
したから見ていたせいだろう。
「確かにおれが悠だけど、あんた、どんな噂をきいたんだ。」
白いブーツの女は、ぱちりと音を立てて携帯電話を閉じた。
「ギャングにもつてがあって、悪いやつをこらしめてくれる。すごく強くて、頭が切れる池袋一のトラブルシューターだって」
「もう一度いってくれないか」
女が冗談は許さないという顔をしたので、おれはアプローチを変えた。
「その男とあんたの関係は?」
女の目のなかで憎しみが冷たく燃え上がる。
目を細くして正面に立つ俺をにらんだ。
「こいつはケダモノ。たった三千円のために、うちのお兄ちゃんの足を壊した。」
なんだか惚れた腫れたという恋愛のねじれではないようだった。
おれは基本的に男女関係とか浮気調査とか、その手の色っぽいトラブルは受け付けないのだ。
そんなのは自分の分だけでたくさんだからな。
「わかった。とりあえず話だけでもきくよ」
俺は縁側の奥に向かって叫んだ。
「まお、ちょっと出掛けてくる。イチゴの植え付け頼む」
メスのケモノのような真桜の声が奥からとんでくる。
「またかなの、悠。ちゃんと四時までにはかえってこいなの。見たいテレビがあるからななの」
四時からは真桜がはまっているドラマの再放送があるのだ。
事件と科学と血縁関係と大袈裟な台詞のコンビネーション。
男優はじっとカメラを見て笑う。
胸焼けがしないのだろうか。
おれもストリートの事件なんか追わずに、純愛を追っかけようかな。
そうしたら、もうすこし女性ファンが増えるかもしれない。
いっそ韓流にでも走ってみようかセルフレームのメガネをかけ、こじゃれたマフラーを巻き、失明して、北極星になるのだ。
悪くないかもしれない。
「なあ、あんた、導きの星がほしくないか」
女は無表情のまま振り向いて歩き出した。
韓流の台詞は、おれではうまくワークしない。
真剣。これ以上はない冷たい声。
「小鳥遊悠さんですね」
あきひめの苗を手にうなずく。
彼女はピンク色のショルダーバッグから、携帯電話を取り出した。
じゃらじゃらと鳴るストラップのアクセサリー。
開いた液晶画面をおれの顔に突きだす。
歯を剥き出して笑っているガキの写真。
「この人の足を壊してください」
よく意味がわからなかった。
おれの頭のなかはまだ春色だ。
「どちらか片方でいいです。でも、一生杖がないと歩けないようにしてほしいんです。」
俺はイチゴの苗をおいてたちあがった。
女は意外と小柄だった。
したから見ていたせいだろう。
「確かにおれが悠だけど、あんた、どんな噂をきいたんだ。」
白いブーツの女は、ぱちりと音を立てて携帯電話を閉じた。
「ギャングにもつてがあって、悪いやつをこらしめてくれる。すごく強くて、頭が切れる池袋一のトラブルシューターだって」
「もう一度いってくれないか」
女が冗談は許さないという顔をしたので、おれはアプローチを変えた。
「その男とあんたの関係は?」
女の目のなかで憎しみが冷たく燃え上がる。
目を細くして正面に立つ俺をにらんだ。
「こいつはケダモノ。たった三千円のために、うちのお兄ちゃんの足を壊した。」
なんだか惚れた腫れたという恋愛のねじれではないようだった。
おれは基本的に男女関係とか浮気調査とか、その手の色っぽいトラブルは受け付けないのだ。
そんなのは自分の分だけでたくさんだからな。
「わかった。とりあえず話だけでもきくよ」
俺は縁側の奥に向かって叫んだ。
「まお、ちょっと出掛けてくる。イチゴの植え付け頼む」
メスのケモノのような真桜の声が奥からとんでくる。
「またかなの、悠。ちゃんと四時までにはかえってこいなの。見たいテレビがあるからななの」
四時からは真桜がはまっているドラマの再放送があるのだ。
事件と科学と血縁関係と大袈裟な台詞のコンビネーション。
男優はじっとカメラを見て笑う。
胸焼けがしないのだろうか。
おれもストリートの事件なんか追わずに、純愛を追っかけようかな。
そうしたら、もうすこし女性ファンが増えるかもしれない。
いっそ韓流にでも走ってみようかセルフレームのメガネをかけ、こじゃれたマフラーを巻き、失明して、北極星になるのだ。
悪くないかもしれない。
「なあ、あんた、導きの星がほしくないか」
女は無表情のまま振り向いて歩き出した。
韓流の台詞は、おれではうまくワークしない。