ー特別編ー家なき者たちのパレード
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「ダメだ。ここで即座に手帳を返却しなければ、すぐに警察に通報する。悪質な詐欺だから、アンタも何年か刑務所に食らい込むだろうし、この会社だって倒産するだろうな。公共事業もペナルティで誰も使ってくれなくなる。」
社長の顔が青ざめた。
真実だから、仕方ない。
「ちょっと待ってくれ。わたしはここにいるみなさんのためにかわりに手帳を管理しているだけで、別に詐欺なんてしていない。ちょっと勘違いしているみたいだな、みなさんがたは」
ホームレスをみなさんと呼んだのは、間違いなく初めてのことだろう。
「じゃあその管理も今日で終わりだ。さっさと手帳を返してくれよ。元はといえば、みんなのものだろう。」
俺はボランティアの代表を振り向いた。
ヨウスケはデジタルのビデオカメラをまわしている。
「アンタがすぐに返さないのなら、今すぐ警察に電話して、このテープはテレビ局に売ることにする。アンタの顔も、この会社もたっぷり映っているぞ。どうする、あと三十秒だけ考える時間をやる。」
ノボが叫んでいた。
「待ってください社長。こんなやつらの言うことをきくことなんかねぇ」
怒気をふくんだ声で奥村はいった。
「やかましい。おまえたちがやりすぎたんだ」
俺は携帯の時計を見ながらいった。
「あと二十秒……十秒……」
もし奥村が折れないようなら、俺は本当に電話をしようと思っていた。
発信ボタンに指をかけたとき、小太りの社長はがくりと肩を落としていった。
「わかった。手帳は返す。通報は止めてくれ。」
色とりどりのホームレスが歓喜をあげた。
ぴょんぴょんと飛び跳ねているやつもいる。
「そこの三人組を使って、あとで仕返しするなよ。そのときはまた警察の出番だからな。」
「わかった」
うなずくと奥村社長が携帯を開いた。
手帳を持ってくるように部下に指示を出したようだ。
ノボは悔しそうだったが、じっと俺をにらむと去っていった。
ここでできることは何もないと、やつの足りない頭でもよくわかったのだろう。
返却された日雇労働被保険者手帳は、全部で五十二冊だった。
白手帳の名前のとおり、表紙は清潔な白だ。
俺たちのパレードはふたたび東池袋中央公園を目指して、行進を開始した。
手帳さえ戻れば、もうこんな会社に用はない。
その日は明るいうちから、公園で酒盛りになった。
俺と優希はこの街のホームレス数十人と友人になった。
話をすればみんな、普通の男ばかりだった。
なかにはちょっとにおうやつもいるが、誰だって少しくらいはにおうよな。
その夜おれは泥のように酔っ払って家に帰り、盛大に真桜にしかられた。
家の事は送ってくれたS・ウルフの精鋭たちのおかげで、指示するだけですんだ。
今度からトラブルだけでなく、うちの用事も頼もうかな。
そういうと、タカシは氷の糸のような視線で俺を見た。
社長の顔が青ざめた。
真実だから、仕方ない。
「ちょっと待ってくれ。わたしはここにいるみなさんのためにかわりに手帳を管理しているだけで、別に詐欺なんてしていない。ちょっと勘違いしているみたいだな、みなさんがたは」
ホームレスをみなさんと呼んだのは、間違いなく初めてのことだろう。
「じゃあその管理も今日で終わりだ。さっさと手帳を返してくれよ。元はといえば、みんなのものだろう。」
俺はボランティアの代表を振り向いた。
ヨウスケはデジタルのビデオカメラをまわしている。
「アンタがすぐに返さないのなら、今すぐ警察に電話して、このテープはテレビ局に売ることにする。アンタの顔も、この会社もたっぷり映っているぞ。どうする、あと三十秒だけ考える時間をやる。」
ノボが叫んでいた。
「待ってください社長。こんなやつらの言うことをきくことなんかねぇ」
怒気をふくんだ声で奥村はいった。
「やかましい。おまえたちがやりすぎたんだ」
俺は携帯の時計を見ながらいった。
「あと二十秒……十秒……」
もし奥村が折れないようなら、俺は本当に電話をしようと思っていた。
発信ボタンに指をかけたとき、小太りの社長はがくりと肩を落としていった。
「わかった。手帳は返す。通報は止めてくれ。」
色とりどりのホームレスが歓喜をあげた。
ぴょんぴょんと飛び跳ねているやつもいる。
「そこの三人組を使って、あとで仕返しするなよ。そのときはまた警察の出番だからな。」
「わかった」
うなずくと奥村社長が携帯を開いた。
手帳を持ってくるように部下に指示を出したようだ。
ノボは悔しそうだったが、じっと俺をにらむと去っていった。
ここでできることは何もないと、やつの足りない頭でもよくわかったのだろう。
返却された日雇労働被保険者手帳は、全部で五十二冊だった。
白手帳の名前のとおり、表紙は清潔な白だ。
俺たちのパレードはふたたび東池袋中央公園を目指して、行進を開始した。
手帳さえ戻れば、もうこんな会社に用はない。
その日は明るいうちから、公園で酒盛りになった。
俺と優希はこの街のホームレス数十人と友人になった。
話をすればみんな、普通の男ばかりだった。
なかにはちょっとにおうやつもいるが、誰だって少しくらいはにおうよな。
その夜おれは泥のように酔っ払って家に帰り、盛大に真桜にしかられた。
家の事は送ってくれたS・ウルフの精鋭たちのおかげで、指示するだけですんだ。
今度からトラブルだけでなく、うちの用事も頼もうかな。
そういうと、タカシは氷の糸のような視線で俺を見た。