ー特別編ー家なき者たちのパレード
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それから、俺たちは打ち合わせに入った。
なるべく多くのホームレスをあの住宅街に集合させること。
成否の分かれ目はそこにある。
仮に一回で団体交渉が決裂しても、何度でも繰り返せばいいのだ。
なにせ、むこうはうしろめたいことがあるので、簡単に警察なんて呼べないからな。
周囲に住む健全な市民に警察に通報されても困るだろう。
まあ、そのときはそのときで、全部ぶちまけてしまえばいいんだけどな。
その日の午後、俺と優希はまたもスイカをもって池袋病院に見舞いにいった。
ベッドのわきで食いながら、ガンさんに話しかけた。
「なあ、ガンさんにも頼みたいことがある。今度の火曜日の炊き出しで演説してくれないか。おれ、メガホン持っていくからさ。」
ホームレスのオヤジはおかしな顔をした。
「なんでそんなことやらなくちゃいけねえんだ」
「警察の手を借りずに、あぶれ手帳を取り戻すため。あんな三人組がのさばってるのは、ガンさんだって嫌だろう。あいつらは城用建設と切れてしまえば、ただの図体のでかい間抜けにすぎないんだ」
ガンさんの目の奥で何かが動いたようだった。
「やつらをどうやってはめるんだ。おもしろそうだな。話を聞かせろ。」
俺は東池袋中央公園から、池袋本町までの言えなき者たちのパレードの話をした。
うんと目だった方がいいし、勝手に盛り上がってもらいたいと。
ガンさんはおしまいにいった。
「なんだか妙なことになってきやがったな。いつも人目につくことを怖がってる俺たちが、うんと派手なパフォーマンスをやるのか。」
「そうだよ。どっこい生きてるってところを見せつけてやってくれ。」
「わかった。俺の仲間の何人かに根まわししとくからな。火曜に会おう。衣装も用意しておく。」
俺は衣装がなんだかわからなかったが、適当にうなずいておいた。
せっかくその気になったのに、水をさすのは、気が進まなかったから。
帰り道にキングに電話した。
団体交渉の当日、あの三人組が暴れ出すと面倒だから、いちおうホームレスのボディガードを頼んだのである。
まあ、白昼で衆人環境だから、暴力的な展開になることはあまり考えられなかったが、それでも念のため。
俺は池袋の街で心安らかな散歩の時間を過ごし、運命の火曜日を待った。
秋晴れの火曜日、東池袋中央公園に昼間まえから出かけた。
今回のメニューは定番のカレーライスだった。
公園でかぐカレーの匂いって最高だよな。
炊き出しを始めるまえに、絆の代表が前回の倍はある行列にむかってメガホンを使用した。
「これからフリーランチを配ります。ですが、そのまえにひとつ話を聞いてください。食後みなさんにお手伝いしてほしいことがあるんです。そこはここにいる仲間の権利を守るための団体行動です。では、ガンさん、どうぞ」
ガンさんは右手にメガホンを握った。
左手は白い布でつられている。
「この腕はノボの野郎にやられちまった。折れてんだ。ここに居る仲間のなかにも、あいつらに痛めつけられた人間がたくさんいるだろう。だが、身体が少々痛んだくらいなんだっていうんだ。そんなことより、あんなやつらに好きなようにやられて、お前たちの胸は傷つかないのか」
そうだ、そうだという声が上がった。
ガンさんが仕込んだサクラのホームレスだ。
なるべく多くのホームレスをあの住宅街に集合させること。
成否の分かれ目はそこにある。
仮に一回で団体交渉が決裂しても、何度でも繰り返せばいいのだ。
なにせ、むこうはうしろめたいことがあるので、簡単に警察なんて呼べないからな。
周囲に住む健全な市民に警察に通報されても困るだろう。
まあ、そのときはそのときで、全部ぶちまけてしまえばいいんだけどな。
その日の午後、俺と優希はまたもスイカをもって池袋病院に見舞いにいった。
ベッドのわきで食いながら、ガンさんに話しかけた。
「なあ、ガンさんにも頼みたいことがある。今度の火曜日の炊き出しで演説してくれないか。おれ、メガホン持っていくからさ。」
ホームレスのオヤジはおかしな顔をした。
「なんでそんなことやらなくちゃいけねえんだ」
「警察の手を借りずに、あぶれ手帳を取り戻すため。あんな三人組がのさばってるのは、ガンさんだって嫌だろう。あいつらは城用建設と切れてしまえば、ただの図体のでかい間抜けにすぎないんだ」
ガンさんの目の奥で何かが動いたようだった。
「やつらをどうやってはめるんだ。おもしろそうだな。話を聞かせろ。」
俺は東池袋中央公園から、池袋本町までの言えなき者たちのパレードの話をした。
うんと目だった方がいいし、勝手に盛り上がってもらいたいと。
ガンさんはおしまいにいった。
「なんだか妙なことになってきやがったな。いつも人目につくことを怖がってる俺たちが、うんと派手なパフォーマンスをやるのか。」
「そうだよ。どっこい生きてるってところを見せつけてやってくれ。」
「わかった。俺の仲間の何人かに根まわししとくからな。火曜に会おう。衣装も用意しておく。」
俺は衣装がなんだかわからなかったが、適当にうなずいておいた。
せっかくその気になったのに、水をさすのは、気が進まなかったから。
帰り道にキングに電話した。
団体交渉の当日、あの三人組が暴れ出すと面倒だから、いちおうホームレスのボディガードを頼んだのである。
まあ、白昼で衆人環境だから、暴力的な展開になることはあまり考えられなかったが、それでも念のため。
俺は池袋の街で心安らかな散歩の時間を過ごし、運命の火曜日を待った。
秋晴れの火曜日、東池袋中央公園に昼間まえから出かけた。
今回のメニューは定番のカレーライスだった。
公園でかぐカレーの匂いって最高だよな。
炊き出しを始めるまえに、絆の代表が前回の倍はある行列にむかってメガホンを使用した。
「これからフリーランチを配ります。ですが、そのまえにひとつ話を聞いてください。食後みなさんにお手伝いしてほしいことがあるんです。そこはここにいる仲間の権利を守るための団体行動です。では、ガンさん、どうぞ」
ガンさんは右手にメガホンを握った。
左手は白い布でつられている。
「この腕はノボの野郎にやられちまった。折れてんだ。ここに居る仲間のなかにも、あいつらに痛めつけられた人間がたくさんいるだろう。だが、身体が少々痛んだくらいなんだっていうんだ。そんなことより、あんなやつらに好きなようにやられて、お前たちの胸は傷つかないのか」
そうだ、そうだという声が上がった。
ガンさんが仕込んだサクラのホームレスだ。