ー特別編ー家なき者たちのパレード
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俺の顔を見ると、ガンさんはいった。
「見せしめにやられた。どうやら誰かが俺と悠と優希が話しているところを、やつらにちくったらしい」
三人組の顔があざやかに浮かぶ。
俺は何もいえずにベッドのわきで立ち尽くしていた。
「そうか。俺のせいですまない」
ガンさんは首を横に振った。
「いいや、おまえのせいじゃない。臆病だった俺が悪い。あんなやつらにいいようにさせていたんだからな」
ホームレスの目が強く光っていた。
どうやらやつらは手を出してはいけないタイプの人間に手を出したらしい。
ある者は暴力で黙るが、別な者は暴力に反抗する。
人間の意地はバカにならない。
「おい、悠。俺たちの世界の腐った話を、全部お前に教えてやる。いいか 」
ちょっと待ってくれと俺はいった。
もうすぐ代表のヨウスケがくるし、優希も知っておく必要がある。
それに四人部屋では長話は難しい。
十五分後、俺たちはシーツとタオルがはためく病院の屋上にいた。
秋の透明な日射しを浴びて、白い布が輝くように風に揺れている。
ヨウスケと優希と俺はガンさんの正面に座った。
雨染みのついたコンクリートのうえだ。
ガンさんは金網に背中をあずけて、しんどそうにしている。
だが、闘志満々のホームレスの声は元気だ。
「今回の件の裏には、堅気の建設会社がからんでんだ。池袋本町にある城用建設。名前を聞いたことはないか。明治通りの地下鉄工事なんかに、ずいぶん日雇いをいれていたんだが。」
俺はメモをとりながら、返事をした。
「いいや。けっこうでかい会社なのか。」
「それほどでもねえよ。社員だって十数人というところじゃないか。その会社の社長、奥村って男が黒幕なんだよ。公共事業が減って、仕事がまわらなくなった。そこでおもいついたのが……」
ヨウスケが口をはさんだ。
「あぶれ手帳の失業保険詐欺」
ガンさんは鼻で息を吐いていった。
「そうだ。あれはもともと山谷なんかで、暴力団がしのぎの手口にしていたもんなんだ。奥村がまずむこうからあの三人組をつれてきた。やつらは暴力団の手下になって、仲間を売っていやがった。同じあくどい手口で、池袋の仲間からあぶれ手帳を引き剥がしていったのさ」
最後の足りないピースは建設会社だったのだ。
おれは走り書きでメモをとりながらいった。
「だけど、あぶれ手帳は命の次に大事なものなんだろ。どうやって何十冊も集められるんだ」
ガンさんは折れていない右手で、OKサインをつくってみせる。
「金だ。決まってるだろ」
おれは金とメモをとる。
なんだか終始金の話を書いている気がしてきた。
「見せしめにやられた。どうやら誰かが俺と悠と優希が話しているところを、やつらにちくったらしい」
三人組の顔があざやかに浮かぶ。
俺は何もいえずにベッドのわきで立ち尽くしていた。
「そうか。俺のせいですまない」
ガンさんは首を横に振った。
「いいや、おまえのせいじゃない。臆病だった俺が悪い。あんなやつらにいいようにさせていたんだからな」
ホームレスの目が強く光っていた。
どうやらやつらは手を出してはいけないタイプの人間に手を出したらしい。
ある者は暴力で黙るが、別な者は暴力に反抗する。
人間の意地はバカにならない。
「おい、悠。俺たちの世界の腐った話を、全部お前に教えてやる。いいか 」
ちょっと待ってくれと俺はいった。
もうすぐ代表のヨウスケがくるし、優希も知っておく必要がある。
それに四人部屋では長話は難しい。
十五分後、俺たちはシーツとタオルがはためく病院の屋上にいた。
秋の透明な日射しを浴びて、白い布が輝くように風に揺れている。
ヨウスケと優希と俺はガンさんの正面に座った。
雨染みのついたコンクリートのうえだ。
ガンさんは金網に背中をあずけて、しんどそうにしている。
だが、闘志満々のホームレスの声は元気だ。
「今回の件の裏には、堅気の建設会社がからんでんだ。池袋本町にある城用建設。名前を聞いたことはないか。明治通りの地下鉄工事なんかに、ずいぶん日雇いをいれていたんだが。」
俺はメモをとりながら、返事をした。
「いいや。けっこうでかい会社なのか。」
「それほどでもねえよ。社員だって十数人というところじゃないか。その会社の社長、奥村って男が黒幕なんだよ。公共事業が減って、仕事がまわらなくなった。そこでおもいついたのが……」
ヨウスケが口をはさんだ。
「あぶれ手帳の失業保険詐欺」
ガンさんは鼻で息を吐いていった。
「そうだ。あれはもともと山谷なんかで、暴力団がしのぎの手口にしていたもんなんだ。奥村がまずむこうからあの三人組をつれてきた。やつらは暴力団の手下になって、仲間を売っていやがった。同じあくどい手口で、池袋の仲間からあぶれ手帳を引き剥がしていったのさ」
最後の足りないピースは建設会社だったのだ。
おれは走り書きでメモをとりながらいった。
「だけど、あぶれ手帳は命の次に大事なものなんだろ。どうやって何十冊も集められるんだ」
ガンさんは折れていない右手で、OKサインをつくってみせる。
「金だ。決まってるだろ」
おれは金とメモをとる。
なんだか終始金の話を書いている気がしてきた。