ー特別編ー家なき者たちのパレード
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「やめてくれ!」
ハウスのなかから悲鳴があがる。
それでもノボは俺の方を向いたまま、家を壊すのをやめなかった。
「おまえらもやれ」
ジャモさんがダンボールのなかからはいだしてくると、三人組は家を破壊しつくし、リヤカーを横転させた。
最後に車輪を蹴りつけると、やつらは肩をそびやかして西口のほうへ去っていった。
ジャモさんは呆然として、残骸になった家の横に立っていたが、散らばった生活用品を黙々と片し始めた。
「「手伝うよ(います)」」
俺と優希が手を出そうとすると、顔を腫らしたホームレスはぴしゃりといった。
「やめてくれ。もう二度とここに顔を見せないでくれ。特に、あんたは疫病神だ。」
そこまでいわれたら、俺たちには何もできなかった。
「俺のせいですまない」
今日はここまで、また連絡するといって、優希とは別れた。
まだ明るい秋の午後、足を引きずってうちに帰った。
気分は最悪。
だが、そんなときでも空は高く澄んで、ぽつぽつとのどかに羊雲を浮かべている。
なぜ俺たちはああして、ただ真っ白に漂っていられないのだろうか。
人間なんて面倒なものだ。
家にもどって、ベッドに倒れ込んだ。
BGMはまたも憂鬱な子守唄のようなブラームスの間奏曲。
一台のピアノに慰められることってあるよな。
作曲家晩年のすべてをあきらめたような音楽は、そのときの俺の気分にぴったりだった。
俺は天井を見上げて、ずっと考えていた。
三人組のホームレス、あぶれ手帳、日雇いの失業保険。
なんだか一枚の絵になりそうだが、まだピースがひとつ足りないようだった。
ホームレスから集められた手帳は誰がどうやって管理して、毎日印紙を張っているんだろうか。
あの三人組にそんなことができるとも思えなかった。
仮に二十人分の印紙が毎日必要としたら、それだけで三千五百円近い出費になる。
第一特殊な印紙では、そう簡単にホームレスの手にはいるとは思えなかった。
俺は足りないピースについて考え続けたが、こたえなどそう簡単に浮かぶはずがなかった。
間奏曲をきき、バラードとラプソディーをきき、ピアノ協奏曲の一番と二番をきき、それでもまるでわからない。
夜になると考えるのをやめて、すべて次の日にまわすことにした。
ひと晩寝れば、いいアイディアも浮かぶだろうし、新しい調べごともできる。
俺が甘かったのだ。
翌日には形勢は悪いほうに逆転していたのだから。
次の日は、朝からどんよりと雲の厚い空。
関東南部では、またも局地的な豪雨という天気予報だった。
リッカの店で待ち合わせしていた優希と一緒にまたもリストの四件をまわっていく。
今回はコンビニの手土産は、すこしランクダウンさせた。
毎回デザートつきなんて、贅沢だからな。
ハウスのなかから悲鳴があがる。
それでもノボは俺の方を向いたまま、家を壊すのをやめなかった。
「おまえらもやれ」
ジャモさんがダンボールのなかからはいだしてくると、三人組は家を破壊しつくし、リヤカーを横転させた。
最後に車輪を蹴りつけると、やつらは肩をそびやかして西口のほうへ去っていった。
ジャモさんは呆然として、残骸になった家の横に立っていたが、散らばった生活用品を黙々と片し始めた。
「「手伝うよ(います)」」
俺と優希が手を出そうとすると、顔を腫らしたホームレスはぴしゃりといった。
「やめてくれ。もう二度とここに顔を見せないでくれ。特に、あんたは疫病神だ。」
そこまでいわれたら、俺たちには何もできなかった。
「俺のせいですまない」
今日はここまで、また連絡するといって、優希とは別れた。
まだ明るい秋の午後、足を引きずってうちに帰った。
気分は最悪。
だが、そんなときでも空は高く澄んで、ぽつぽつとのどかに羊雲を浮かべている。
なぜ俺たちはああして、ただ真っ白に漂っていられないのだろうか。
人間なんて面倒なものだ。
家にもどって、ベッドに倒れ込んだ。
BGMはまたも憂鬱な子守唄のようなブラームスの間奏曲。
一台のピアノに慰められることってあるよな。
作曲家晩年のすべてをあきらめたような音楽は、そのときの俺の気分にぴったりだった。
俺は天井を見上げて、ずっと考えていた。
三人組のホームレス、あぶれ手帳、日雇いの失業保険。
なんだか一枚の絵になりそうだが、まだピースがひとつ足りないようだった。
ホームレスから集められた手帳は誰がどうやって管理して、毎日印紙を張っているんだろうか。
あの三人組にそんなことができるとも思えなかった。
仮に二十人分の印紙が毎日必要としたら、それだけで三千五百円近い出費になる。
第一特殊な印紙では、そう簡単にホームレスの手にはいるとは思えなかった。
俺は足りないピースについて考え続けたが、こたえなどそう簡単に浮かぶはずがなかった。
間奏曲をきき、バラードとラプソディーをきき、ピアノ協奏曲の一番と二番をきき、それでもまるでわからない。
夜になると考えるのをやめて、すべて次の日にまわすことにした。
ひと晩寝れば、いいアイディアも浮かぶだろうし、新しい調べごともできる。
俺が甘かったのだ。
翌日には形勢は悪いほうに逆転していたのだから。
次の日は、朝からどんよりと雲の厚い空。
関東南部では、またも局地的な豪雨という天気予報だった。
リッカの店で待ち合わせしていた優希と一緒にまたもリストの四件をまわっていく。
今回はコンビニの手土産は、すこしランクダウンさせた。
毎回デザートつきなんて、贅沢だからな。