ー特別編ー家なき者たちのパレード
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池袋駅の東口と西口を結ぶびっくりガードには四車線の道路と両側に歩道がある。
長さは三百メートルほどあるだろうか。
公園が「正常化」されて、行き場のなくなったホームレスが点々と距離をおいて、ハウスを作っていた。
コンクリートの長いトンネルなので、自動車の騒音もやかましいし湿度も高く、決していい環境ではないけどな。
俺はリストにあったとおり、西口側出口に近いところにある移動式のビニールシートハウスを目指した。
リヤカーのうえにつくられたキャンピングカーのようなスタイル。
これなら移動も簡単だし、水がでてもすぐには濡れないだろう。
いいアイディア。
またもコンビニの手土産つきで、声をかけてみる。
一日に四件の買い物が毎日続くようなら、そう遠くないうちに俺の財政状態は破綻してしまう。
「ジャモさん、いませんか。絆からきました」
俺が声をかけると、すぐに反応があった。
ただしよくないほうの反応。
「うるさい。そっとしておいてくれ。」
「そういわれても、絆の代表に頼まれて、ききとり調査の最中なんです。すこし話をするだけだから、顔を出してもらえないですか。俺は小鳥遊悠。」
こちらの動きを探る視線をん感じた。
よく見ると、ダンボールにのぞき穴が開いていた。
俺はそこに向かって、団体の会員証とコンビニの袋を見せてやった。
「しかたねえな」
スライド式にダンボールが開いて、なかから五十代くらいのよく日焼けした男の顔があらわれた。
俺は表情を変えないようにするのが精いっぱい。
男の顔は赤く腫れて、右目はふさがりそうだった。
まだなぐられたばかりのようだ。
「どうしたんですか、それ。」
コンビニの袋をわたして、そっときいてみる。
「なんでもねえ」
男は袋の中身を確かめて、軽く頭をさげた。
「助かった。これで一食分浮くよ」
「誰にやられたんだ。ほんとうに大丈夫ですか?」
そう質問する優希ではなく、トンネルの左右におどおどと視線を飛ばしている。
そのとき東口の明治通りのほうから、三人組の男がやってきた。
着ているものは普通だが、遠くからでもホームレスだとわかった。
くたびれかたに年季が入っているというのかな。
あわててダンボールを閉じようとした男に俺はいった。
「あいつらが怖いのか。」
おびえた表情で、男は強がりをいった。
「バカいえ。あんなやつら怖いもんか。」
「だったら、あの三人組はなんなんだ」
「池袋のホームレスの鼻つまみさ」
俺はダンボールに手をかけていった。
「あんたもあぶれ手帳を誰かに盗まれたのか。」
男はなにもいわなかった。どす黒く変わった顔色が、なによりも雄弁な返事だ。
「もういったほうがいい。あんたもやばくなるぞ」
男の目が恐怖で泳いでいた。
俺が手を放すと、ダンボールの窓はぴたりと閉じられる。
ダンボールとビニールシートで、世の中の悪や冷たい風から身を守れるとは到底思えなかった。
「おまえらか、あちこちでかぎまわってるのは」
えらくドスの聞いた声。
振り向くとホームレスの三人組が腕を組んですごんでいた。
ピンチだ。
長さは三百メートルほどあるだろうか。
公園が「正常化」されて、行き場のなくなったホームレスが点々と距離をおいて、ハウスを作っていた。
コンクリートの長いトンネルなので、自動車の騒音もやかましいし湿度も高く、決していい環境ではないけどな。
俺はリストにあったとおり、西口側出口に近いところにある移動式のビニールシートハウスを目指した。
リヤカーのうえにつくられたキャンピングカーのようなスタイル。
これなら移動も簡単だし、水がでてもすぐには濡れないだろう。
いいアイディア。
またもコンビニの手土産つきで、声をかけてみる。
一日に四件の買い物が毎日続くようなら、そう遠くないうちに俺の財政状態は破綻してしまう。
「ジャモさん、いませんか。絆からきました」
俺が声をかけると、すぐに反応があった。
ただしよくないほうの反応。
「うるさい。そっとしておいてくれ。」
「そういわれても、絆の代表に頼まれて、ききとり調査の最中なんです。すこし話をするだけだから、顔を出してもらえないですか。俺は小鳥遊悠。」
こちらの動きを探る視線をん感じた。
よく見ると、ダンボールにのぞき穴が開いていた。
俺はそこに向かって、団体の会員証とコンビニの袋を見せてやった。
「しかたねえな」
スライド式にダンボールが開いて、なかから五十代くらいのよく日焼けした男の顔があらわれた。
俺は表情を変えないようにするのが精いっぱい。
男の顔は赤く腫れて、右目はふさがりそうだった。
まだなぐられたばかりのようだ。
「どうしたんですか、それ。」
コンビニの袋をわたして、そっときいてみる。
「なんでもねえ」
男は袋の中身を確かめて、軽く頭をさげた。
「助かった。これで一食分浮くよ」
「誰にやられたんだ。ほんとうに大丈夫ですか?」
そう質問する優希ではなく、トンネルの左右におどおどと視線を飛ばしている。
そのとき東口の明治通りのほうから、三人組の男がやってきた。
着ているものは普通だが、遠くからでもホームレスだとわかった。
くたびれかたに年季が入っているというのかな。
あわててダンボールを閉じようとした男に俺はいった。
「あいつらが怖いのか。」
おびえた表情で、男は強がりをいった。
「バカいえ。あんなやつら怖いもんか。」
「だったら、あの三人組はなんなんだ」
「池袋のホームレスの鼻つまみさ」
俺はダンボールに手をかけていった。
「あんたもあぶれ手帳を誰かに盗まれたのか。」
男はなにもいわなかった。どす黒く変わった顔色が、なによりも雄弁な返事だ。
「もういったほうがいい。あんたもやばくなるぞ」
男の目が恐怖で泳いでいた。
俺が手を放すと、ダンボールの窓はぴたりと閉じられる。
ダンボールとビニールシートで、世の中の悪や冷たい風から身を守れるとは到底思えなかった。
「おまえらか、あちこちでかぎまわってるのは」
えらくドスの聞いた声。
振り向くとホームレスの三人組が腕を組んですごんでいた。
ピンチだ。