ー特別編ー家なき者たちのパレード
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俺がドアをノックすると、なかから七十代くらいの老人が顔を出した。
「なんの用だ。」
髪は真っ白で、インテリ風。
刺し子の作務依(さむえ)をぴっしりと着ている。
俺がドアのなかをのぞき込もうとすると、身体をねじって隠した。
ちらりと見えたのは、ポータブルの発電機と二十インチのテレビ、あとは手作りの本棚だった。
なんだか俺の部屋より住み心地がよさそう。
手土産をわたして、用件を話した。
老人の表情は途中から、どんどん険しくなった。
コンビニの袋を押し戻していった。
「こんなものはもって帰ってくれ。わたしには必要ない。あんたが何をいっているのか、わからん。さっさとここから離れてくれ。」
俺は別に深い考えなど持っていなかった。
優希は最初のときと同じ質問をした。
「あなたも殴られたんですか」
老人の顔がみるみる赤くなった。
悔しそうに言う。
「そんなことはそっちに関係ない。あんたらは急にやってきて、ょいちょいつつきまわし、すぐに去っていくんだろうが。わたしはこの街でなんとか最後までしのいでいかなければならんのだぞ。若造になにがわかる?」
顔が赤くなっているだけでなく、目まで涙ぐんでいくのが俺には印象的だった。
俺はふとガンさんに聞いた意味不明の単語をぶつけてみた。
「あんたもあぶれ手帳をやつらに盗まれたのか」
老人の顔色が変わった、真っ赤だった顔は蒼白になる。
あたりをきょろきょろ見まわしはじめた。
「わかっているなら、もういいだろう。速くいってくれ。あんたらと話しているところをあいつらに見られたくない。お願いだ。」
敬老精神に富んだ俺は、そこで立派なお屋敷から退散した。
だが、これで俺たち一般人の知らない海の底で、なにか嫌な事件が起きているのははっきりした。
あぶれ手帳…。優希のお手柄だ。
ドアを閉めるとき、老人はもう二度と来ないでくれと悲願したのだが、その声はほとんど泣いているようだったのである。
次はびっくりガードしただが、俺は少し疲れてしまった。
ストリート探偵にも急速は必要だ。
池袋大橋のガードレールに腰掛けて俺たちはひと休みすることにした。
東京はどこにでも自動販売機があるから、すぐ飲み物を買うことができる。
便利なものだが、街角のあちこちに炎天下でも冷蔵庫を置きつづけるのは、エコ的な観点からどうなのだろうか。
冷たい日本茶の缶をひとつ優希に渡した。
俺もひとくちすすり、携帯を抜いた。相手は絆の代表だ。
「よう、俺、悠だ。ちょっといいかな。」
ヨウスケの人なつっこい調子は電話のなかでも変わらなかった。
『ちょっと待って、今ミーティング中だから。バルコニーに出るよ。』
ガサガサと音がして、やつの声がクリアになった。
『いいよ、話しは何。』
俺はさっそくど真ん中の直球を投げた。あまり技巧はないからな。
「あぶれ手帳って何なんだ。」
ヨウスケはあっさりいった。
『日雇労働被保険者手帳の事だよ。』
難しい早口言葉のようだ。
東京特許許可局。
「なんの用だ。」
髪は真っ白で、インテリ風。
刺し子の作務依(さむえ)をぴっしりと着ている。
俺がドアのなかをのぞき込もうとすると、身体をねじって隠した。
ちらりと見えたのは、ポータブルの発電機と二十インチのテレビ、あとは手作りの本棚だった。
なんだか俺の部屋より住み心地がよさそう。
手土産をわたして、用件を話した。
老人の表情は途中から、どんどん険しくなった。
コンビニの袋を押し戻していった。
「こんなものはもって帰ってくれ。わたしには必要ない。あんたが何をいっているのか、わからん。さっさとここから離れてくれ。」
俺は別に深い考えなど持っていなかった。
優希は最初のときと同じ質問をした。
「あなたも殴られたんですか」
老人の顔がみるみる赤くなった。
悔しそうに言う。
「そんなことはそっちに関係ない。あんたらは急にやってきて、ょいちょいつつきまわし、すぐに去っていくんだろうが。わたしはこの街でなんとか最後までしのいでいかなければならんのだぞ。若造になにがわかる?」
顔が赤くなっているだけでなく、目まで涙ぐんでいくのが俺には印象的だった。
俺はふとガンさんに聞いた意味不明の単語をぶつけてみた。
「あんたもあぶれ手帳をやつらに盗まれたのか」
老人の顔色が変わった、真っ赤だった顔は蒼白になる。
あたりをきょろきょろ見まわしはじめた。
「わかっているなら、もういいだろう。速くいってくれ。あんたらと話しているところをあいつらに見られたくない。お願いだ。」
敬老精神に富んだ俺は、そこで立派なお屋敷から退散した。
だが、これで俺たち一般人の知らない海の底で、なにか嫌な事件が起きているのははっきりした。
あぶれ手帳…。優希のお手柄だ。
ドアを閉めるとき、老人はもう二度と来ないでくれと悲願したのだが、その声はほとんど泣いているようだったのである。
次はびっくりガードしただが、俺は少し疲れてしまった。
ストリート探偵にも急速は必要だ。
池袋大橋のガードレールに腰掛けて俺たちはひと休みすることにした。
東京はどこにでも自動販売機があるから、すぐ飲み物を買うことができる。
便利なものだが、街角のあちこちに炎天下でも冷蔵庫を置きつづけるのは、エコ的な観点からどうなのだろうか。
冷たい日本茶の缶をひとつ優希に渡した。
俺もひとくちすすり、携帯を抜いた。相手は絆の代表だ。
「よう、俺、悠だ。ちょっといいかな。」
ヨウスケの人なつっこい調子は電話のなかでも変わらなかった。
『ちょっと待って、今ミーティング中だから。バルコニーに出るよ。』
ガサガサと音がして、やつの声がクリアになった。
『いいよ、話しは何。』
俺はさっそくど真ん中の直球を投げた。あまり技巧はないからな。
「あぶれ手帳って何なんだ。」
ヨウスケはあっさりいった。
『日雇労働被保険者手帳の事だよ。』
難しい早口言葉のようだ。
東京特許許可局。